50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

立憲民主党執行部の苦悩。「科学的な敗因分析」の言葉のウラにあるもの。

 いつまでも「総選挙の総括」でもないので、標題からこのフレーズは下します。ただ、相も変わらず、立憲民主党絡みのネタです。

立民 選挙前の議席 確保できなかったことを科学的に分析へ | 2021衆院選 | NHKニュース

10日の特別国会の召集を前に立憲民主党は9日午後、両院議員総会を開きました。

(略)

そして、選挙前の議席を確保できなかったことについて、福山幹事長が共産党との連携がどのように影響したのかなどを科学的に分析し、新しい執行部に引き継いでいく方針を説明しました。 (太字はセイルによる)

 ここで「科学的」という言葉を持ち出してきました。この言葉は、枝野代表も御納得の上、出されたものでしょう。

 ネット上では揶揄する向きもありますが、私は、このワードチョイスに立憲執行部の苦悩が見てとれると思うのです。

目次

f:id:retire50:20211112094816j:plain 《東京都青梅市多摩川・御岳渓谷》

どんな選挙でも「科学的な」分析をするのが普通(大政党なら)

 福山幹事長が何をもって「科学的」とするのかは不明ですが、ただ、勝っても負けても、選挙後には、

  • 候補者本人や選挙活動をした人の実感

だけでなく、

  • 自党の政策や政治姿勢
  • 対立政党/候補の動向
  • 世論の動向(マスコミやネット)
  • 各選挙区の個別事情
  • 選挙期間前・中に発生した、日本や世界における出来事

そして何より

  • 具体的な数字

などをもとに、「客観的な分析」をするのは普通だと思います(とりわけ大政党なら)。

 これをもって「科学的」と称するなら、それには違和感を感じませんし、逆に、これ以外に「科学的な分析」などしようもない。

 そういう意味では、いつもやっているような選挙後の分析を今回もやる、というのが実態なのだと思います。

敢えて「科学的」と掲げる理由

 にも関わらず、敢えて「科学的」と掲げる。ポイントはここですよね。この言葉には、立憲民主党の執行部、とりわけ枝野代表と福山幹事長の苦悩が見て取れます。

 何故「科学的」と掲げるのか。あくまで私の推測レベルですが、以下、書いていきます。

バイアスを減らすため

 選挙結果の分析って第三者がやるのではなく、大抵、身内でやりますからね。どうしても自分達に都合の良いようなバイアスがかかる。

 まぁ、今まではそれでも良かったのだけれど、今回は野党共闘は良かったのか悪かったのか?」という点について徹底的な総括が求められている。しかし、この件は、所属各議員ごとにバイアスが強烈にかかる。しかも正反対の方向に。

 要は、私達はなるべくバイアスを減らして冷静に議論します、だから皆さんも冷静になって下さい、ということを言いたいのだと思います。

分裂への燃料投下の勢いを弱めるため

 正直なところ、今回の選挙の分析は、よほど上手く玉虫色にまとめない限り、党内から相当な反発が出ることは想像に難くありません。つまり、この分析自体が燃料投下となり、場合により、分裂しかねない結果となります。

 そこで「科学的」という言葉。「科学的」という言葉には、人を黙らせる効果があるのです。つまり、この燃料の勢いを少しでも弱めるためのワードチョイスだと思うのですが、今回の場合、どこまで効果があるか。

共産党からの反発を和らげるため

 あと、今回の選挙分析の結果次第では、共産党から反発を受けることも予想されます。だから「これは科学的・客観的に分析した結果なのです」と反発を和らげよう、という意図も含まれているのではないか、と。

大枠の真実は「科学的な分析」などせずとも明らかだったりする

 ということなんですが、一方で、あの豊田真由子氏は次のように分析されています。

豊田真由子氏 野党共闘 “議席減” に「立憲の人気がなくなったんじゃなく、元々ない」(東スポWeb) - Yahoo!ニュース

 今回野党が共闘したことによって小選挙区自民党議席を減らして、立憲がその分増やしたというのは間違いない。

(略)

一方で立憲が比例で議席を減らしたことについて「皆さん誤解してるのが、立憲の人気がなくなったんじゃなくて、元々ないんですよ。

(略)

 希望の党の票はじゃあどこに行ったかというと、それが立憲の人たちにくっついたんだけども、票はついて来なくて、多分維新に行ったんです。

 豊田氏の分析には、自らのフィーリングも交じっていると思いますが、細かい部分はともかく、大枠の真実はこんなところでしょう。「科学的な分析」などしなくても分かる話ではあるんです。でも、当事者としては「科学的な分析」という手続きを経ないと収めることができない。選挙に負けたから仕方ないんだけど、ちょっと執行部の方には気の毒にも思ったり。

 

 次回は、いよいよ、本丸である「旧・民主党にとって、野党共闘は正しかったのか?」について。

 

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【総選挙総括・6】立憲民主党の当選議員の分析が興味深い。

 もはや当ブログを見ている人は少ないかもしれませんが、総選挙について色々と思ったことが多いので、総選挙の総括はまだまだ続きます。

 今回の総選挙を受けて、今後が注目されるのは、やはり敗北を喫した立憲民主党というのは間違い無いところですので、ネタも立憲関連が多くなってしまいます。

 

  前回記事

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f:id:retire50:20211109080445j:plain 《東京都青梅市:御岳橋の下。紅葉が良い感じになってきた》

現在の立憲民主党の系譜

 立憲民主党という名前の政党が出来たのは、2017年です。

 このとき、旧・民進党が割れて、小池百合子東京都知事が創設した希望の党に入党したグループから排除された議員達の受け皿として、枝野代表が創設したのが「旧・立憲民主党

 また、その後希望の党と、僅かに残っていた民進党の議員が合流し「旧・国民民主党になり、その後、小沢自由党なども合流した。

 更に昨年、「旧・国民民主党」が割れて、かなりの部分が「現・立憲民主党に合流し、残った人達が「現・国民民主党となりました。

 また、上記とは別に、無所属として活動していていて「新・立憲民主党」に合流した、という議員もいます。

 何か色々とややこしいですが、次のツイートが分かりやすく図にまとめていらっしゃいますので、参考にして下さい。

系譜別 立憲の当選議員数

 このように現在の立憲民主党が成立するまでの経緯は複雑ですが、ここでは、今回当選した立憲の当選者の系譜を大きく4つに分けることにします。

 セミリタイアして暇な私は、それぞれの系譜の議員が今回、何人当選したか、カウントしてみたのです。

 元ネタは次のwikipediaのページです。

ja.wikipedia.org

 参考として、現・立憲民主党の結党時の系譜別人数も挙げており、それは、次のサイトを参考にしました。

www.huffingtonpost.jp

 

 その結果ですが、かなり興味深いものになっています。

f:id:retire50:20211109114745p:plain

 目視でカウントしたので、若干誤差があるかもしれませんが、大体の傾向は分かりますね。

  • 立憲民主党時代から参加していた議員は、結党時の56名から19名減少
  • 旧国民民主党からの合流議員は、結党時の31名から7名増加

 ちなみに、wikipediaには、落選した前職が一覧で挙げられていますが、立憲の落選前職32名のうち、旧立憲が23名、旧国民が8名、無所属が1名となっています。

 このように、旧立憲と旧国民とで当落の傾向が明らかに異なり、その結果、公示前には大幅に旧立憲の議席数が勝っていたのに、選挙後は旧立憲と旧国民の議員数が逆転してしまいました。

 つまり、一口に「立憲は惨敗」と言っても、大幅に減らしたのは「立憲の中の立憲」であって、外様である旧国民は勢力を若干拡大してしまった、というのが実情。

 ついでに言えば、一部の論客が「小選挙区では48から57に増やしたから、方向性は間違っていなかった!」とおっしゃっているのですが、彼らが贔屓にしているであろう旧立憲系の議員の多くは落選し、小選挙区を少し伸ばしたのは、やや距離のある旧国民系の善戦によるものということになります。

 また、今では別の政党になってしまっていますが、現・国民民主党は8名から11名と、やはり善戦しています。

 こう考えると、「いかにも左派」という勢力の退潮というのは数字以上のモノがあり、国民の多くは野党第一党に対して、もう少し建設的であることを望んでいるのだと思います。

変質してしまった旧・国民

 じゃあ、今後の立憲民主党は、旧・国民の人達が主導権を握って方針転換を行っていくのか、というと、そう簡単な話でもありません

 

 旧立憲・旧国民でここまで差があると、彼ら自身、そのことを体感していないはずがないのです。「今回、落ちたのはほとんど旧立憲の人であって、旧国民の人は結構、国会に戻って来ているよな」と。

 でも、そういう話が大手マスコミで取り上げられた、という話は聞きません。

 恐らく、立憲の方々は、うすうす分かっていても、それは党内では言い出さない、言い出せない。タブーになっているのかもしれません。そこに目を向けるということは、分裂を意味することですから。

 つまり、本質的なのに触れてはならない領域がある、ということが状況を難しくしている要因の一つ。

 

 もう一つの要因は、旧国民と言えど、昔の旧国民からは変質してしまった、ということがあります。

 旧・国民というと、泉政調会長あたりの政策提案型の人が思い浮かびます。しかし全員が全員そうではなく、政局型の人もそれなりにいます。あるいは、「それまでは穏健だったが立憲に合流してから旧・立憲と区別がつかなくないような行動をとるようになってしまった人」「共産党毒まんじゅうを喰らって、完全にあたってしまった人」などもいるでしょう。

 つまり、旧・国民は、立憲に合流したことで、かなり変質してしまったのかな、と。仮に、建設的な旧国民の人が代表になって「提案型を目指します!」とやっても、元の同志である旧国民の議員にさえ疎まれて失脚していく未来しか見えないのです。

 

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【総選挙総括・5】江田氏のNISA課税発言。投資=悪という発想。

 セミリタイアと全く関係無い話ばかりで恐縮ですが、総選挙の総括5回め。多少はリタイア者向けのネタになるかも?

  前回記事

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f:id:retire50:20211106071545j:plain 
 《山梨県富士吉田市:富士山の圧迫感が半端ない富士吉田の商店街・・・銭湯みたい》

NISA課税発言

 FIREでもセミリタイアでもいいんですが、かなり多くの人がNISAを利用していると思うんですが、投票前に、江田氏が次のようなご発言をされて、炎上した、ということがありました。

 NISAに課税してしまったら、それNISAじゃなくなっちゃうよね(笑)。

 この発言が炎上し、釈明・謝罪をすることになってしまった、ということです。

この発言で立憲の議席は減ったのか?

