1円のためスーパーに30分かけて行くヤツ⇒そんな奴おらへんやろ~
麻木久仁子さんが、TV番組の企画内で「1円のためスーパーに30分かけて行く」ことを批判したのが、一部で議論になっているそうです。
麻木久仁子“1円のためスーパーに30分かけて行くヤツ”「時間とお金の無駄」発言の是非(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース
「節約派・浪費派」に分かれ、それぞれの主張をぶつけ合う企画。浪費派という麻木は先の放送で「1円の(節約の)ために30分かけてスーパー行くヤツ」とし、こんな持論を展開した。
(中略)
「スーパーは雑貨とか食料が集まって、効率よく買い物できるのが一番いいところ。それなのに、いろいろとちらしやスマホを見て、あっちの卵が50円安いとか、こっちの方が5円安いとか。何軒もはしごしている。(略)」
言わんとすることは分かるのですが、現実問題、「1円のために30分かけてスーパー行くヤツ」なんて、節約派の中でも少数派ではないかと。大木こだまひびき風に言えば「そんな奴(ほとんど)おらへんやろ~」という感じ。
目次
《東京都青梅市》
大抵の"節約派"は、総合的に判断して合理的に行動していると思う
もちろん、“1円のためスーパーに30分かけて行くヤツ”はゼロではないですよ。あの厚切りジェイソン氏がそれに近い行動原理のようで、1円でも安く買うために、遠いスーパーにも行かれるようです。
ジェイソン「700円のコーヒーを飲む人はバカ。1時間多く働かないといけないなら僕は飲まずに1時間の自由な時間が欲しい。」 [585351372]
厚切りジェイソン:ケチというか、もう習慣になってるから気にならないだけです。自動販売機で飲み物を買わないとか、
僕は散歩が好きだから、2km先の業務スーパーまで行って1円でも安い物を買います。物を買うときは必ず数箇所のものの値段を見ますよ。
その場でパッと買うというのはないです、一切。どうせ同じものなら安いほうが良いでしょ?
まぁ、この方が2km先に遠征するのも、散歩を兼ねてというようですし、業務スーパーには、色々と安いモノ・独自の商品が揃っているので、本当に1円を節約するためだけに行っているとは思いにくいのですよね。
別のスーパーに行くと、値段以外にも、品ぞろえが違ったり、豚肉なんかでも、店によって何となく感じが違っていたりするので、食卓のバリエーションが増えて、節約に留まらない効果がある。こういうのは、日常生活を工夫していくと見えてくる事実。
だから、普段は、同じスーパー内でなるべく安い商品を買うくらいの私ですが、遠くのスーパーに敢えて行くことも、たまにはします。
多くの"節約派"の皆さんは、このように、節約額と労力、その他の効果などを総合的・合理的に判断して、近くで済ませるのか、遠征するのか決めているわけです。
絵に描いたような超節約、例えば、醤油が切れたのでとにかく醤油だけ買い足したいときに、わざわざ30分先のスーパーに1円安い醤油だけを買って、とんぼ返りするような、機械的・硬直的な行動をされている方は、かなり例外的な存在ではないでしょうか。
"浪費派"の思い描く"節約派"
しかし、節約というテーマで話題に挙がりやすいのは、その「例外的な存在」なんですよねぇ。テレビなんかは、インパクトを重視するからか、「1円のためスーパーに30分かけて行くヤツ」とか「節約の達人」みたいなステレオタイプな事例を取り上げる。
確かに、そういう極端なケースを引き合いに出すと、一見分かりやすいのですが、現実からはかけ離れた議論になりがちなんですよね。
まぁ、これが「浪費派」の思い描く「節約派」なのかもしれないし、その逆も然りなのかもしれません。
時給換算で損な買い物など、多くの人がやっているのでは?
「その人の時給は2円ってことになりますよね。お住まいの都道府県の最低時給を見てください、その時間働けばいい」
これに納得してしまう方も多いかもしれませんが、個人的には「じゃぁ、あなたは時給換算で損な買い物は、全くしないの?」と言いたい。
例えば、ネット通販。
あれも、コスパの良いものを買おうと色々ネットで調べていると、結構、時間を食うものです。最初から、どの商品を買うかピンポイントで決まっているならば、価格.comで調べて一発・・・ということもありますが、一般にはそうはいかない。
価格.comに載っていない商品もあるし、どの商品を買うかピンポイントで決まっていなければ、まずは似たような膨大の商品から選定していくのが大変。
売れ筋を適当に選ぶなどすれば、大外れしないものが10分程度で選べるのに、様々な通販サイトをハシゴしながら、あれでもない、これでもない、と悩んでいたら、何時間も(下手すると)何日も経過していた、それでコスパの良いものを買えたとしても、時給換算でいえば、最低時給以下だったなんてことも、結構ありがちではないかと。
別に、このことが悪いと言っているのではなく(私だってやっていますし)、ただ、時給換算で損な買い物など、意識していないだけで、多くの人がやっていることではないのか?ということです。
だから、時給換算で損な行動を無意味・愚かみたいに一刀両断するのは、一見賢いようでいて、人間に関する洞察の足りない、どこか底の浅い理論な感じがする。社会学者にしてはお粗末では?などと思ってしまいました。
時間とお金の関係については、過去記事もご覧ください!
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FIREブーム終焉?むしろこれからが本番!
