早期・セミリタイアを思いつくキッカケというのは、人それぞれでありまして・・・。私の場合は、ある日、書店で立ち読みしている際に出会った本がそれ。44歳の頃でした。
目次
その本に出会った経緯
以前の当ブログ投稿より。
当時の通帳によると、37歳の時点で残高は2000万円ほどでした。
「これを元手に、何とか会社を辞められないか…。」
しかし、ちょっと考えてみて、それはさすがに無理だと思いました。
(中略)
今につながるリタイア計画を思いついたのは44歳の頃、今から5~6年ほど前のことです。当時、会社で色々と不愉快な出来事があり、会社勤めがほとほと嫌になっていた時期でした。
そんなあるとき書店で「年収100万円の豊かな節約生活」という本が目に入りました。
その本がこれです。
考えれば、あの時、たまたま書店に立ち寄って、たまたまあの棚を通りがかって、たまたまこの本を手に取ったから、今の私があるのです。嗚呼何と言ふ運命の悪戯なりや。。。
この本は、本来は「人生論」の部類に続すると思うのですが、その標題のためか、生活関連本(主に女性向け)の棚に置かれていました。
私はその棚を通りがかり、この本の背表紙が目に入りました。
「年収100万円で生活なんて、どんなショボイものなのか、どれ一つ見てやろう」
と、自分の生活のショボさを棚に上げて、この本を手にとったのでした。もちろん買うつもりなど全く無く。
読んでいるうちにリタイアへの気持ちが盛り上がる
この本の内容については後で書きますが、実は賛否両論があります。この著者独自の状況や方法論が多く含まれていますので、「全く参考にならない駄本」的にコメントしている人もいます。
でも、このときの私はそうは思わなかった。
書店でパラパラと読み進めているうちに、
「この生活はアリだろ」
と思うようになっていたのです。
確かに年間100万円という枠はキツいが、色々と生活に工夫を凝らすことで、この著者は仕事もせずに楽しく暮らしている、という話。
これに対して、私は次のようなことを考えていました。
「そういえば、自分も30代の頃、会社を辞めるなんてこと、チラッと考えていたよな。あのときは断念したけど」
「仮に、自分の支出を年間100万円に抑えられたとしたら、65歳(年金受給開始年齢)まで暮らしていく貯蓄は既にあることになるよな」
「よく考えたら、自分だって年間100万とはいわぬものの、大してお金を遣ってないだろ」
「もしこのような方法論で会社を辞めることができたなら、もう仕事なんてしなくてよくなる訳だよな」
どんどん脳内で話が盛り上がっていきました。そして立ち読みで済ますつもりだったはずの本を買い求め、家で一気に読み終えたのでした。
本の内容と私のリタイア計画との関連
著者の経歴を超大雑把にまとめると、東大経済学部卒業後、酒類メーカーに就職するも30歳で退職。その後、バイトはするものの定職に就くことはなく、出版時(2011年)は51歳に。
リタイアの観点からみると、この人は貧乏セミリタイアの部類に属すると思います。私なりにまとめると、以下の如し。
年収100万円というのは、親が遺してくれた中古マンションの家賃収入のこと。うち、住宅費・年金・健康保険等の固定費を除いた、食費・光熱費・交際費等の変動費を36万(月3万平均)でやりくりする。少ないように思えるが、それでも毎年数万円は黒字となっている。
食事には特に拘っており、一日500円という制約を設けながらも、スーパーの価格チェックをきめ細かく行ってハシゴすることで、おいしい料理を作るのに必要十分な量が底値で買える。料理の腕を磨いた結果、友人を家に招いて、おもてなしができるまでになった。
万一、お金が足りなくなった場合は、ネットでのポイント稼ぎ、ミステリーショッパー、治験等で副収入を得る。
普通には真似は出来ない生活なので、これをもって「全く参考にならない」と言われるのも仕方が無いのかもしれません。
でも私は考えました。
年間100万円というハードルは確かに高過ぎる。でも別に本に書かれていることを何から何まで実践する必要はない。自分流にアレンジすればいいだけではないかと。
当時、我が家は夫婦共働きで生活費は折半(交際費や趣味は個別会計)。色々と計算した結果、一人当たり年間150万円程度(税や年金、健康保険を加味した額)あれば、スーパーの価格チェックをきめ細かく行わなくても暮らしていけそうでした。ただし、ローン無しの持ち家がある、という前提(当時は社宅住まい)。
一方で、本当にこの段階で会社を辞め、持ち家を購入し、年間150万円で暮らす生活を始めると、資金的には結構厳しく、いつか治験をやる羽目になりかねない状況でした。
それに、たまには贅沢もしたいし、リスク対応なども考えなくてはいけない。この本の著者のように年間100万円の不労収入があるわけでもないから、やはり今すぐには辞めない方がいいだろうと。
更に計算を続け、会社の退職金の制度なども調べて「50歳にリタイアする」という結論に達したのでした。
ホームベーカリーというアイテム
私がこの本から直接受けた影響として、「ホームベーカリーの導入」があります。
たとえ無職であっても、人生は楽しみたい、おいしいモノも食べたい。著者がそのような要求を実現するのに、ホームベーカリーは切っても切り離せないもの。
私はそれまで全然気にかけたことがなかったのですが、いかにもおいしそう、楽しそう。そんなに良い物なら導入しない手はないな、と。
ただ、現役の間に導入してしまうと何やかんやで放置しそうだったので、リタイア後にしたのです。
最終章は一種の人生論
遅ればせながら、この本の目次。
- 「失礼ながらどうやって暮らしておられるのですか?」
- プータローは毎日何をしているのか?
- 豊かに節約することができるのか?
- 僕の五十一年間を振り返ると
- 我が家はいつも千客万来!
- ネットでどれだけ稼ぐことができるのか?
- 天職はプータロー
うち、最終章以外は「無職生活はこんなに楽しい!」という能天気な話が続くのですが、最終章の10頁強は一種の人生論になっています。
少し、ピックアップしてみます。
おそらくこれら友人たちの反応には、何か(意味のあること)をしなければいけない・・・すなわち「人間たるもの、何かをしてなんぼ」という思いが背後にあるのだろうが、ところがどっこい、今の僕はそんな思いからはかなり離れたところにあるのだ。
何に贅沢を感じるかは、人によって違うのが当たり前。何に心の豊かさを感じるかもそう。なにも自分の幸福や健康をないがしろにしてまで、社会の常識や価値観をそのまま受け入れる必要はありません。
こういう話、別にこの本に限らず、多くのリタイアブログ等に書かれがちなことではあります。そういう意味ではありきたりかも。
ただこの著者は、20年以上貧乏セミリタイアをガチで続けてきた大先輩なわけで、かなりその言葉は重いようにも思えてくるのです。
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