 それはともかく、今回、立憲が(予想以上に)惨敗したのは、このNISA発言によるところが大きい、という観測が、一部のネット民でなされています。

 しかし、私はそうは思いません。NISA発言で議席が減ったのだとしても、その影響は極めて限定的。というのも、NISAをやっている人、興味・理解ある人が、そもそも立憲に入れようとしていた筈が無いからです。いたとしても極少数。

 投資をやっている人は、例えそれが少額のものであっても、政治の動向に敏感な人が多いです。それは、右翼・左翼ということではなく、政治が経済や株価に与える影響は小さくないからです。

 そしてハッキリ言ってしまうと、立憲が大幅に議席を伸ばすと、ただ議席を伸ばした、というそのことだけで株価が下落していくリスクが大きいのです。

 しかも立憲はアベノミクス全否定しています。立憲が議席を伸ばしたら、アベノミクスを見直ししろ~総括しろ~、と延々とやり続けることでしょう。単に主張しているだけならともかく、議席を伸ばした上でこのような主張をされると、そのことが経済に与える悪影響はかなり大きいと思います。

 だから、NISAをやっている人達は、こういうストーリーを察知し、多くは自民か維新に入れる。もし、NISAをやっていて、この発言により初めて立憲のヤバさを認識したという方々がおられたとするなら、「もう少し政治に目を配った方がいいよ」と言いたいです。

 ちなみに自民も、金融課税を言い出していましたから(ひっこめましたが)、その点では微妙なのですが、さすがにNISAにまで課税することはあり得ないでしょう。

 ところで、立憲が大幅に減った原因がNISA発言でなければ何なのか? それは、自民不利の観測が流れたことによるアナウンス効果による影響、ということ。以前、書いた通りです。

【総選挙総括・1】自民党の圧勝だった

ただ今回、選挙期間中に、「単独過半数は微妙」「自民はかなり議席を減らす」という予測がマスコミで頻繁に流れたんですよね。それに危機感を覚えた人達が、こぞって自民に投票をした結果、というのが、私の推測です。

NISAは庶民のためのものなのに「投資=悪」の発想から抜け出せない

 実は私が子供の頃。昭和50年代くらいかな。若い方はご存じないと思いますが、テレビで、証券会社のCMが結構流れていたんですよね。

 現在の投資とは若干性質の違うモノですが、庶民が将来のことを考えて、一生懸命働いて稼いだ金を上手くヤリクリし、浮いたお金を運用していこうと頑張っていた。この点では、今回問題になったNISAと全く同じなのです。

 庶民の多くが資産運用から目を背けるようになったのは、何と言ってもバブル崩壊が大きいと思いますが、それからアベノミクスとかNISAまで20年ほど。ネットによる投資環境の整備などもあって、やっと庶民が資産運用に手軽に手を出せる環境が整った。

 そうやって庶民も余裕資金を活用して投資をし、それにより経済が活性化すれば、給料も増える、という好循環が生まれる。その効果はまだまだ限定的だが、少なくともそのような狙いがある。

 つまり、NISAって庶民のためのものなのです。庶民のための資産運用がバブル崩壊で中断した後、やっと、再び手にすることが出来た資産運用の手段(の一つ)。

 しかし、彼らは投資というものを「貧しい人から搾取している富裕層が、更に肥え太るための手段」と見ている。そういう要素がゼロとは言いませんが、少なくともNISAに関しては当てはまらない。全くずれている。

 やはり、共産党と長く付き合っていると、こういう感覚になっていくのだろうか。資本家と労働者の対立みたいな、階級闘争的二元論に陥ってしまっている。

 アベノミクスにイエスかノーか。投資は善か悪か。自民党は善か悪か。

 それはともかく、金持ちから金を取り上げて庶民に配っても、それ以上に自分の給料が減っていったり、失業したりすれば、トータルではマイナスなんですよね。そのことが分かっているから、現役世代で立憲や共産に投票する人って、あまり多くないんだと思います。

 

 総選挙総括の続き

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【総選挙総括・4】国会の勢力図が3色に塗り分けられ分かりやすくなった

 あまりお読みになっている方はおられないでしょうが、総選挙の総括5回め。

  前回記事

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山梨県富士吉田市富士山駅:これ京王線の車輛だよね?懐かし過ぎる・・》

国民民主党が、立・共の枠組みから離脱

 総選挙の結果が出てから、色々と動きが出ていますが、その中で、扱いは小さいですがかなり注目するニュースがこちら。

国民民主、立共社の国会対応の枠組みから離脱(産経新聞)

国民民主党は4日の役員会で、今後の国会対応に関し、立憲民主、共産、社民の3党と同じ枠組みには加わらないことを決めた。同時に、立民、共産が中心となってきた野党合同ヒアリングに今後も出席しないことを改めて確認した。役員会後、玉木雄一郎代表がツイッターで明らかにした。

 玉木代表の該当のツイッターはこちら。

 

 これまでの国民民主は、立ち位置的にどうも中途半端なところがありました。是々非々で行きたいという思いは伝わってくるのだが、立憲との関係も、やはり情があるのか、明確なスタンスを打ち出せないで、ダラダラ来ていた感じ。

 ただ、今回の衆議院選挙で善戦して自信がついたのでしょうか、かなり割り切ったスタンスを打ち出してきた。

 あと、総選挙前の補選において、静岡県参議院補選で当選した山崎氏も、立憲側でなく国民側につくというニュースも入ってきました。

「静岡ショック」の主役…参院補選で初当選の山崎真之輔議員 無所属のまま国民民主党会派に入会へ

 10月行われた参議院静岡選挙区の補欠選挙で当選した山崎真之輔議員が、無所属のまま国民民主党の会派に入会する方針であることがわかりました。

 山崎議員は10月の参院静岡補選の際、無所属で立憲民主党と国民民主党の推薦を受けて当選。政党などに所属するかどうか「衆院選の結果も踏まえて見極めたい」としていました。

 山崎氏も、現在の世論は国民民主側にある、と睨んでの判断でしょう。

 

 «補足»ただ、この人、週刊誌『FRIDAY』に何か記事が載るそうで、ちょっと不穏な動きもあります。果たして? 

www.shin-sk.net

国会の勢力図が3つに塗り分けられた

 国民民主党がスタンスを明確に打ち出したことで、多党が乱立している国会が3つに塗り分けられ、非常に分かりやすくなりました

  • 中道系与党(自民・公明 当選数計293)
  • 左派野党(立憲・社民・共産・れいわ 当選数110)
  • 中道系野党(維新・国民 当選数52)

 個々の議員や政策を見れば、右寄りだったり左寄りだったりしますが、平均すると与党も、維新・国民も中道でしょう。一方、左派野党は、今回の総選挙で掲げた政策を見る限り、明確に左。

 だから、有権者は、まず、中道系与党・左派野党・中道系野党のどれにするか考え、それが決まったら、どの政党に入れるか検討する、という風に段階を踏めば、とても考えやすい。フォルダのようなものです。

 

 そして共同通信が選挙後に行った緊急調査。

野党共闘見直しを 61.5%

与党絶対安定多数維持の選挙結果 どちらともいえない47.9%、よかった35.3%

政党支持率
自民:45.7%(-5.1)
公明:6.2%(+1.5)

維新:14.4%(+9.4)
立憲:11.2%(-0.4)
共産:4.0%(+1.5)
国民:3.3%(+1.9)
れいわ:1.8%(+0.5)
社民:1.2%(+0.4)
NHK:0.9%(+0.5)

 これをもとに足し算すると、与党が圧倒的なのはおいておくとして、左派野党は支持率合計18.2%、中道野党支持率合計17.7%と拮抗状態になっています。特に、維新は、立憲を上回り、政党支持率の2位になっている。

 しばらくは、政権交代よりも、中道野党と左派野党の争いの方がキーになりますよ。そして、その勢力争いに勝った方が政権交代に挑戦できる。一種のトーナメントです。

 まぁ、来年の参議院選挙は、選挙制度上、議席数が大幅にアップダウンすることはないので、ポイントとなるのは次回の衆議院選挙ですかね。岸田総裁の任期である3年後が一つの目安です。

 今回の総選挙の流れを見る限り、現在のベクトルは中道野党が↑、左派野党が↓なのは明らかですが、3年後どうなっているか。

未確定要素「立憲がどうなるのか」

 ただ、以上の考察で、一つ考慮に入っていない部分があります。これまでの投稿も述べてきましたが、立憲が今後どうなるのか、です。

 与党は相変わらずだし、中道野党(維新・国民)も、進むべき道は明確。左派野党のうち、れいわはマイペースだし、社民共産も長期低落傾向にはあるものの、現状維持で進むしかない。志位委員長だって、2議席減らした代わりに、野党第一党のキン○マを握ることが出来たのだから、十分な成果ですよ。志位委員長に責任などあるはずが無い

 しかし、立憲は本当にどうなるのだろうか? こればかりはマジで読めない。

 ただ以下のことは言えると思います。

 党を割ってもらって、右側は国民民主に、左側は社会民主に行ってもらうのが、国民からすると分かりやすいんだけど、相手がいることだからねぇ。

 これまでの離合集散の歴史への反省があるので、維新や国民民主は安易な合流話には乗らないと思うんですよねぇ。しかし、分裂しただけで合流が無い場合、塊りが小さくなっていくだけなんですよねぇ。展開次第では、維新以上に細かく分かれていく可能性は捨てきれないんですよねぇ。

 まぁ、分裂しないか、脱党者が一部に留まれば、野党第一党の座は守れます。でもそのためには、共闘派への配慮で、野党共闘をある程度継続させないといけません(共闘したからこそ自分は当選したと認識しておられる方も多いでしょうから)。

 すると、現在のスタンスもある程度維持され、その結果、社会党に先祖返りします。その時々でアップダウンはあるものの、政権を取ることは出来ないでしょう。ただ、今後も100議席前後はとっていけますから、党の生き残りだけであれば、一番それが楽な道です。

 