最近、投資環境の様子が思わしくないからなのか、「FIREブーム終焉!」的なことが言われることがあります。特に、本国のアメリカではインフレにより、退職済の方も生活プランの見直しを迫られているのだとか。
FIREブームの終わり。仕事を見つけないと、これから生活できない!6月米雇用統計 詳細レポート | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
FIREブームが始まった時は、これほどの急激かつ大幅なインフレを想定していなかった。それだけではなく、FRBの利上げの副作用で、FIREの資金源であった株式投資の収入まで不安定になっています。いったんは退職した人たちも、生活プランを大幅に見直しする必要に迫られ、再び働き始めるようになったのです。
まぁ、それでもFIRE志望者の方は、むしろこれからが本番!と構えて、頑張って下さい、という風に思いますね。
目次
《東京都西多摩郡日の出町:多摩川水系北大久野川の上流端標識》
FIREに「ブーム」という言葉はそぐわないと思う
私がこれまで違和感を持っていた言葉に「FIREブーム」というのがあります。
ブームというのは、一時的な盛り上がりに対していう言葉。そして、その対象がポケモンGOやタピオカなのであれば、一時の盛り上がりというのも当たっています。
しかしことFIREに関していえば、ポケモンGOやタピオカとは違う性質を持っています。
確かに、FIREをした人・目指す人が増えると、表面上、一時的には盛り上がるので、端からみると「ブーム」に見えるのでしょう。しかし当人からすれば、FIREというのは目指してから死ぬまでの超長期戦のはずであり、一時の流行り廃りで、やったりやめたりするもんでは、本来ないはず。
ブームであろうと、ブームでなかろうと、地道に資産管理を行って地道に生活していく、という、地道な活動を何十年も行っていく、というのがFIREの本質だと、私は思っているので、ブームという言葉はそぐわないかな、と思うのです。
ブームが終わって本来の在り方に戻ることを期待
まぁ、私は、FIREが盛り上がっているのは、一部の限られた人々の中であり、ブームと呼べるほどのものではなかった、と思ってはいますが、一方で、FIREというものが本来の在り方以上に広がり過ぎているような気はしています。
例えば、
- ○○FIREの言葉がやたらと量産されるとか
- 金融商品や投資本の売り文句にFIREを使ってみたりだとか
- FIREセミナーみたいなものが出来たりだとか
- 著名人や新聞までがFIREを扱ってみたりだとか
- やたらとキラキラ描かれたFIRE像に、FIRE反対論者が異を唱えているとか
- 入金力に欠ける人が、極度の節約とバイトで食いつないでいる状態をFIREと自称してみたりだとか
- 「金融リテラシーの低い日本人」を嘆く意識高い人々が多く発生したとか
こんなのはみんな徒花。もし、本当にFIREブームが終わるのであれば、これらの徒花は少なくなり、本来の在り方に戻るのでは?という風に期待しています(まぁ、少しは残るでしょうが)。
FIREはこれからが本番
一方、本当に、キチンとFIREを目指したり、あるいは早期リタイア生活を始めている人にとっては、むしろこれからが本番ではないか、と思うんですよね。雑音が少なくなって、やっと等身大のFIRE生活というのが見えてくると思いますし。
バブル経済の頃、フリーアルバイター(現在でいうフリーター)なる人達が現れました。彼らの発想は「正社員で拘束を受けることなく、自分の好きなことをやって暮らしていこう」というものであり、現在のバリスタFIRE等と変わるところはあまりありません。FIREなんて、名前以外は取り立てて新しいモノではないのです。
しかし、バブル崩壊とともに、そのフリーアルバイターは凋落してしまいました。私は、この時代に、丁度、学生⇒新社会人だったので、彼らの持てはやしぶりと、その後の凋落について直接知っています。だから、最近のFIREの徒花の繚乱ぶりについて疑問を持っているのです。
ただ、バブル崩壊・フリーアルバイターの凋落に比べれば、最近の株価の下落など大したことではありません。むしろ、行き着く所まで行ってから大暴落するのでなくて良かった、とポジティブに捉えるべきだと思います。
FIRE志望者の多くが求めているのは、上記のような徒花ではなく、「地道に資産管理を行って地道に生活する」ことであるはずで、そのためにはどうすればよいか、再検討するいい機会ではないかと。
過去記事より。
米国株暴落でFIREの難易度が上昇したというが・・・ - 50歳で早期退職し、セミリタイア!
気になったのは「難易度が急上昇」という文言。動画では、いくつか上昇原因が挙げられており、株価下落のほか、金融所得等への課税強化や副業の環境悪化など。
(中略)
FIREというものは、本来そこまで考慮に入れて計画するべきだと思うので、このくらいで「難易度が上がった!」と発想すること自体が間違っているような気がするわけです。
これに付け加えていうならば、この程度で「FIREの難易度が上がった!」とかおっしゃる方は、上記のような徒花に乗せられ過ぎだと思うんですよね。
「FIREの難易度が上がった」のではなく、「もともとこのくらいの難易度だった」と思って、FIRE界から去っていくのか、計画を見直してFIRE界に居続けるのか、検討すれば良いのでは?と思います。別にFIREが不可能な世の中になったとは思いません。
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早期退職年齢と年金受給額の関係について、私の試算結果
私が会社を早期退職するにあたり、主要な検討事項の一つは「年金」でした。当時、私が計算していたことについて書いてみましょう。あくまで雑談ベースで語るものであり、正確な受給の仕組みなどを解説するのではありません。
なお、「どうせ将来年金なんか出やしないから、俺は年金に頼らず生きていくぜ!」という方には、無意味な記事となりますので、読む必要は無いと思います。
目次
《東京都奥多摩町》
退職年齢と年金額の一般論
年老いてもなお、自らの「保有資産額」「資産運用力」「副業」「サバイバル能力」などに自信がある!という人は、年金などに頼らず独自の方法で良いでしょうが、そうでない人は、素直に、65~70歳以降の生活費として年金を計算に入れるのが、良いと思います。この辺りについては、次の過去記事を参考にして下さい
【過去の当ブログ参考記事】年金とリタイア生活について、私が考えていること
早期退職、早期リタイアと年金について、基本的な考え方は、
- 会社員として長く勤めて厚生年金を多く払うほど、もらえる年金は増えるのでリタイアの難易度は低くなる。
- 退職年齢を早めれば早めるほど、もらえる年金は減るのでリタイアの難易度は高くなる。
という至極当たり前の話です。次のサイトなんかはよくまとまっているので参考にして下さい。
ただ、この辺、一般論だけでは割り切れず、ケース・バイ・ケースの話でもあるので、早期退職を考えている人は、受給額を、ねんきんネットで調べてみる、ということになります。
私の場合の計算
私もねんきんネットで、色々なケースを調べてみました。代表的なのは次の3パターンです。
具体的な金額は、書くのを差し控えますが、「50歳で辞め、国民年金に移行」の場合、受給額は百数十万円でした。また、「55歳で辞め、国民年金に移行」だと、そこから更に年額15万円アップ、「60歳で辞める」だと年額33万円アップする、という結果でした。
一方で、受給額が上がるほど、差し引かれる税金や保険料なども大きくなる、ということもあるので、実際の手取り額も、見よう見まねで試算してみました。
すると、「50歳で辞め、国民年金に移行」の手取り額に比べ、「55歳で辞め、国民年金に移行」だと年額11.4万円アップ、「60歳で辞める」だと年額25万円アップに留まっていました。
評価
このようなデータが出揃った上で、リタイア年齢を検討しました。
結論から書くと、「50歳で辞め、国民年金に移行」であっても、生活費を賄うには充分なので、当初の想定通り、50歳で辞めることにしました。
実際、リタイア1年めの出費は月平均9万円、年間110万円ほどでした(年金等の支払いは含めない額)。2年目も150万弱。このくらいの額なら、50歳で退職した場合の想定受給額で、大部分は賄うことができてしまいます。もっとも、インフレなどがあれば持ち出しは増えるでしょうが、そのくらい賄えるくらいの資金は作っていると自負しています。
【過去の当ブログ参考記事】リタイア後の生活費の推移。
とすると、より長く働いて、手取りベースで年金を11.4万円や25万円アップさせても、私にとってはそれ程意味の無いことであり、50歳での退職は、年金的には理に適っているのではないかと。
50歳まで退職を延ばしたのは、会社の退職金制度が有利になるからなのですが(退職金が増えるので50歳で辞めることにした 参照)、逆に、それ以上に延ばさなかったのは、以上の計算によるところが大きいのです。
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参議院選挙の結果について独自見解、および今後の政局
昨日、参議院選挙の投開票がありましたので、私個人の独自見解を書いてみたいと思います。
目次
銃撃事件の影響はあったのか?