↓総選挙総括の続き

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【総選挙総括・3】菅総理にやられっ放しだった立憲民主党

 総選挙の総括3回め。立憲民主党についての続きです。

  前回記事

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f:id:retire50:20211103163436j:plain 
《東京都奥多摩町

菅総理にやられっ放しだった立憲民主党

 今になって思えば、立憲民主党って、菅前総理にやられっ放しだったと思うですよね。立憲側からすれば、菅総理を手玉に取ったつもりでいて、実は手玉に取られていたというオチ。

 そもそも、昨年、旧立憲と旧国民(の大多数)が合流したのは、近いうちに解散総選挙が来る、と睨んでのことで、当時、新しく総理に就任した菅氏に、解散総選挙を煽っていたように思うのですが、菅氏は歯牙にもかけず、解散はしなかった。結果的に、合流によって国民の期待を高める効果は不発に終わった

 次にコロナ対策。これも立憲民主党は色々と挑発したのですが、基本的に菅総理は乗らなかった。まぁ、次のようなことはありましたが。

首相 「少し失礼 精いっぱい取り組んでいる」蓮舫氏批判に反論 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

立憲民主党蓮舫代表代行が、新型コロナウイルス対策をめぐる菅総理大臣の答弁について「ことばや危機感が国民に伝わらない」と批判したのに対し、菅総理大臣は「少し失礼ではないか。精いっぱい取り組んでいる」と反論しました。

 そして、菅内閣の支持率が下落して、立憲が「してやったり」というところで、選挙前の絶妙のタイミングで辞職表明。お別れ祝儀⇒総裁選⇒就任祝儀で内閣支持率がそこそこ回復してしまった。そこに来て、菅総理が進めてきたワクチン政策が功を奏したのか、これまた絶妙のタイミングで新規感染者激減

 その流れで選挙に突入した結果、これまで進めてきた野党共闘策が不発、選挙では一人負けして、枝野代表辞任。

 これはもう、壮大な落とし穴としか思えないのですが、菅総理は狙っていた訳ではなく、ただただ普通に行動していただけなんでしょう。

 だとすると、今回の自民党圧勝は、立憲側の一人相撲による自爆、つまり敵失によるところも大きい、ということになります。つまり、自民党も盤石ではないので、今回の大阪における維新旋風みたいなことが全国的に起こったら、目も当てられないことになるでしょう。

旧民主党系がこうなってしまう理由

 それにしても、旧民主党やその流れを汲む政党が、いつもこうなっちゃっうのは、何故なのでしょう?

 それは、彼らのベクトルが「日本国民」ではなく、「自民」に向いているからなのでしょう。自民を政局に巻き込んでヘマをさせて、自らの党勢を拡大しよう、という発想が抜けないんです。

 だから、上手くいっているときはイケイケなんだけど(多くの国民がどう感じているかは別にして)、ちょっと想定外のことが起きて潮目が変わってしまうと、方向転換ができなくなるパターン。プランAとプランBも考えていないんだろうね。

 詳しくは述べないですが、今回の顛末は、あの郵政解散民主党がボロ負けしたときと流れがよく似てるんですよ。

今後の立憲に臨むこと

 立憲民主の最も致命的なところは、政局が大好きなのに、政局のセンスに全く欠けている、ということ。策士策に溺れる、と言いたいところなんだけど、策士とさえ言える状態にないのが困ったところ。

 だからまずは、自らの政局センスの無さを自覚して、政局に走るのはホドホドにしてほしい。

 何か語るときの主語を「自民は~」「総理は~」ではなく、「私達は~」に変えるべき。他政党のことはいいから、まず自分達について述べろということです。

 新代表や新幹部は、もう少し当たりのソフトな人がいいな。眉間にしわを寄せつつ、ことあるごとににネチネチ嫌味っぽく話す男性議員か、本会議・予算委員会ヒステリックに攻撃をする女性議員ばかりが目立っていたから。

 ソフトな口調でも批判は出来る。むしろ、当を得た批判をソフトな口調で話すことこそが国民に対する説得力最強なのになー。

 あと、立憲内でも地道に政策を頑張っている人がいるのですから、そういう人こそが党の宝なのだと認識し、もっともっと前面に出してやらないと勿体ないです。

 ただ一方で、与党批判がアイデンティティになっている人も少なからずいて、そういう人ほど声がでかい。彼らから与党批判を取り去ったら、それはバッターからバットを、数学から背理法を取りあげるようなもので、「一体、私達は何をしたらいいの?」状態になってしまうので、激しく抵抗するはずです。

 ・・・うーむ、前途多難だ。やっぱ分裂しかないのか?

 

 上から目線なのは承知していますが、どうしてもこういうことを言いたくなってしまう。潜在的なポテンシャルは高い政党で、有能な人・高い志を持っている方も揃っているのに、ただただ飼い殺しになっていることを、大変もどかしく感じるのです。

 

次回記事

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【総選挙総括・2】明暗を分けた旧民主の2党。立憲の分裂は回避できるか?

 前回に引き続き、総選挙の総括。今回は野党についてです。

  前回記事

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目次

f:id:retire50:20211102144535j:plain
 《東京都奥多摩町

旧勢力左派は退潮傾向

各党の獲得議席数は次の通り

自民     261(-15)
立民      96(-13)
公明      32(+3)
共産      10(-2)
維新      41(+30)
国民      11(+3)
れ新       3(+2)
社民      1(±0)
N党      0(-1)
諸派      0(-1)
無       10(-2)
----------------------------------------------
定数       465(+4)

 

 獲得議席を見れば、自民と立憲の減った分が、ママ維新に流れたという感じになっています。特に立憲が100を切ったのはちょっとオドロキです。

 もう少し細かい部分を見てみると、共産も減っていて、代わりに国民民主と、れいわが善戦しています。ここから分かることは、立憲・共産といった旧勢力の左派政党は退潮気味ということです。同じ左派でもれいわは伸びていますから、退潮気味なのはやはり「旧勢力左派」ということです。

 ちなみに、今の立憲は中道左派ではなくて、堂々たる左派だと思います。その理由として、

  • 共産と組んだことでその主張が相当に左に寄ってきた
  • 中道や右派議員がかなり抜け、代わりに社民から合流したことで、かなり左側に濃縮された状態になっている
  • 残った中道・右派議員もいるが、彼らの主張が党の主張として前面に出てくることが稀。

 かつての民主党は、中道左派を中心に右派から左派まで幅広く人材を取り揃えていて、様々な人から支持を受ける素地があったので、まことに寂しい限りです。

 それでも、立憲が96議席取れているのは野党第一党」認定されているからです。すなわち、与党の対抗馬というだけで一定数の票は入るのです。

国民民主党の善戦

 立憲・共産の退潮の代わりに、維新・国民民主・れいわが伸びていますが、ここでは最も地味な国民民主について書いていきます。

 正直、私は国民民主は非常に厳しいと思っていました。それは、昨年、多くの議員が立憲民主に合流し、国民側は一気に泡沫化したからです。

 ひとたび泡沫化すると、その政党は国民にとって空気となり、更に泡沫化が進むのが常で(そのいい例が社民党やかつての保守党)、私はその道を歩むと思っていたのですが、予想は裏切られました

 まぁ、今回は、国民民主が立った選挙区で立憲民主は立てていないのですが、それでも、泡沫化した政党が、自民党候補相手に6選挙区取るのはそう易しくない。前回比例復活だった人が今回は選挙区で当選していたり、前回選挙区で当選していた人も今回はより大差で当選していたりする。

 更に、比例。全国区の参議院と違い、衆議院選挙の比例はブロックに分かれているで大政党有利で、泡沫政党がこれを取るのは易しくない。にも関わらず5議席獲得したのは健闘と言える。

 そして、選挙区と比例を合わせ、トータルで11議席と3議席増。立憲民主に比べれば屁にもならない数ですが、この規模の政党で3議席増というのは結構大きい。

 維新の躍進とも併せて考えると、俗にいう「ゆ党を期待する向きは、実は結構大きいのだと思います。

 ということで国民民主は想像以上に善戦したなと思うのですが、一つ言いたいのは、功を焦らない方がいい、ということ。

 今回の立憲民主党といい、前回の希望の党といい、更には、いつぞやの郵政解散のときの民主党といい、同じような失敗を繰り返しているのですが、その本質は、政権交代を焦って、小手先の手段で、目先の議席数確保に走ってしまったこと」にあります。

 維新、立憲とは、当分は個別の協力にとどめ、性急に合流とかは考えず、10年単位で地道にやっていくべきです。

立憲民主党の惨敗

 そして立憲ですが、2017年の旧・立憲民主党の結党時以来、最大の危機に陥っていると言えます。普通の敗北なら、新たな代表のもとで再出発を図ればいいだけですが、本ケースにおいては、「与党追求型議会運営」「共産党との共闘」というこれまでの取組をどうするのか、という非常に重いテーマを抱えているからです。

 もちろん、必要な部分では、与党を追及すべきだし、共産党と協力してもいいのですが、それに極端に偏ったやり方でいいのか、ということの反省無しでは前に進めないのです。

 しかし、この点は所属の各議員で考えが異なると思います。これまで協力してきた共産との関係もあるから、簡単にこれまでの方向性を誤りだとは言い出しにくい。非常にセンシティブな問題なのです。枝野代表の辞任表明が遅れたのは、こういう葛藤があるからでしょう。

 

 1年もたたずに参議院選挙が来ますが、どうするのでしょうか。昨年、私は次のような投稿をしています。

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 今回、比例でも復活できなかった、あの方も、その危険性を察知しているようですね。

辻元清美氏 〝ポスト枝野〟めぐる立民代表選に警鐘「分裂しちゃ、アカン!」

 今回の衆院選で選挙区、比例ともに辻元氏は「わたしはいなくなる。(代表選は)しっかりやって。分裂だけはしちゃ、アカン」と警鐘を鳴らした。

 

 深刻なのは、単に自分達が惨敗したというだけでなく、是々非々を旨とした維新や、元の同志である国民民主が良い感じに躍進・善戦してしまったこと。

 本当は、立憲内にも、維新や国民民主のような形でやっていきたい人達が少なくなかったのを、今の執行部がその動きを抑えてきた、という事情があります。

 一方で、今回当選した立憲議員の多くは、自らの当選が共産票によるところ大と認識していることでしょう。

 党勢拡大のためには、共産と手を切った方がいい。しかし、自らの当選のためには共産と組まないといけない(もっともこれは"錯覚"なのですが)。

 まさにジレンマ

 これは荒れますよ。メチャクチャ

 今後の展開次第では、立憲の中から国民民主に行きたがる人が出てくるかもしれませんが、一度共産側にヒヨッた人を国民民主は警戒するでしょう。

 まずは、立憲の再分裂は回避できるのでしょうか? 注目したいと思います。

 

 ↓ まだ書くことがあるので、残りは明日に回します。

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【総選挙総括・1】自民党の圧勝だった

 先日の総選挙、蓋を開けてみれば、自民は単独で絶対安定多数と圧勝、立憲は惨敗という結果でした。このことについて、総括記事を書いてみます。私が書くのは、どの政党・政策が良い・悪い、ということではなく、あくまで政局論です。

目次

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 《東京都奥多摩町鳩ノ巣渓谷》

自民党は「圧勝」である

 まず、9月9日時点での私の予想を、ここで再掲します。

つなぎの総理で終わった菅氏。まぁ、よくつないだよ。 - 50歳で早期退職し、セミリタイア!

 次期総裁に余程のスキャンダルが発覚しない限り、自民・公明で過半数は維持するでしょう、議席は減らすかもしれませんが。

 というのも、最近、内閣支持率は落ちていても、自民党の支持率はそこまで落ちていないし、野党の支持率も低いままだからです。

 何より、前回、自民から民主へ政権交代したときは、「とにかく自民党から政権を取り上げよう」という雰囲気や流れをものすごく感じたのですが、今回はそのような雰囲気がほとんどしない。

 前項で述べたように、コロナの不満の矛先が与党や総理大臣に向かっているのは確かなのですが、じゃぁだからといって「政権を変えよう」という意識を持つ人は、政権をひっくり返すほどに多くはないのだと思います。

 

 概ね、この通りになったと思います。上記では「自民・公明で過半数は維持」と控えめに書きましたが(外したら恥かしいので)、「与党は、そこそこ、いくだろうな」と内心思っていました。

 自民の単独過半数は余裕だろう、と個人的には考えていたので、マスコミからの「単独過半数は微妙」みたいなニュースは懐疑的に思っていました。

 ただ、それでも、自民だけで絶対安定多数(261議席)を取ってしまうのは、さすがに想定外でした。

 つい2~3ヶ月前まで、新規感染者数が東京都だけで連日5000人、オリンピックの開催で叩かれまくり、内閣支持率が30%前後であったこと、更には、岸田新総理の地味なキャラクター、ということを踏まえると、15議席ほど減らしたとはいえ、これは、もう圧勝の部類だと捉えてよい。

何故、自民は「圧勝」したのか

 今回、自民が勝利したのは、過去記事でも述べた通り、「政権を変えよう」という意識が、国民の間で稀薄だったからなのですが、それだけであれば、自民は240~250ぐらいで留まったことでしょうし、正直、私もその程度の議席数に留まると思っていました。やはりコロナ関連で批判も浴びてますし。

 ただ今回、選挙期間中に、単独過半数は微妙」「自民はかなり議席を減らす」という予測がマスコミで頻繁に流れたんですよね。それに危機感を覚えた人達が、こぞって自民に投票をした結果、というのが、私の推測です。いわゆるアナウンス効果、なかでも、アンダードッグ効果というやつです。

アンダードッグ効果 - Wikipedia

投票行動におけるアンダードッグ効果とは、選挙前の予測で劣勢を伝えられた候補者が、有権者の同情や劣勢挽回のための支持から、当初の予想以上に獲得票を伸ばす現象を指す。

 もっとも、単独過半数に若干届かなくたって、230議席ぐらいあれば、公明と併せて、与党で絶対安定多数は行きますから、何ら国会運営に支障は生ぜず、十分、勝利と言えるラインなのですが、安倍元総理が前回、前々回とメチャ勝ちしているので、230ぐらいだと相対的に低く感じてしまう。

 客観的に見れば充分勝利なのに、「何十議席か減らした」ということをもって、敗北と位置付けられ、共産党に魂を売った人達による批判キャンペーンが開始される。自民が減るのはいいが、さすがに、それは耐えられないと考えた有権者も結構いたのではないでしょうか。

菅前総理は辞める必要はなかった?

 ここまで自民が勝ってしまって、一部で聞こえてくるのは「あのとき、菅さんは辞める必要はなかった。もう少し粘っていれば、菅総理で充分勝てた」というものです。

 これに対し、私は「いや、あのとき、菅さんは辞めて正解だった」と思っています。

 先日も書きましたが、菅前総理は、辞任表明をすることで、功績が再評価された、という側面があります。実際、菅内閣の支持率も辞任表明後、上がりました。しかし、辞任表明しなかったとなると、コロナの感染者数が減少しても、内閣支持率が充分に回復するのに、やや時間がかかります。

 内閣支持率の低い状態で総裁選を戦う、というのはものすごく大変なこと。勝ったら勝ったで、「こんな支持率の低い人を総理にするのか!」と叩かれ、負けたら負けたで、「この一年間の菅総理のやり方は誤っていたと自民党自身が認めた(特にコロナ対策)」みたいな印象を国民に植え付けます。

 何れにせよ、選挙を戦うにはマイナス材料となります。

 だから、このような中途半端な状態で続投するよりは、スパッと「辞める」という決断をして後進に道を譲り、手っ取り早く内閣支持率を回復させ、新しい人で選挙した方が、スッキリするし、戦いやすいです。

 結果、選挙で勝利し、結果的に菅内閣時代の実績も評価されたことになったのですから、菅氏自身も誇らしく思っているのではないでしょうか。

 何といっても、「引き際を間違えない」というのは、日本人にとって美徳なんですよ。

甘利氏のスキャンダル・・・ダメージは最小限

 あと、甘利幹事長の過去の金銭問題が取り沙汰されましたが、その影響は、自身の小選挙区落選(比例で復活)という最小限のダメージに留まりました。

 スキャンダルというのは、スキャンダルそのものよりも、その対応であたふたして見苦しく振る舞うシーンこそが、よりダメージを与えるものですが、今回はそのようなシーンは見かけなかったと思います。

 そして、選挙期間中は無駄に騒いで幹事長を交代させたりはせず、自民党勝利という幹事長としての最重要ミッションを果たした上で、即、自らの申し出により辞任というストーリーも完璧だと思います。

 

  次回は野党側についての総括記事をアップします。

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FP・山崎俊輔氏のFIRE論について思うこと

 FPの山崎俊輔氏がFIREに関して著作を出されていて、関連記事がいくつかネットに出ています。私は、著作は買っていないのですが、ネット記事には目を通しています。

普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

  • 作者:山崎俊輔
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
Amazon

ネット記事

  1. 夢を現実に 1億円なくても早期リタイアは可能
  2. FIREの第一歩 月1万円でも多く稼ぐ覚悟
  3. FIREを成功に導く大事なスキル それは節約
  4. FIREをものにする資産運用 リスク取り過ぎは致命傷
  5. FIREするなら何歳? 3つのルートで考える

 FP等の書いたFIRE論は今後も取り上げていこうかと思いますが、山崎氏のFIRE論を読んで全体的に思うのは、

 「フツーの会社員が出来るFIREというのは、せいぜいこんな所であり、あまり夢がある内容ではないので、夢見がちな人にはウケないだろうな。でも、現実的に戦略を練ろうという人には参考になるかも」

ということ。

 

目次

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 《東京都西多摩郡日の出町:平井川源流》

「一刻も早くFIREしなければならない」

 最近、FIREのことが多く取り上げられるようになり、FIREしたい人も前に比べたら増えているのでしょう(多分)。

 ただ、前にも書きましたが、どんなに強く望んだからといって、先立つものが必要なため、すぐに実現できるわけではありません。タピオカドリンクの流行りに乗るだけであれば、東京なら原宿辺りの流行りの店にいって数百円払って飲めばそれでいいのですが、FIREでは、こうはいかない。

 しかし、多数のFIREのコンテンツを沢山読んですっかりその気になってしまった人は、「このまま賃金労働を続けると、どんどん人生の自由な時間が削られていくので、一刻も早くFIREしなければならない!」みたいに感じています。

 そういう方達は、山崎氏のFIRE論は全くつまらない、老後資産作りに毛が生えたようなものに過ぎない、と評価するはずです。

「仕事でもらえる給料が高いほど、FIREには有利になる」という事実

 山崎氏の記事のうち、

 夢を現実に 1億円なくても早期リタイアは可能

  ⇒ これはよい。

 FIREを成功に導く大事なスキル それは節約 

  ⇒ これもよい。労働から逃れるためなら、節約は厭わないという人は多いと思う。

 しかし、例えば、FIREの第一歩 月1万円でも多く稼ぐ覚悟 あたりは、クソ扱いする人が多いんじゃないでしょうか。

 FIREというと、資産運用のテクニックに注目が集まります。(略)

 しかし、米国のFIRE本をいくつか読んでみると、むしろ「仕事をしっかりやること」にページが割かれています。

 実はFIREを実直に実践しようとしたとき、マネープランの王道である「年収をもっと増やす」というパートを抜きに語ることはできません。FIREへの取り組みの第一歩は「資産運用」ではなく「キャリアアップ」なのです。

 「キャリアアップ」ということは、要するに「仕事を頑張れ(そして給料をあげろ)」ということ。

 確かにこのことは間違っていなくて、アメリカのFIRE成功記事の翻訳などを読むと、そもそも、仕事で稼ぐ能力がずば抜けていて、そういう人が極度に仕事を頑張った上で、更に投資や節約もやった結果、若くして結構な額の資金ができ、その結果、早期リタイアを達成している、というパターンが多い。

 日本においても、FIRE本を出した某サラリーマン氏などは高配当株をウリにしていますが、実際には、彼は、サラリーマン時代の圧倒的な入金力があってこそ、あんなにも早く、そして沢山のリタイア資金が獲得できたのではないか、という推測がなされていますし、私もそう思っています。

 このように、華々しい事例には、その主人公が、能力面・金銭面・環境面で非常に恵まれている側面がある、ということは是非とも認識しておくべきことでしょう。

 しかし、FIREを目指している多くのフツーの人達は、そこまで能力面・金銭面・環境面に恵まれているわけでもなく、かつ、そもそも仕事がキライであり、給料をちょっと増やすために仕事を頑張るなどしたくもないわけで、本末転倒な話なのです。