まずは、安倍元総理の銃撃事件の影響はあったのか?という点です。
これは前例の無いことですし、銃撃事件の無かった世界を再現することなど出来ませんので、正確なところは知りようがありません。
それでも一応、前回、予想を書いています。
この構図だと、保守系の有権者が、自民へのお灸的な意味で、思想信条的に多少合わなくても民主党系政党や小政党に投票することがありますが、今回の事件で自民にいくらか回帰する可能性があります。特に接戦区では影響が大きく、自民が当選しやすくなると見ます。
比例も同様で、自民の比例票が維新や保守系小政党に流れがちだったのですが、今回の事件で、かなり流出は減って、19~21議席くらいは取るかもしれません。
限定的ですが、この通りにはなったと思います。仮にあの事件が無かったら、自民の比例は低調で、その代わりに維新か参政党がもう1議席くらいとったかもしれません。
また、京都は2位当選の立憲と3位落選の維新は僅差であり、あの事件が無ければ、もう少し自民から維新に票が流れて、維新が立憲を上回っていたかもしれません。
更には、接戦1人区を1~2議席くらい、自民が落としていたかもしれません。
ただ、事件の有無関係無く、
でしたので、若干の入れ替わりはあるにせよ、事件によって結果が大きく変わったということは無いように思います。
各党の評価
自民
大勝といって良いと思います。ただ比例は前回から1議席減らしており、銃撃事件が無ければ、更にもう1~2議席くらい減らしていた可能性もあります。
比例で減らした分は、維新や国民民主党、あるいは参政党、下手するとNHK党などに流出した可能性があります(国民民主党は議席を減らしているが、党勢を考えれば、比例では健闘している)。
これは、「当面は今の与党でいいが、他党の奮起も期待したい」という意識の表れのような気がします。比例票というのは、現在の選択というより、将来の期待値も色濃く現れるものですので。
立憲
厳しい結果だと思います。
1人区は、長く民主の牙城だった岩手や新潟を落とすなど壊滅的。複数区では維新の猛追にどうにか持ちこたえたとは言え、全体的にかなり下振れしています。その典型が蓮舫氏。各選挙の得票数。
- 2004年 924,643(3位当選)
- 2010年 1,710,734(トップ当選)
- 2016年 1,123,145(トップ当選)
- 2022年 670,339(4位当選)
比例区では、辻元氏がトップ当選を果たしたものの、得票数は全国併せて40万票弱で、辻元氏ほどのネームバリューにしては物足りない結果に思えます。
また、有田芳生氏の凋落も著しく、2010年は373,834票で党トップ当選を果たしているのに、今回は僅か46,476票で落選。
維新
議席は倍増しましたが物足りない結果のように思います。銃撃事件があったとはいえ、私も維新の伸びを過信しており反省しています。
銃撃事件により落としてしまったと思われる議席も若干ありますし、それ以外にも惜しい選挙区(複数区)もありましたが、根本的には、まだまだ地域政党の枠を脱し切れていないということなのでしょう。
比例では野党第一党になりましたが、それは維新の伸びにもまして、立憲の衰退によるものが大きいです。
(参院選は小政党が乱立しやすく、その分、票が分散するので、衆院選以上に得票率が低く出がちな点は割り引いて考える必要があります)
共産
比例の改選5議席から3議席に減らしていますが、むしろ6年前の方が出来すぎであり、通常運転に戻ったと見た方が良い気がします。あの頃はブラック企業追及で、共産党が人気あったんですよね。
国民
党勢から考えると、改選7議席の維持というのは最初から無理な話でした。山形と愛知を死守し、比例3議席をねじ込んだだけでも(さらには埼玉で推薦を出した上田元知事が当選)、党勢にしては善戦しています。
とはいえ、議席を減らしたことには変わりないので、敗北扱いか。
社民
政党要件の比例2%、および福島代表の議席を守りました。この党はこれだけでOKでしょう。
その他
れいわ、参政、NHKなどは、いかにも令和の時代らしい小政党。ネットの活用で、このような小政党が今後も現れるのでしょうね。
今後の政局・自民
政局的には、自民が大勝したことよりも、安倍総理が亡くなったということの方が重要なファクターとして捉えられているようです。
特に最大派閥の安倍派はどうなるんだ、自民党は混迷の時代を迎える、みたいな。
個人的な憶測を言うなら、多少ゴタゴタするかもしれませんが、(枝野代表の言葉を借りれば)「コップの中の嵐」で終わるんじゃないでしょうか。
選挙に勝利して政権は安泰、(郵政民営化のような)党が割れる政治イシューも今のところ無い。そのような場合、何だかんだで落ち着くところに落ち着く、というのが、自民党です。
一方で、岸田首相から安倍元首相の影響力は無くなります。緊縮財政や増税の方に梶を切ってしまうことが心配されているようです。
今後の政局・野党
これについては、以前、参議院選挙 ~ 立憲民主党を中心とした今後の政局 に書いていますが、補足します。
まず、立憲の泉代表は、代表辞任を否定されています(現段階では)。
ただ、党内では、枝野時代に戻りたがっている方が少なくないと思いますので、このような言い分は通りにくそう。泉代表がおとなしく辞任し、枝野時代に時計を戻せば(新代表は辻元氏、というのが私の憶測)一時の安定を得ることができる。しかし、党勢回復の見込みはほどんど無い。
一方で、枝野時代に時計を戻そうとする動きに反発する動きも全く無いとは言えない。この対立が活発化した場合、安倍派の混迷なんて問題にならないくらいに混迷する可能性がある。前回はおそるおそる代表選を行うことで危機を逃れたが、今度こそ分裂の話になるかもしれない。
一方で、国民民主党。先に、「5議席は善戦」と書きましたが、議席を減らしたことには違い無いので、それが通るかどうかは微妙。立憲と同じく、このままでは党勢浮揚の兆しはほとんどない。