 そういう人達に対し、「仕事でもらえる給料が高いほど、FIREには有利になる」という厳然たる事実を突きつけることは、夢を壊すことになるので、(一部で)クソ扱いされてしまうだろう、というわけです。

おわりに

 ネット記事を読む限り、山崎氏のFIRE論は、良くも悪くも、こういうテイストです。FPとして、日本人にとってなるべく再現性のあるやり方を提案している分、夢ある内容からは一歩も二歩も引いた内容です。

 一方、FIRE達成者のうち、特に紙の著書を出している方は、華々しい事例であり、夢ある内容となっています。そして、表面上は再現性の高さを謳っていますが、実際は、その著者が能力面・金銭面・環境面の何れかに恵まれていて、そのお蔭で資金が作れた、という側面は表立って記されていません。読む分には楽しいですが、かなり割り引いて捉える必要があると思います。

 世に出ているFIRE論も色々ですね。

 

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自民新総裁に岸田氏、修正アベノミクスか

 前回、当ブログを不定期更新にすると言っておきながら、いきなりブログ更新。

 昨日、人煙稀な山道でサイクリングをしていたら、自民党の新総裁が岸田氏に決まったというニュースが出ていました(一応、iphoneの電波は入っていた)。

 個人的には生暖かい目で見守っていた総裁選ですが、ここで思うところを書いてみます。

目次

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 《埼玉県飯能市・秩父郡横瀬町・比企郡ときがわ町 苅場坂峠(昨日行ってたところ)》

久々の宏池会出身の総理大臣

 自民党って派閥が色々ありますけど、自民党内で「○○派」って呼ばれている訳ではないんですよね。「○○派」というのは、おそらく外部の人間が(マスコミ等)、一般人にも分かりやすく表現した俗称。本当は「○○会」みたいな正式名称があります。

 そして、岸田氏の出身派閥は「宏池会」・・・なんですが、この「宏池会」というのが、どうにもパッとした人がいない、という印象。これは、政治理念とか政治活動云々ではなく、キャラクターが地味、ということです。

 総理大臣も何人か出ているのですが、派閥の祖たる池田勇人さんはともかく、大平正芳氏、鈴木善幸氏、宮澤喜一氏といった面々。最近だと、(総理大臣ではありませんが)、加藤の乱で失態を演じた加藤紘一氏とか、野党時代の総裁だった谷垣氏とか。

 しかし、そんな宏池会、20年ぶり以上でしょうか、久々に総理大臣が出ました(正式には、臨時国会で指名されてからですが)。

 岸田氏も、閣僚経験者、自民党三役経験者、主要派閥の長であったにも関わらず、ついこの間まで「国民にとって空気」だったという点では、宏池会の血を受け継いでいると言えますが、それでも、歴代の宏池会出身の有力者の中では、まだまだ花のある方だとは思います。

修正アベノミクス

 色々、総裁選で論戦を交わしていましたが、岸田氏は「格差是正」とか「新自由主義からの脱却」のようなことをおっしゃっています。

 それはそうなんだと思うのですが、一部で語られているような「アベノミクスからの脱却」ということとは違って、「修正アベノミクス」というのが正しいかと。

 実際、次の記事にあるように、アベノミクスの三本の矢は維持する、ということのようです。

岸田氏「経済安保相を新設」、アベノミクス3本柱も堅持…経済政策を発表

 経済安全保障を担当する専任閣僚の新設を掲げ、安倍前首相が推進した「アベノミクス」の3本柱である「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」の堅持も盛り込んだ。

 岸田氏は「アベノミクスで成長した果実を分配しなければ格差が広がってしまう」とも指摘した。その上で、「新自由主義的な政策を転換する」と訴え、中間層の拡大を目指す「令和版所得倍増」を提唱した。

 それはそうだと思う。特に、アベノミクス前は円高や就職氷河期がメチャクチャひどく、絶対にあの状態に戻す訳にはいかない。また、安倍総理の最終支持率は5割を超えており、あそこまで支持のあった政権の主要政策を露骨に変更するのも違う。

 ただ、アベノミクスによる果実は、もっと多くの人が受け取るべき、というのは確かで、特に「令和版所得倍増」という言葉にそれが現れています。「所得倍増」という、派閥の祖たる池田勇人氏の主要政策の名前を、ここで持ち出してくるところに、岸田氏の意気込みが見てとれます。

 もっとも、安倍総理も、「アベノミクスの果実をどうにかもっと分配したい」と思っていたはずですが、結局は、「企業はもっと従業員の給料を上げて下さい」とお願いするしかなかった(というイメージ)。

 岸田氏でこれが実現できるかがキモなんですが、個人的な予想としてはなかなか厳しい。所得倍増とはいかなくとも、平均で一割でもアップすれば、それはものすごいこと。

 また、金融所得課税の見直しは、岸田氏の掲げる再分配政策の一環なのでしょうが、投資系リタイア者にとっては気になるところ

 岸田氏検討の金融所得課税強化 市場に警戒感: 日本経済新聞

 もっともこれは"真逆"と言われる高市氏も唱えていたことでしたから、ポスト・アベノミクスとしては、ある程度、既定路線だったのかもしれません。

コロナ対策

 今、新規感染者数が急激に減少しています。東京都だと、一週間ごとに半減、という驚異の減少率

 何だかんだ言って、ワクチンの効果が大きいのだと思いますが、更に、そう遠くない時期に治療薬が出るそうなので、いい方向に向かっている(と思いたい)。

 このことは、岸田氏にとって非常に良い材料。ある意味、ほとんど全ての泥を菅総理がかぶってくれ岸田氏はその果実を頂いている、という感じ。

 ただ、新規感染者数が増えてくることが再びあるでしょうから、そのときまでに、どういう風な対応を取るのか、整理しておいてほしいですね。

 例えば、一時期、自宅療養者が大量に出て、その際、「自宅療養はけしからん!」みたいな論調がありました。ただ、今後、治療薬が出たのなら、ちゃんとした自宅療養の道が開けるし、その方が医療に負担がかからなくなるメリットがあるわけです。

 インフルエンザだって薬を飲んで自宅療養が基本で、一部亡くなる方がいても、だからといってことごとく入院させるなんてことはしていないわけです。

 だから、コロナもインフルエンザと同じような対応が取れればそれが望ましいのですが、当然100%上手く行くことは無いので、何かしらの不手際は絶対発生しますし、重症化や死亡する人も出てくるでしょう。それでものすごい批判が殺到する。そういう場合に、どう対応していくか。

 総理大臣がどんなに強権を発動したところで、出来ることしか出来ないのだけど、再度の感染拡大の際、立ち回りが上手く出来るとよろしいのではないでしょうか。菅総理は、この立ち回りが下手だった、という評価はありますよね。

スキャンダル発生の可能性

 新内閣発足時や内閣改造の後のお約束となっているのが、スキャンダル。週刊文春あたりが常にネタを握っていて、タイムリーに記事を出してくるわけですよ(実際、下馬評の高かった河野氏については出してきましたよね)。

 岸田氏本人は潔白だったとしても、登用した人に何かキズがあれば、そこを突かれます。それは避けられないにしても、アタフタしてみっともない姿を晒せば、ご祝儀相場が一気に幻滅し、勝てる選挙も勝てなくなります。

 こういう対応力が岸田氏にあるか。人事を刷新するようなことをおっしゃっていますが、逆に言えば、こういうスキャンダルの対応経験が無い人を多く登用する、ということですから、なかなか大変かもしれません。

 

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当ブログ、しばらく不定期更新にします

 当ブログを7月に再開してから3ヶ月近くが立ち、この間、週2ペースで記事を上げてきていましたが、しばらく、不定期更新にします。

目次

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 《東京都青梅市(荒川水系・成木川)》

不定期更新にする理由

 不定期更新にする理由は、ある趣味のモノを購入することになり、そのことで頭がいっぱいでいっぱいで、とてもブログ更新など、していられない、ということです。

dime.jp

 折りたたみ自転車なんだけど、車体のみならず、かなり性能の良い電動アシストがついていて、小さな外見に似合わず、とてもよく走ってパワーがある。試乗して惚れ込んでしまった。

 これが手に入れば、e-Bikeを電車に載せて長野県や栃木県、山梨県甲府以西、箱根以西、富士五湖あたりまで旅に出る、という夢が叶ってしまう自分にとって理想的なマシンだと興奮しています。

 納車されるのは10月中~下旬と、しばらく先なのですが、今から、どういうカスタマイズをしようか、どこにどういう行程で行こうかと、ずーっと計画を練っている状態です。

 金額は決して安くなく、オプションや付属品、そして消費税まで含めて、30万近く。まぁ、私が50歳まで働いて種銭を増やしたのは、こういうモノにお金をポンと出せるようにするためなのだから、まぁ、それはそれで良いことなんだと思っています。

 本当は緊急事態宣言が明けてから。。。と考えていたのですが、このマシンは10月から値上げされるという情報が入ったため、急遽、購入に踏み切ったというわけです。青梅に住んでいるのに、試乗と購入のために、わざわざ葛飾区のお店にまで行ってしまいました。。。(都心を避けて武蔵野線経由で)。

夢中になることが出来ると、ブログなど、どうでもよくなってしまう

 個人的な趣味の話を延々と書くのもなんなので、このくらいにしておきますが、やはり、夢中になることが出来ると、ブログなど、どうでもよくなってしまう、というのは、私の性格とかスタンスによるものなのでしょう。

 以前書いたとおり、当ブログの執筆は、「リタイア生活の縛り」として君臨しており、なかなか面倒なものになっています。

  【過去の当ブログ参考記事】 リタイア生活に「縛り」を入れよう、とは全く思わない

 それでも、人との交流に乏しいリタイア生活において、当ブログは、社会との交流の一環、という意味合いがあるので、放棄しよう、という気持ちはサラサラ無いのですが、ブログ執筆こそが最も大切で最も楽しい時間である、という位置づけではありません。

 だから、今回みたいに大きな関心を寄せるものが他に出てきたら、そっちを優先してしまう。まぁ、私が定年を待たずにリタイアしたのは、自分の夢中になれるものに全力投球したい、と、そのためでもあります。