先には「玉木代表続投でこれまで通り」から「代表辞任⇒新代表」、さらには「党分裂」「連立与党入り」など全ての場合があり得る。
とにかく、この2党は、何も起きないかもしれないし、ガラガラポンになってしまう可能性もある。
個人的には、立憲に関しては、政権を取ることは諦めて左派の盟主格に活路を見出すことも考えてよいと思う。共産党との協力も復活させて。
維新・国民・ファなどの第三極派は、独自性を出すのもいいけど、もう少しまとまって選挙協力などをやらないと、こちらもジリ貧だと思うんだよね。
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安倍元総理死去 ~参議院選挙はどうなるのか?~
奈良県で、選挙演説中の安倍元総理が銃撃、死去、というニュースが入ってきました。本当にびっくりしました。ご冥福をお祈り申し上げます。
目次
令和の時代でもこんなことが起きるとは・・
過去、現職総理または総理経験者が暗殺された例としては、
があると思いますが、これらは、大正後期~昭和初期に立て続けに起こっています。この時期、日本は、大正デモクラシーの時代から、一気に戦争の時代へと突き進んでいったということを考えると、今回の事件も非常に不穏なものを感じてしまいます。
令和の時代でもこんなことが起きるんだな・・・・。
大物政治家に殺意を抱き、それを実行してしまう者が、ごく僅か存在する。それはいつの時代でも変わらない、ということか。殺人を肯定するものでは決してないが、総理というのはそういう立場なのか。
なお、「選挙期間中に・・民主主義への挑戦」という風に言われていますが、犯人はそこまで考えていなくて、選挙期間中だと狙いやすかったというだけのことでしょう。
安倍元総理は分かりやすい「共通の敵」だった
安倍総理は、(第二次以降の)長い長い在任期間に行われた、全ての衆議院総選挙・参議院通常選挙において、二位以下に大差をつけて勝利しています。最後こそコロナで支持率が下がってしまいましたが、人気という点では随一のものがあったと思います。
だからこそ、というべきか、敵の多い方でもありました。
詳細は省略しますが、安倍氏はいわゆるタカ派的な政治信条をお持ちでしたが、そういう方が国民的人気を長期にわたって獲得している状態は、割を食う側からすると、面白いものではなかったでしょう。
だからなのか、安倍氏は、対立勢力にとって非常に分かりやすい「共通の敵」でした。安倍氏に対する憎悪をかきたてるような言動もかなり目立っていたようですし、総理辞任後、既に二代を経ているのに、いまだに安倍氏がどうのこうの、とおっしゃっているのを見かける状態です。
もっとも、今回の銃撃を企てたのが、その対立勢力というのでは決してありませんが、彼らの「安倍氏に対する憎悪をかきたてるような言動」が、犯人の心情に影響していた可能性は否定できないような気がするのです。
参議院選挙の結果への影響はあるか?
そして気になるのは、あさってに控えた参議院選挙ですが、今回の事件、結果への影響はあるのか?ないのか?
参考に出来そうなのは、昭和55年の衆参同時選挙期間中に大平総理が急死された例くらいしかありません。
具体的にはwikipediaのハプニング解散の項をご覧いただければと思いますが、簡単に述べますと、総理の病死によって、それまでゴタゴタしていた自民党内がまとまって、同情票も得ることが出来て、自民党は圧勝してしまいました。
敢えて、この一例だけを参考に申し上げるなら、やはり、「影響はある」と思います。しかも、今回は病死ではなく、暗殺という更にショッキングな事件であり、それから僅か2日、そのショックが尾を引いたまま投票することになるのです。
影響の内容
大平氏の例が示しているように、選挙としては自民側に有利になると見ます。
「自民に入れようか他党に入れようか」と迷っている方は、自民の方にかなり振れるでしょう。こういう方の多くは、もともと自民指向だったが自民の勝利予測を受けて、他党も検討している、というパターンが多いと思います。しかし、今回の事件の衝撃で、その検討を止めて自民に決めてしまう方が多数出るものと推測。
その結果、割を食うのは、自民票の主な流出先、つまり維新や保守系の小政党です。
特に、事件現場の奈良、その隣の京都は接戦区でしたが、ともに自民がとるんじゃないでしょうか(京都もう1議席が立憲と維新どちらになるかは不明)。
立憲・国民の民主党系政党も安泰ではありません。特に1人区。自民優勢とはいえ、接戦に持ち込んでいる区もいくつかあり、自民vs民主党系野党vs小政党の構図。
この構図だと、保守系の有権者が、自民へのお灸的な意味で、思想信条的に多少合わなくても民主党系政党や小政党に投票することがありますが、今回の事件で自民にいくらか回帰する可能性があります。特に接戦区では影響が大きく、自民が当選しやすくなると見ます。
比例も同様で、自民の比例票が維新や保守系小政党に流れがちだったのですが、今回の事件で、かなり流出は減って、19~21議席くらいは取るかもしれません。
色々書いてみましたが、前例に乏しい話なので、やはり予測は難しいですね。
改めて、安倍元総理のご冥福をお祈り申し上げます。
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参議院選終盤情勢の独自考察
参議院選挙ももう終盤戦。各社の終盤情勢調査も出揃ってきたので、開票前に改めて考察してみたいと思います。かなりの長文です。
目次
情勢調査は色々とありますが、ここでは朝日の調査を中心に見ていきます。何といっても、前回、(個々の選挙区はともかくとして)もっとも近い数字を予測したのが朝日だったからです。
自民:堅調だが、比例は他党に若干流出
現職の支持率低下は選挙前にはありがちな現象であり、あまり重く見る必要はない