 逆に、毎日のように何年間もブログをアップし続けている方ってスゴイな、と尊敬します。そういう人達もブログ以外に夢中になれるものを持っているはずで、そういう中、時間を作って、気力を保って、ブログを書き続けるって並大抵ではないですよ。

はてな無料版に戻るので、ブログフォーマットが変わります。

 あと、これまで1年間、はてなブログの有料版を使ってきましたが、結局、当ブログの運営は、かなりテキトーなものになってきたので、年間8000円も払う必要性もなかろう、と思うようになりました。

 ということで、有料版の期限が切れる10月4日からは、ブログのフォーマットが無料版のものに変わります。若干、見づらくなるかも知れませんが、ご容赦を。

 もちろん、当ブログを放棄するつもりはありません。書き貯めた未公開記事がまだまだ残っていますし、気分が乗れば、当然、新たに記事を書いていきます。

 

 ということで、今後もよろしくお願いします。

 

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経済的独立(FI)という語を、私はどう捉えているか

 先日、「人生の逃げ切り」ということについて考えているところを述べました。

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 私個人は、この「人生の逃げ切り」と「経済的独立」(FIREのうちのFI)を(イコールではないが)関連付けて捉えています。いい機会ですので、今回は「経済的独立」という語について、少し書いてみることにします。

 もちろん全て個人的見解ですから、以下述べることに当てはまっていない「FIRE」の人に、「FIREの看板を下ろせ!」ということを主張したいわけではありません。

 

目次

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 《東京都奥多摩町・多摩川日原川合流点(手前が日原川)》

「逃げ切る」よりも「経済的独立」の方が条件が多くなるイメージ

 まぁ、FIREは人それぞれとはいえ、「経済的独立」という語を用いるからには、「経済的に独立している」とはどういうことか、問われるのは当然ではないのかな、と思います。

 そして、経済的独立を最狭義に捉えれば、一般に言われている「4%ルール」に則った生活の形、ということになりましょうが、私個人はもう少し広く解釈しています。

 当ブログ過去記事より。

経済的自立の達成に要する期間と資産・心持の変化(FIREについて考える7つの論点・2)

 

【論点4】どのくらいの資産があれば経済的自立を達成したと言えるのでしょうか?

 経済的自立を文字通り解釈するならば、その人が、一生働かなくても最低限食っていけるだけの額は欲しいところ(生活費以外、たとえば、趣味や旅行などのために別途稼ぐのは可。年金を当て込んでもよい)。

 だから、サイドFIREと言われるもののうち、副業収入が無いと、中長期的に生活を成り立たせられないタイプのものは、たとえそれが「好きな仕事」であったとしても、経済的自立と言うには、まだ中途半端な気がする(もちろん、そのような生活スタイルを否定するものではありません)。

 つまり、一生、労働に頼らずに、ある程度の蓋然性をもって、衣食住を成り立たせられるだけの、自前のストック・フローを作ることが経済的独立ということではないかな、と。

 これは、「人生逃げ切った」と言う概念に近いですが、「人生逃げ切った」の場合、働かなくても生涯暮らせていける可能性が高い状態にさえなっていれば、その経済的手段はかなり広くとれるイメージ。

 一方、「経済的独立」となると、その語感から、もっと色々な条件が必要ではないかと思う。言い換えれば、「人生逃げ切った」は「経済的独立」の必要条件だが、十分条件ではない、ということ。

 以下、もう少し深掘りしていきましょう。

深掘り

非労働性(「労働に頼らず」)

 「経済的」独立とは言うものの、FIREという言葉の成り立ちを考えると、実質、「労働収入からの自立」と捉えるべきでしょう。だから、「生活に潤いを与えるため」ではなく、純然たる生活費として何らかの「労働収入」を当て込んでいるのに、「経済的自立」を謳うのは矛盾している、というのが私の考え。

 なお、やっている仕事が「好きなこと」であろうと「楽なこと」であろうと、形態が「フリー」であろうと、youtubeであろうと、アフィリエイトであろうと、何らかの職務を行った結果の収入であれば、ここでは労働に含めています。

生涯継続性(「一生」)

 「一生」という言葉は大事。ものすごく大事。「当面」では厳しい。「一生」。

 一生分のストック・フローのシミュレーションをして、労働収入を当て込まないで生涯暮らしていけることを確認していない「経済的独立」は「もぐり」だと、個人的には思う(そんな計算不要なぐらいに多額の資産を持っている場合は除く。まぁ、そういう人にとっては、端から「経済的独立」なんて概念、不要なわけですが)。

蓋然性(「ある程度の蓋然性をもって」)

 物事には100%ということはあり得ないけど、ある程度の蓋然性(確実性)は欲しい。

 シミュレーションにて、極度に高い運用収益を当て込んでいたり、極端な節制生活が前提となっていたり、バッファーがほとんど無かったりなど、現実問題、それで一生を乗り切るのは厳しいのでは?というケースまで「経済的独立」と言い切るには、ためらいがあります

生活成立性(「衣食住を成り立たせられる」)

 前項までは結構厳しいことを書きましたが、ここでは見解が甘いです。

 すなわち、趣味や旅行、贅沢費用も含めて、全て労働収入不可、とするのが本当のような気もするのですが、まぁ、衣食住や光熱費、通信費、雑費等の、一般的な生活費が、労働に頼らずに賄えていればいいんじゃないの?というのが、個人的な考えです。

 というのも、趣味や旅行、贅沢については、経済的に厳しくなってきたら抑えるなどして、裁量次第で生活は成り立たせられるからです。

 趣味や旅行、贅沢費用は別勘定で良いから、まずは、「生活費分を労働に頼らずに賄う」ということを目標にしたらどうかな?と思うのです。

独立採算性(「自前のストックフロー」)

 ストックは良いとして問題はフロー。

 先にも書いた通り、私は「労働収入からの独立」が本質だと考えていますので、それ以外のフロー、例えば、自前の資金による運用収益だったり、自分でかけていた年金や保険だったりは、ちゃんとしたシミュレーションに基づいたものであれば、「経済的独立」に含めていいんじゃないでしょうか。

 ただ、実家暮らしや配偶者に大きく依存している場合、生活保護の場合(生涯受けられそうな見通しが立っているとして)、「自前」とは言い難いので「経済的独立」とは思わないかな。

 さて、4%ルール。年間支出の25倍の資産があれば、毎年4%取り崩していっても、資産は減らさずに・・・というアレです。

 これは「4%の収益」が前提となっていますが、絶対に毎年4%の収益が得られるとは限らないのでどうなんだ?という話もあります。

 ただ、大抵の人は然るべきバッファーもあるでしょうから、フローとストックの合わせ技で、一生涯の生活費を賄える蓋然性は高いと見ます。

サイドFIREについて

 完全にリタイアせず副業で稼ぐ、サイドFIREというものがありますが、以下のように場合わけします。

  1. 趣味・贅沢費用を含め、全ての出費を完全に自前のストック・フローで賄えており、副業は「生活の潤いのため」に行っている
  2. 生活費は自前のストック・フローで賄えており、趣味・贅沢費用を副業で賄っている
  3. 生活費の不足分まで含めて副業で賄う。ただし、老後前のある段階(例えば50代とか)で逃げ切り状態に入り、副業を止めても問題が無い目途が立っている。
  4. 生活費の不足分まで含めて副業で賄う。副業を止められる目途が立っていない

 これまでの考え方に則れば、1番と2番は「経済的独立」の範疇に入る。

 3番は、個人的には「経済的独立」と見なさないけど、サイドFIREを名乗ることは個人的には許容範囲。厳密にはリタイアではないけど「セミリタイア」というのと同じような感じ。

 4番は、FIREというより、フリーターか個人事業主だと、私は捉えています。

自分にとっては「逃げ切る」くらいが丁度いい

 ということで、「経済的独立」を謳うには、結構、色々な条件が必要だと私は考えているので、おいそれと「自分は経済的に独立してまーす!」とは言えないな、ということがあります。

 「これで人生逃げ切れるな、あとは楽チンに過ごせるな」と自己満足に浸るくらいが丁度いいのかな、自分にとっては。

 

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「お金持ちは○○する・しない」の記事は大抵アヤシイ気がする

 最近、やたらと「お金持ちは○○している」「お金持ちは○○しない」みたいな記事が多いです(特にネット)。何かもっともらしい体裁で書かれていますが、本当なのでしょうか? 大抵はアヤシイ気がするんですよね。

目次

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 《東京都青梅市》

「お金持ち」をダシにした怪しげな記事群

 例えば、次のような記事を読んで、「そうか、お金持ちはこうなのか」などと、納得している人って本当にいるんですかね?

 これらの記事は、いわゆる「お金持ち」の多くが「500円玉貯金」をしていたり、「ジム」に通ったり、「深酒」をしなかったり、みたいなことが前提になっています。

 でもこれって、何からの調査が行われて、「なるほど、非・お金持ちと比べて、『確かにお金持ちはこうだな』という傾向」有意に見てとれることを確認した上でのことなのでしょうか。

 それとも、単にライターの身近な若干のサンプルで、そうおっしゃっているだけのことなのでしょうか。

 私の知る限り、この手の「お金持ちは○○する・しない」系の記事に、その調査元が記されていることは皆無です。身近な若干のサンプルだと断っていることも多くなく、その根拠は不明。

 でも、何か調査結果が存在するなら、必ず引用元を記すでしょうから、まぁ後者なんでしょうね(全くの想像である、とは申しません。私は人がいいので(笑))。

 そういえば、先日、お金持ちご本人と思しき方のブログを拝見していまして、「お金持ちはコンビニに行かないと言う文章を読んだが、そんなのは大間違いだ」という趣旨の投稿を見かけました。まぁ、そうですよね。

 結局、この手の記事の信憑性はそんなところであり、お金持ちをダシに使って、ビューを伸ばそうとしているだけ、のような気がしてならないんですよね。500円玉貯金にハマっているお金持ちが一人でも存在すれば、「お金持ちがハマる」がウソではなくなりますから、記事には書けますよね。

 (数学好きな私からすると「あるお金持ちがハマる」と「全てのお金持ちがハマる」は厳密に区別すべき対象ではあるのですが・・・)

学問的な調査とは

 もし、「お金持ちは○○する・しない」のことをちゃんと主張するのであれば、「お金持ちとは何か」をちゃんと定義して(ここ大事)、

  • それに合致する人、しない人を最低でも数百人程度、無作為抽出してアンケートを取り、比較する
  • あるいは、それに合致する人のうち、典型例を中心に、数十人程度を密着調査・インタビューする

等の学問的な手続きが必要。でも、このような手続きを経て得られた見解って、かなり少ないんじゃないかと。

 そんな中、数少ない「学問的手続き」を経て得られた見解とされているのが、次の著書。

億万長者とは、実際どんな人々なのか?―アメリカ富裕層研究の第一人者であるスタンリー博士とダンコ博士は、1万人以上の億万長者にインタビューとアンケートをして、資産や年収、職業、消費行動のタイプを徹底的に調査。結果は驚くべきことに、彼らのほとんどはありふれた職業と家庭をもつ「普通の人々」だったのだ!では億万長者でない普通の人々や、所得は多くても資産の少ない人々と、彼らはいったいどこが違うのか?