まず。
選挙を控えて内閣支持率が低下していますが、このことの影響は限定的です。なぜなら、選挙を控えて現職の支持率が低下するというのは、結構ありがちな話だからです。さらに言うなら、現職が当選後に支持率が大幅アップする、というところまでがセットです。
なぜこのようなことが起こるのか。
まず、普段の調査においては、「この人(総理や知事など)を支持するかしないか」と問われた場合、無党派だったり、野党を支持している人でも「支持する」と答える人が結構います。その結果、支持率は高く出がちです。
しかし選挙が近づいてくると、そのような人は「○○を支持する」と回答することに抵抗を感じるようになります。それは、与党に投票しないor迷っているのに、「○○を支持する」と明確に回答することは矛盾するからです。
結果、支持率は下がったりするわけですが、その○○が当選した暁には、そういう人達の支持が復活し、更には勝ち馬に乗る人が上乗せされ、支持率が大幅アップするのです。
今回の場合、物価上昇や節電の問題も少しはあるかもしれませんが、大半は上記のようなメカニズムで支持率が下がっているだけなので、あまり重く見る必要はないとみています。
与党の勝利があまりに言われ過ぎて、比例が伸び悩む
さて本題。
選挙区においては、対立野党(主に立憲民主党)がグダグダなのもあって、自民は非常に堅調。圧勝の兆しすらあります。
複数区においては、北海道・千葉の二人め、および京都が接戦なのを除けば全勝。一人区でも、新潟、長野、岩手など、これまで自民が勝てなかったところでも、競り勝つ可能性があります。
ただ、比例は伸び悩んでいますね。「20議席いくんじゃないか」とも言わることもあったのですが、朝日の情勢分析を見ると「15~19」に過ぎません。
それは、与党の勝利予想が言われ過ぎて、選挙区は自民でも、比例は他党に入れようとする傾向が強まっているからです。
保守系の有権者であっても、「自民以外に良さげな党があれば、そちらに入れたい」という人が、実は少なくない。でも、選挙区では、対立候補が「かなり左に寄ってしまった立憲」や「当選の見込みのない小政党」だったりするので、結局、自民に投票するしかない。
しかし、比例は別。自民以外にも保守系の新興政党があって、しかも小政党でも当選の目がある。「それほどまでに自民が勝つのであれば、これ以上自民が議席を増やすよりも、そのような小政党にチャンスを与えたい」このような心理が、一部の保守系有権者に芽生えているようです。
維新:比例で野党第一党、複数区でも接戦に持ち込む
次は、話の流れの都合上、維新について述べます。
朝日の情勢調査だと、比例の議席数は「6~9」となっており、立憲の「5~8」を上回っていて、比例での野党第一党が視野に入っています。
前回の衆議院選では、大阪・兵庫はもちろん、他の関西地区、富山、徳島、首都圏の一部地域などでも、維新は立憲を比例票で上回っていました。現在、この傾向が一層強まっているようです。特に、先述の自民の比例票の流出の一部が維新に流れているのも追い風です。
ただ、それ以上に、今回の選挙の最大のハイライトだと思うのが、選挙区、特に複数区における維新の追い上げです。
大阪・兵庫を除くと、前回の維新の強さは主に比例で発揮されていました。なので、選挙区ではまだまだで、今回も、地盤のほとんど無いところからスタートしているところが多いです。
しかし、その後、猛烈な追い上げにより、次の選挙区において接戦にまで持ち込んでいます。
- 茨城(2人区)2議席め
- 埼玉(4人区)4議席め
- 東京(6人区)6議席め
- 千葉(3人区)3議席め
- 愛知(4人区)4議席め
- 京都(2人区)2議席め
- 奈良(1人区)
- 広島(2人区)2議席め
- 福岡(3人区)3議席め
各選挙区の状況については、長くなるので、読みたい方は次の「▶詳細」の「▶」をクリックすれば、表示されます。
- 茨城(2人区)2議席め
加藤(自民)が戦いを優位に進め、堂込(民主系無所属)、佐々木(維新)が残り1議席を巡って、激しく競り合う展開となっている - 埼玉(4人区)4議席め
関口(自民)が頭ひとつ抜け出し、残る3議席を西田(公明)、高木(立憲)、上田(国民系無所属)、加来(維新)、梅村(共産)の5人が激しく競り合っている - 東京(6人区)6議席め
朝日(自民1)が安定感を増し、蓮舫(立憲1)、竹谷(公明)、生稲(自民2)が続く展開。残る2議席を巡り、山添(共産)、海老沢(維新)、山本(れいわ)、松尾(立憲2)が激しいデッドヒートを繰り広げている - 千葉(3人区)3議席め
猪口(自民1)と小西(立憲)が先行し、残る1議席を巡って臼井(自民2)と佐野(維新)が激しくしのぎを削っている。 - 愛知(4人区)4議席め
参議院選挙 愛知選挙区の中盤情勢 : 読売新聞オンライン
藤川(自民)が優位に戦いを進め、斎藤嘉(立憲)、里見(公明)、広沢(維新)、伊藤孝(国民)、須山(共産)が追い上げる展開だ。 - 京都(2人区)2議席め
吉井(自民)、福山(立憲)、楠井(維新)が横一線で並び、予断を許さない展開となっている - 奈良(1人区)
佐藤(自民)、中川(維新)、猪奥(立憲)が、三つどもえの戦いを繰り広げ、激しく競り合っている。 - 広島(2人区)2議席め
宮沢(自民)が盤石の戦いでリードしている・・・三上(民主系無所属)と森川(維新)は当落線上で競り合っている。
- 福岡(3人区)3議席め
大家(自民)が安定した戦いを進めている。続いて、ややリードする古賀(立憲)を、秋野(公明)と龍野(維新)が激しく競り合いながら追いかけている
茨城についてはノーマークの方も多かったでしょうが、かなり前、当ブログで触れていますので、よければご参照下さい。
【次回参議院の趨勢 2】 立憲vs維新、野党第一党をかけた戦いのゴングが鳴った! - 50歳で早期退職し、セミリタイア!