 これは、アメリカでの調査ですが、日本でも(お金に興味がある人の中では)わりかし有名な本。私は読んでいないのですが、ネットなどを見れば、その内容については、概ね理解できます。

 すなわち、上の紹介文でもある通り、富裕層というのは、いかにもお金持ちお金持ちしているとは限らず、むしろ意外に質素で普通の人達なのですよ、というもので、確かにそうなんだと思います。

 ただ、それは単に傾向を記したものであり、お金持ちはこうだ!と決めつける意図は、著者には無いのではないでしょうか(まともな統計的観点を持った研究者であるならば)。

荒唐無稽な「お金持ち論」は何故こんなに多いのか?

 しかし、こういう調査結果というのは、えてして「お金持ちはこうだ!」みたいな短絡的な結論に拡大解釈されやすい。そういう話を好む人は多いし、そういう話を利用する側(お金持ちをダシにコンテンツを作る側)からも都合がいい。

 また、ほとんどの人はお金持ちではありませんし、あるいは、当のお金持ちだって、お金持ちについて知っているのは自分とその周辺だけだから、「テキトーなことを書いても、お金持ちからマジで反論される危険性」は少ない(ネットでぶつくさ言われるくらいのことはあるでしょうが)。

 その結果、純に学問的な調査結果だったものであっても、どんどん手垢がついていき、果ては、「お金持ちは長財布を好む」とか「お金持ちは500円玉貯金にハマっている」など、学問もへったくれもない、荒唐無稽な話に発展していく・・・というのが、私の推測です。

 最近は、「お金持ちは長財布を・・・」の話が有名になり過ぎて、荒唐無稽さが指摘されることが多くなったのか、方向転換を図る動きがあるようですね、笑えることに

 なんか、こういう話から分かるのは、「お金持ちは○○」ということではなくて、「お金持ちだって、人それぞれ」「この手の記事は全くアテにならない」というだけのことなんじゃないの?と思います。

 

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45歳でリタイア可能なロードマップを描いておく

 45歳定年制の話の続き。

 前回記事で述べたように、45歳定年制なんて半ば思いつきであり、提唱しているご本人も実はそれほど本気度が高い訳ではありません。

50retire.hateblo.jp

 ただ、「45歳」という年齢で、人生の一つの岐路が訪れる可能性がある、という認識はしておいて良いことだと思います。このとき、リタイア可能な状況にあるととても強いので、あらかじめそのようなロードマップを描いておくことは、非常に有意義ではないでしょうか。

目次

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 《東京都青梅市・稲穂が実ってきた》

45歳定年制などのネガティブ情報に振り回されない

 世の中にはネガティブな情報の方が伝わりやすいので、どこぞの経済団体のメンバーが「終身雇用は維持できそうもない」とか「45歳定年制を設けるべき」と、おっしゃると、それが全てであるかのような騒ぎになります。

 しかし、当然のことですが、これらは一個人、多少広く見ても一企業の見解であって、しかも、本気で「終身雇用は崩壊する」とか「45歳で一斉にクビを切るべきだ」とか考えているとは言い難いフシがある。悪くいえば脅し、よくいえば激励、程度のものに捉えておいた方が良いと思います。

 もちろん、これまでの日本型雇用にほころびが見えるのは事実。ただ、その制度で発展してきた企業が、日本型雇用を完全否定するなんて出来っこない。たまにあるリストラも、あれは、日本型雇用を崩壊させるためではなく、むしろ日本型雇用を守るためにやっているものです。

 だから、各企業の人事制度改革の現場では、これまでの良い点は活かし、ほろこびは修正し(能力給の比率を増やすなど)、新たな考え方(ジョブ型雇用など)も適宜取り入れる、といった穏当なやり方が順当で現実的で、何より、多数派でしょう。

 あまり、この手のネガティブ情報に振り回されない方がよいし、そのためには、振り回されないような状況を作っておくことが、秘訣でしょう。

足元の自社の賃金体系、年金額等を把握しておく、支出の見直し

 45歳定年制云々より、大切だと思うのは、足元。自分が勤めている職場の賃金や退職金等は把握しているでしょうか? その賃金体系は、そのまま、年金等の社会保障費(今の支払額、将来の受給額)にも繋がっています。45歳定年制だったり、老後2000万問題で騒いでいる人の中で、一体、どれだけの人が、このことをやっているのでしょうか。

 また、早期リタイアを心がける場合、投資や副業に目が行きがちですが、取り立てて金稼ぎやサバイバルに秀でた能力があるわけでもない多くの小市民にとって、ベースとなるのは、何と言っても働いている会社からの給与(年取ってからは年金)、あるいはそこから生活費を差し引いて、いくら貯蓄や運用に回せるか、というところだと思うんですよね。

 ベースがあるからこそ、投資や副業などのプラスαが生きる。だから、そのベースがどう推移していくのか、あらかじめ把握しておくことは大事ではないかと。

 と、エラそうなことを書きましたが、恥ずかしながら、私も、44歳6ヶ月でリタイアを本格的に心がけるまで、全く無頓着でした。ただ、支出の最適化は、リタイアとは関係無く早くから行っていたので、結果的に50歳でリタイアできたのです。

 もっと早く、このことに目覚めていれば、もっと戦略的に早期リタイアへのロードマップを描けたのかもな・・・などと思わなくもないのです。

将来の見通しについて

 賃金体系なんてコロコロ変わるし、どうせ年金は崩壊するのだから、そんなこと知っても無意味!みたいな話もあります。

 そりゃ、未来は完全には分からない。

 ただ、ゼロの未来、百の未来の実現性は低く、その中間に落ち着くことがほとんど。その「ほとんど」のケースにおいては、現在の値をそのまま当てはめることは出来ないにしても、現在の値をベースとして、そこから何パーセント減、みたいな見通しは立てられます。

 そして、何か状況に変化があった場合も、ベースを把握しているからこそ、その状況変化が、今後どのように影響していくか、判断も出来るわけです。

 前々項でも述べた通り、皆さんお勤めの会社で、今後、人事制度の改定が発生するかもしれません。でもそれは、これまでの制度をまっさらにするよりも、今ある制度を生かしつつ、新しい考え方を取り入れていく、みたいな方向性になる可能性の方がずっと高いです。そういうとき、「今」を把握していなくて、どうやって「変化」に対応するのでしょうか?

45歳までに何を残し、今後どうするのか?

 45歳定年制はナンセンスにしても、現在の日本においては、45歳ぐらいで人生の岐路を見出そうとする考え方が主流のようですし、以前から私が書いているように、そのことは故無しとは思いません。

 【過去の当ブログ参考記事】 

 だとすると、会社の人事制度が、45~50歳くらいを境に別物に改定されていく、という可能性はそこそこあります。まぁ、現状でもこのくらいの年齢を境に出世コースに乗れた人と、そうでない人とで分かれていくわけですが、これがもっと露骨に制度化されていく、ということです。極端な話、退職勧奨の対象になってしまうこともあり得ます。

 逆に言えば、45歳くらいまでなら、ある程度現状が続けられるということでもありますから、そこまでに何を残し、その残ったものを使って今後どうするのか? というのが問題になります。

 私の場合、45歳時点では、支出の最適化を行ってある程度の貯蓄があり、結婚してパートナーがあり、出世はしてないけど、ある程度の仕事の経験がある。。。といったところが、自分に残っていたものでした。

 これを元手に、あと5年仕事を頑張って貯蓄を上乗せし、安い家を買って身を固め、50歳でリタイア、あとは好き勝手に暮らす・・・みたいなコースを歩むことにしたのです。

 45歳までの私の生き方は、かなり行き当たりばったりで、結果オーライみたいな感じですけど、これからの世の中では、もう少し狙っていった方がいいと思うし、インターネット時代で、それが可能な環境が整ってきている

 そこで45歳あたりで、何かしらの区切りが来ることを想定するとして、そのときに最高の味方になってくれるのはやはり金(カネ)ではないかと。

 いざとなれば、リタイア可能なだけの金がある、というのは、実際にリタイアする場合はもちろん、別方面のナリワイを求める場合においても、同じ会社に残り続ける場合においても、絶対に強いです。

 もっとも、45歳で完全リタイアというのは相当に難易度が高いので、なるべくそれに近い状態を目指す、というくらいが現実的ですし(例えばセミリタイア)、無茶なリスクを取ることはオススメしません。(逆に、色々上手くいって、それ以前にリタイアや転職できる環境が整っているのであれば、45歳を待つ必要も無い。ただしハードルは高いでしょう)。

 何か色々書きましたが、ざっとでいいから45歳を区切りとした人生のロードマップを描いておくことが、いいんじゃないかなぁ~、という、行き当たりばったりな人間からの、上から目線のアドバイスでした。

 

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日和見な経営者の「45歳定年制」に説得力は無い

 最近、サントリーの社長さんが「45歳定年制」なるものを提言したところ、炎上して釈明に追われています。

news.yahoo.co.jp

 最近、この手のことをおっしゃる経営者達が定期的に現れている印象です。私自身には何歳の定年が良いのか?ということを論じる能力は無いのですが、もう少し別の観点で、「この発言はダメだな」と感じています。

目次

f:id:retire50:20210913160351j:plain 《神奈川県相模原市 相模川水系秋山川》

 

半ば思いつきの話で疑心暗鬼を抱かされる人々

 私は既にリタイアしているので、この手の話に振り回されることは無いのですが、正直なところ、このような半ば思いつきのような話が発生する度に、疑心暗鬼を抱かされる方々は大変だな、と思います。

 上記で「半ば思いつきのような」と書きましたが、この社長さんが本当に、その場で思いついたことをただ述べていただけ、とは思いません。前々から考えていたことなんでしょう。

 でも、以下に述べるように、このご発言には、本気が見えないんですよね。だから「ぼくのかんがえたていねんせいど」の域を出るものではなく、よって「半ば思いつきのような」と表現したのです。

そんなに45歳定年がいいんだったら、自分の所でやったら?

 この手の話が湧きあがるたびに私は思うのです。「そんなにそれがいいんだったら、まずは自分のところでやったらどうなのか?何で自分のところでそれをやらないのだ?」と。

 今回だったら、「そんなに45歳定年が良いんだったら、自分の所でまずやったら?」

 隗より始めよ、です。

 知っています、60に達しない定年制度は法律違反だと。

 でも、今だって「役職定年」というのが広く普及していて、大体、55歳ぐらいになると平社員扱いになって待遇がガクンと下がることは、ママあるわけです。

 だから、いっそのこと「役職定年」を45歳にしてしまい、45歳で退職させるインセンティブを高める方策を導入する。例えば・・・

  • 45歳での退職は会社都合扱い。
  • 46歳以降の退職金を減額。
  • その代わり、能力給の比率を上げて、若者の給与を手厚くする(アメリカ式FIREも視野に入ってくるかも?)
  • 45歳で社員の独立を促すために、若者の登用を積極的に行い、またどんどん勉強してもらうなどして人材育成を図る。

 もちろん、今日の明日、という訳にはいかないですが、何年かかけて人事システムをしっかりと検討し、

「令和10年からこの新人事システムを開始します。令和25年には、45歳の社員の○割がこの制度のもとで退職し、第二の人生を幸せに歩んでいることを目標にします」

みたいな、ロードマップを示す。

 そんなに45歳定年がいいと言うのであれば、自社に対して、このくらいのことは出来るんじゃないの? 社長のあなたなら、と思うのです。

雇用を守る側の企業は、提言なんかせず、とっとと改定している

 一見不思議なのは、こういう提言は「さっさと従業員をクビにする」系の話しか出て来ないこと。逆に言えば、雇用を守る側に傾いている企業は、いちいち提言なんかせずに、とっとと人事システムを改定しているんですよね。

 例えば、ノジマは、定年は65歳であっても、その後、年単位の契約で80歳まで働ける、というシステムを構築しています。さっさと自社内で人事制度を改定すればいいだけであり、世の中に提言などしていないわけです。

  【過去の当ブログ参考記事】 80歳まで働ける?いいと思います。私はノーサンキューだけど。

 あと、私事で恐縮ですが、私のいた会社も、退職当時、人事制度を改革中でして、それは、なるべく社員に長く働いてもらう方向性の改革でした。やはり世の中に提言などしていません。

提言はするが自社でやらないのはヒヨっているから

 つまり、人事制度の変更は、経営層が本気になれば、各社の裁量でかなりのことが出来る。法律との兼ね合いや、労働組合との交渉など簡単ではないではない、というのも分かりますが、本当にそれが会社や社会のために必要だと思うなら、経営者が自ら本気で説得すべきでしょう。

 でも、提言するだけで、自社でそれをやろう、とは言わないのは何故か。

 それは、それをやると大量の血が流れることになるから。社員に一方的な不利益とは言わぬまでも、身を切ってもらうことも多々あるだろうし、それを導入したことにより、かえって業務が回らなくなるリスクもある。そうなると、それを断行した経営者が責められることになる。

 つまり、経営者は返り血を浴びなくてはならないし、経営者自身も血を流さなくてはならないかもしれない

 でも、そこまでしてやる覚悟は無いし、やれるとも思っていない。だから提言はするけれど、自分ではやろうとしない。

 

 多分この人の本音は「人件費削減をしたい」ということで、ただそれをストレートに出すと色々と不都合が生じるので、「若い頃から勉強しなければならない」等の、それっぽい建前を前面に出して、

「どう? 僕の提言いいでしょ? みんな、これをやってくれない?(・・よさそうだったらウチも追従するからさ・・)」みたいに、世間様にお伺いを立てているのが、この種の提言なのだと思います。

 言い方は悪いですが、ヒヨっているのです。

 本音を建前でカバーしているから、自らの言論に説得力を持たせることができず、底の浅さを見透かされて炎上する。半ば思いつきの発言だから、それを押し通すことが出来ず、釈明に追われることになる。

 

 本稿は、45歳定年そのものを批判する意図はありません。セミリタイアなりFIREを志すなら、むしろ好都合とさえ言えます(でも45歳まで引っ張ったら、最早、早期リタイア扱いにならないかも?)

 それを実現する手腕・覚悟が無いからといって、その経営者がダメだと言いたいわけでもありません。現実問題難しい、ということはあるでしょうから。

 ただ、出来もしないことを言って、人々を疑心暗鬼にさせるのは止めろ、と言いたいだけです。

 

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人生、逃げ切った!と言えるようになる日

 ひろゆき氏がどこぞの動画で「逃げ切ったとカウントすると人生楽しい」というようなことをおっしゃていました 。この人は結構、テキトーなことを言い散らかしている印象はありますが、確かに、いつか「逃げ切った」という言えるようになる、というのは、早期リタイア・定年リタイア、何れに関わらず、望ましいことだと思うので書いてみます。

目次

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 《東京都奥多摩町:奥多摩湖》

「逃げ切った」という確信は「思い込み」

www.youtube.com

 この動画では、58歳で資産8000万の人が登場し、小さな会社を興して年収200~300万、年金は月13万の予定だが、これで逃げ切れるか?ということをひろゆき氏に相談しています。

 傍目には余裕で逃げ切り可能で、ひろゆき氏もそう断じている。ただ、私に言わせれば、もっとも重要なパラメータである「生活費」が明らかになっていないので、本当に逃げ切れるのかは不明。

 まぁ、この相談者のことは置いておくとして、「逃げ切った」とはどういうことか?についての、ひろゆき氏の考察は興味深いものを感じました。

 まぁ、「現有資産」から「死ぬまでの支出」を引き算し、それがプラスになれば、理論上「逃げ切った」とカウントはできる。

 ただ、将来に絶対は無い。預けている銀行や、投資している会社が全て倒産する確率は、厳密にはゼロではない。もし仮にそういう事態が起これば「人生詰みましたー」ということになるのだから、「逃げ切った」と確信していても、そこには「思い込み」が必ず含まれている

それでも「逃げ切った」とカウントした方が楽しく過ごせる

 ただ、本当にそうなる確率は極めて低いわけで、そのようなことにまで逐一対処しようとすると、死ぬまでお金の心配をし続けなくてはならなくなる。結果、精神的に負担になり、その精神的負担から逃れるために死ぬまで働き続ける、みたいなループに陥ってしまう。

 そのことの実例として、「1億3000万円もあるのに、心配でリタイアできない」というケースが、当ブログを含め、様々な所で言及されています。

 【過去の当ブログ参考記事】 

 将来を極度に悲観したり、資産残高を保持することに拘り過ぎると、せっかく築いた財産なのに、自分や家族の人生を豊かにするために使えない。結果、その1億円を握りしめたまま死ぬまで働き続ける選択をとることになってしまうなら、やはり不幸だと思う。

 「現有資産」から「死ぬまでの支出」を引き算して、それがある程度のプラス(私の場合、1000万円)になるのであれば、例え思い込みが含まれていたとしても、そこは割り切って、逃げ切ったとカウントすると、安楽に暮らせる

  【過去の当ブログ参考記事】 リタイア後の予備資金はコミコミ1000万円で計算している

 私自身も、このような状況であるので、自分のことを「逃げ切った」とカウントしています。だから、「将来、お金が足りなくなるかも」「もっとお金を稼がなくては」という考えを持つことは無く、勝手気ままに暮らしています。

  【過去の当ブログ参考記事】 「稼ぐ」のが面倒臭いのです、正直なところ

まだ逃げ切っていない人も、50代までには逃げ切りたい

 しかし、セミリタイアやサイドFIREしている人の大多数(特に20代・30代の方)は、その段階には至っていないと思うんですよね。

 例えば、資金3000万円の人が35歳でリタイアしたとしたとします。世の中には7000万とか1億とかいう景気の良い数字が踊っているので錯覚しがちですが、35歳で3000万というのはかなり優秀な部類だと思います。

 それでも、年間100万円取り崩すだけで、65歳で尽きてなくなってしまう数字ですから、さすがに「逃げ切った」とカウントは出来ない。だから、完全リタイアではなく、セミリタイアとして、あるいはサイドFIREとして、配当金なり副業なりを得ることにより、リタイア後もこの3000万を極力維持していく必要があります。

 でも逆に、この3000万を維持し続けることが出来たとしたならば、いつかは「逃げ切った」と言える日が来るんですよね。それはいつなのか? ケース・バイ・ケースですが、個人的な感覚で言うと、50代半ばあたりまで当初の3000万円が維持され、かつ住宅費を含めた支出が最適化されていれば、いい線行っているんじゃないかと(独身・持ち家の場合)。

  •  注)なお、もっと後、例えば、50歳でリタイアする場合であれば、35歳リタイアの場合より、維持資産は少なくてよい。年金受給額に差があるからです。

 もちろん、「逃げ切った」からといって、ただちに投資や副業を止める必要はなく、自分が楽しいと思うのなら、そのまま続けて資産を上乗せしていけばよい。

 ただ、リタイア後にもノドの小骨のように残っていた「毎月いくらいくら稼がなくてはいけない」という大いなる義務から、人生のある段階で解放されることの意義は大きいのです。

 逆に言えば、バイト程度の労働であっても、「それを生涯続けることが必須」のループに陥ってしまうと、若いうちは良くても、いつまでたっても逃げ切りの態勢に入ることができず、年齢を重ねるごとに、どんどんしんどさが増していくことでしょう。

 経済的独立が完全ではない段階で、サイドFIREやセミリタイアすることを検討している方もいるかと思います。そのこと自体は別に良いと思いますが、50代には逃げ切り態勢に入れるくらいの資産と収支計画をあらかじめ整えてからリタイアすることを強くオススメします。

 

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