一方、複数区は波乱が予想されます。・・・ここでは茨城選挙区を取り上げます。・・・特に立憲と維新の間で2位争いが注目されます。
また、大阪2議席、兵庫1議席、神奈川1議席は既に当選圏内です。朝日の予想だと選挙区獲得は4~7なので、上記の接戦区ではあと取れても3議席くらいだろうということになりそうです。
でも私は、朝日の予想を超えて取ってしまうこともあり得るんじゃないかと思っています。というのも、維新は新興の勢いある政党です。今回、何もなかったところから接戦に持ち込んでいるところは、終盤~当日にかけても伸びしろが非常に大きいと思うからです。
実際、前回の総選挙でも、「維新は3倍増」という予想が多かったなか、実際には「4倍近く」まで議席を伸ばしてしまった、という「実績」があります。
とにかく、上記の接戦区でどれだけ維新が伸ばすかは、今後の政局を占う意味で、非常に重要な注目ポイントであるのは間違いありません。
公明:一部の選挙区で落とす可能性
ということで、維新の割を食うのがその他の政党。
自民も、千葉2人目や京都、奈良で接戦になっていますが、それ以上に、他の政党の方が危ない。
まず公明については、福岡の最下位当選争いを維新と繰り広げる羽目になっています。他の候補の多くについても、下位当選争いを余儀なくされている状況であり、一部の選挙区で落とす可能性もゼロではないと思います。
立憲・国民:維新に勝ち切れるか
さらに、まずいのは、立憲、国民といった民主党系政党。
共産党との共闘があまり進んでいなかったり、そもそもの党勢の衰退によって、一人区が不調なのは明らかですが、従来なら、複数区でそれを(多少は)カバーできていました。
しかし、その頼みの複数区さえも維新に侵蝕されつつある状態です。茨城(無所属)、埼玉(国民系無所属)、東京2人め(立憲)、愛知(国民)、京都(立憲福山氏)、広島(無所属)などは、予断を許さない状況。これらの複数区で維新に勝ち切れるか否かで、今後の展開が随分と違ってきそう。
立憲神奈川:共倒れを回避のため、候補一人を"切り捨て"
立憲は、神奈川で二人を擁立していますが、現状、どちらも当選圏内に入っておりません。共倒れが懸念されていましたが、やっぱり、という感じです。
こうした中、一人でいいから当選させようと、立憲は、「候補の一本化」(=もう一候補は"切り捨て")したことをツイートで公表し、炎上しています。
立憲民主、参院選神奈川の寺崎候補“見捨て”波紋、笠議員「上位の水野候補当選を最優先」 – SAKISIRU(サキシル)
立憲民主党の笠浩史衆院議員(比例南関東)が5日、参院選神奈川選挙区で同党が公認している2人の候補者について、党本部が情勢調査で上位の候補者の当選を優先する方針を固めたとツイッターに投稿した。
共倒れを避けるためとはいえ、片方の候補者への支援注力を公然と明らかにするのは極めて異例。情勢下位の候補者を実質的に見捨てるような発言だとしてネット上で波紋を広げている。
どうしても調整がつかなかったというのもあるのかもしれないが、横浜市長選の勝利、総選挙で神奈川の甘利氏を落選させたことで、自らの実力を過大評価してしまった面もあったと思う(どちらも特殊な状況の元での勝利であり、立憲の実力とは言い難いんだけどね)。
ただ、ここで一本化を宣言したところで、「もう一人の候補」が降りる訳ではないから、立憲票が分散することに対する根本的な解決にはなっていません。しかもツイッターで報告しちゃったものだから、一本化対象候補から「切り捨てられた候補」に同情票が流出しないとも限らないわけです。
だから、楽観的に見ても5位当選がいいところじゃないかな。
神奈川選挙区は本来4人区なのですが、欠員補充の意味で今回のみ5位まで当選できます。ただ、5位当選を果たしても、その任期は3年しかないので、3年後には、6年の任期を終えた牧山氏とバッティングしてしまいます。しかも3年後の当選人数は4人に戻っていて、立憲が二人当選するのはまず不可能です。
そうなるくらいなら、共倒れしてしまった方が、まだスッキリするような気がするが、ここまで党勢が退潮気味だと、そうも言ってられないのでしょう。
とにかく、この件、相当なしこりが残ることは間違い無さそうです。
諸派:参政党
最後、諸派の参政党について簡単に。
朝日の調査だと、比例で0~3議席を得る可能性が高いそうです。0~3議席とは、随分と幅がありますな。80万票に留まるかもしれないし、300万票に達するかもしれない、という数字ですよ、これは。
他社の分析も併せて考えるに、生データ上、比例ではかなり善戦するような数字が出ているのだと思う。ただ、今回初めての立候補ということで、その生データをどのように扱ってよいか苦慮している、ということなのでしょう。
こんな比例票、一体どこから湧いてきた!? という感じですが、それは、先にも述べた自民からの流出票のうち、維新に行かなかったものが、かなりの部分を占めているはずです。
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「憲法の勤労の義務違反」を定年退職者に言わない不思議について
早期リタイア者のみならず、不労所得者、ニート、専業主婦等、いわゆる「労働」「仕事」をしていない人たちに向けられがちな「憲法の『勤労の義務』違反」。
一方で、労働していないにも関わらず、この手の批判からフリーな人々がいます。それが「定年退職者」。
体力や頭脳の衰えがあるにせよ、皆が皆、60歳や65歳になったら一律に労働不可能になるわけではないのだから、「人間、働ける限りは働くべきだ! なんたって憲法の勤労の義務が憲法で定められているのだからな!」という主張があってもいいはずだけど、そのような主張にはお目にかかったことがない。
その背景について考えてみました。
本稿は、次の過去記事の続きみたいなモノです。
目次
《東京都八王子市:川の上流端標識(多摩川支流浅川水系・川口川)》
「勤労の義務」は定年後には免除される、という暗黙の了解
憲法に「勤労の義務」というのが謳われているのは確かだけど、それに基づいて、法律で「労働者は、定年退職までは勤労しなくてはいけない」みたいにされて規定されているわけではありません。だから、勤労の義務から定年退職者を一律除外する法的な根拠は無いと考えられます。
にも拘わらず、なぜ定年退職者に向けて「勤労の義務違反」だと言わないのか?それは、定年まで働いたら勤労の義務は免除される、という暗黙の了解があるからですね。
さらに言うなら、「勤労の義務違反」で他者に攻撃コメントしているご本人が、そもそも「自分は勤労の義務を全うして人生を終えよう」などと思っていない。
ニートなど、自分とは境遇の異なる他者を攻撃している分にはいいが、これを突き詰めていってしまうと、最終的に自分に降りかかってきかねないから、定年退職者については(無意識のうちに)触れないようにしている。
こんなところだと思うので、勤労の義務の扱いを定年を境に変更することの根拠は薄弱で、このようなご都合主義に、ニートや専業主婦(主夫も)の人が流される必要は無いんじゃないでしょうか。
「定年までは働くべき」という社会規範が「暗黙の了解」を生んだ
しかし、逆に言えば、各企業が必要に応じて個別に定めているローカルルールに過ぎないはずの「定年」という制度が、このような暗黙の了解を、なんともナチュラルに生み出してしまう、というほど、重いものになってしまっているのも事実。
法律上、「定年を設ける」ことが企業に義務化されているわけではありません。「定年を設ける場合は、60歳を下回ることができない」というだけのこと。
ただ、日本では、ほころびはあるにせよ、何だかんだで新卒一括採用と終身雇用が幅を利かせていますので、それと相まって定年制度が非常に定着している。あまりに定着しすぎて、それが「企業のローカルルール」を超えて、「定年までは働くべきだ」というのが社会規範化されていった。
そして、この裏返し「定年を過ぎたら働かなくてもよい」が暗黙の了解となった。
もっとも、論理的には、「定年までは働くべき」から「定年後は働かなくてよい」は、直接導かれる命題ではありません。でも、人間社会というのは完全な論理で動いているわけではありませんからね。
とにかく、定年というのを大きな区切りとして見なす傾向が強まった結果、上記のような「個人での憲法解釈」にも大きな影響を与えているわけです。
定年を絶対視してしまう人たち
定年を大きな区切りとして考えること自体は別に良いと思うのですが、これを絶対視し過ぎない方がいいのでは?と思います。
最近、「定年が65歳まで引き上げられる!」と話題になりましたが、このとき「65歳まで働かせる気か!」と、激怒していらっしゃる方々がネットで大量に現れました。
別に、これは一律65歳に定年を引き上げろということではなく、「希望する人には65歳まで働いてもらえる制度を企業は設けてね」ということであって、大抵の企業は、これまで通りの再雇用システムを維持して終わりだと思います。
あるいは、65歳に定年を引き上げる企業であっても、65歳まで働かないと退職金の面で大いに損するなんて体系にするとも思えないですし。
だから、「何歳まで働くかの選択肢が増えた」程度の話でしかないのですが、これに対して、「65歳まで働かせる気か!」と噛みつくのは、何というか、「定年という発想に縛られ過ぎて、政府の言う『○歳まで働く』を、すべからく国民が実践すべきモノ」と思いこんじゃっている、ていうか。
お上を批判する人ほど、実は、お上の言うことを絶対視しちゃっている、という風に見えてならないんですよね、私には。
でも、分相応の生活を、計画的に続けていけば、早期リタイアとは言わなくても、60歳にリタイアすることくらいは、充分に可能な人が大半だと思うんだけどな、今の日本なら。
60以降は、働いても待遇がガクンと落ちるのが普通だろうから、政府が何と言おうと、60までに辞められるように人生設計していけば、上記のような話にいちいち過剰反応することもありません。
「暗黙の了解」的なことに順応し過ぎて、かえって柔軟性を失ってしまった人が多いんだな、と感じます。
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インフルエンサーのポジショントークには気をつけた方がよい、という話
最近、ひろゆき氏が「遅刻しても成果さえ出せればいい」というような発言をされて炎上しています。
ひろゆき「遅刻しても成果さえ出せればいい」を論破する有吉弘行の “横綱相撲”…生き残るのは遅刻せず結果出す人(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース
ひろゆき氏は「僕はいまだに遅刻をよくする」とぶっちゃけ。南海キャンディーズの山里亮太から「『いい加減にしてくださいよ、時間守ってください』となったとき、どうやって切り抜けているんですか?」と聞かれると、「成果さえ出せればいい」と断言した。
(略)
しかし、ネット上ではひろゆきの持論に、批判的な声も多い。
少し検索してみたところ、ひろゆき氏は、少なくとも2019年にはこの理論に近い発言はされていましたが、今回、テレビで公言しちゃったもんだから、炎上の度合が大きくなった、といったところでしょうか。
ひろゆき氏の説が正しいかどうかは別にして、実際問題、「成果が出せれば遅刻なんてしてもいいんだ」という行動をしてしまえば、大抵の場合、エライことになります。
一般に、インフルエンサー(およびインフルエンサーを目指している人)の言うことには、ポジショントークが含まれているので、それらには気をつけた方が良いですね。
目次
キャラクターを演じて信者を増やそう、という戦略
ひろゆき氏は、日本で2ちゃんねるを創設した後、色々あってフランスに渡り、そこでも色々と事業っぽいものをおやりになっている。
また、本を出されたり、youtubeで発言したり、ワイドショーにリモートで出演されなど、評論家っぽい仕事もされている。そのストーリーとして、「自由な事業家・youtuberが、何者にも囚われずに、日本や社会のタブーに(上から目線で)斬り込む」というのがあると思うんですよね。
それによって信者を増やし、その後のyoutube等の活動に繋げよう、という戦略があるものと見ます。
つまり、彼はキャラクターを演じているだけで、「成果を出せば遅刻してもいい」という発言はポジショントークなのだと思います。
ワイドショーには遅刻しないひろゆき氏
おそらく彼の周囲には、彼の遅刻を黙認してくれる優しい人々が一杯いるので、そういう人に対しては、遠慮なく遅刻する。
しかし一方で、ワイドショー出演の際には、時間通りにちゃんと座っていたりします。彼の論に従えば、ワイドショーで鋭いコメントができれば(成果)、遅刻してもいいはずなのに、そうはしない。
つまり、彼の本来のスタイルは「遅刻しても許される場面と、遅刻してはいけない場面を巧妙に使い分ける」というものであって、決して「遅刻しても成果を出せばよい」ということを貫くものではないということです。
遅刻云々がポジショントークだと断ずる所以です。
多数派をディスって自由な自分をアピール
後日談記事。
ひろゆき氏、“時間厳守”の有吉弘行は「誰かの機嫌を伺って時間を切り売りしている人」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
有吉が仕事に対する姿勢として「時間厳守」を徹底することを伝える記事だが、これにひろゆき氏は「有吉さんがタレントとして凄い人だとしても、誰かの機嫌を伺って自分の人生の時間を切り売りして、時給で働いてる人という枠の中なんですよね」と、持論を展開。「それが好きな人は成果より時間厳守でいいと思います。おいらは時間に縛られないで寝ててもお金が落ちてくる生活の方が好みです」とも、つづっていた。
有吉さんという「成果を出して遅刻もしない人」の話が引き合いに出されると、話の論点が「成果」から、「時給で働いている」云々という話にすり替わってしまいました。あくまでポジショントークですから、話の一貫性については、それ程重要ではないのでしょう。
さて、この記事では、時間を守っている多数派のことを「誰かの機嫌を伺って自分の人生の時間を切り売りして、時給で働いてる人という枠の中」と、明確に卑下するニュアンスで表現。これと、「時間に縛られないで寝ててもお金が落ちてくる生活の方が好み」である自分を対比させることで、時間から自由な自分の優位性をアピールしています。
ただ、先にも述べた通り、彼はワイドショーには時間通りに出演しています。仲間うちでは遅刻しまくっていたとしても、「テレビ出演に遅刻してはまずいな」と「誰かの機嫌を伺っている」ことには変わりないのです。それは「遅刻は是か非か」という以前に、時間という枠組みで社会は動いているからです。
だから、ひろゆき氏本人でさえ採用していない「遅刻しても・・・」理論を真に受けて、普通の人がそのことを実行(下手すると発言だけでも)してしまえば、大抵の場合、エライことになってしまうのです。
インフルエンサーのポジショントークには気をつけろ
この手のポジショントークには、例えば、
- 日本(人)は遅れている
- 社会は遅れている
- 人々は気づいていない
- これを実行すれば優秀・幸せになれる
みたいな論が含まれがちなため、受け手側に「そのことに気付いているインフルエンサーや自分は情報強者である」みたいに思わせることになり、結果、その論に心酔する人が出てきて再生数が稼げるわけです。
ただ、それは、往々にして、極論だったり、社会的にグレーorNGなことだったり、一部の人・有能な人・運の良い人にしか当てはまらないことだったりするため、結局は、ポジショントークの域を超えず、それを、一般の人・無能な人が実行してしまったらエライことになってしまいます。
この手の話は、リタイア界にも多くある気がします(具体的にどれと名指しはしませんが)。リタイア志望者は、リタイアしたいと思う気持ちが強いあまり、そのような話に心酔しがちでしょう。冷静になった方がいいんじゃないかな、と思うことが少なくありません。
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国民年金免除時の受給額について【前回の続き】
異例ですが、前回記事
の続きをやります。
前回記事では、次のことを書いています。
- 私は、学生時代に付与された年金番号と、就職時に付与された年金番号、2つ持っていた。
- そのため、就職時に付与された年金番号で受給請求すると、学生時代の納付記録が無かったことになってしまう。
- そこで、学生時代の納付記録と就職後の年金番号を統合、結果、学生時代の「1年間全額免除」の実績が追加され、その分、受給額が増えた。
その後、ねんきんネットで確認する前に、どのくらい増えるのか皮算用してみました。
基礎年金は「40年間保険料を支払った後、年間約78万円支給される」という制度なので、支払い1年あたり、単純計算で78/40=1.95万円もらえることになる。平成4年度の私の場合、(納付ではなく)免除なので、更にその半分の9750円。つまり、今回の手続きで、年間9,750円、受給額が増加するはず。
しかし、ねんきんネットで答え合わせをすると、現実に増えたのは6508円でした。
ここまでが、前回の内容です。
その後、読者の方から情報を頂き(ありがとうございます!)、それによりますと、平成21年3月以前の全額免除時の支給額は、半額ではなく、1/3とのことでした。
(1)全額免除
平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。
これによりますと、先の皮算用は、1.95万/2ではなく、1.95万/3=6500となり、現実とほぼ一致することとなります。
ついでに、各免除パターンにおける支給額を表にまとめてみました。
免除パターン | H21/3以前 | 現在 |
全額免除 | 全額納付時の3分の1 | 全額納付時の2分の1 |
4分の3免除 | 全額納付時の2分の1 | 全額納付時の8分の5 |
半額免除 | 全額納付時の3分の2 | 全額納付時の8分の6 |
4分の1免除 | 全額納付時の6分の5 | 全額納付時の8分の7 |
こう見ると、意外にも、H21/4以降は、それ以前よりも免除時の支給額が増加しているわけです。その理由は、H21から国庫負担が3/1から2/1に引き上げられたからみたいですね。
平成16年に成立した年金制度改正法においては、長期的な負担と給付の均衡を図り、年金制度を持続可能なものとするため、基礎年金の国庫負担割合を平成21年度までに2分の1に引き上げることとされました。
ちなみに、法律が成立したのは平成16年ですから、はるか昔、小泉政権のときです。そういえば、当時そんな話をしていたかも?
国庫負担の割合が高いということは、国民年金は単純な賦課方式(現役世代の保険料が高齢者を支える)でやっているわけではないし、GPIFによる運用資金の元をたどれば、これも現在の高齢者が支払った保険料がそれなりの部分を占めていて、それも将来世代の受給の財源となる。
年金制度は世代間格差をネタにして攻撃されがちですが、そのあたりをもう少し宣伝した方がいいのにな、と思わなくもありません。
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「消えた年金」を取り戻しに行った話
十数年前、「消えた年金」というのが大問題になり、このことが民主党政権を誕生させることになる大きなキッカケの一つとなるのですが、遅ればせながら、この件が何と私自身に関わっていたことが判明したので、年金事務所に出向き、結果、もらえる年金が若干増えたというお話をします。
目次
問題を認識するまでの経緯
下の写真のように、自分の年金手帳が2冊あることは、結構前から認識していたんですよね。今思えば、この事象があったら要注意なんです。
でも、消えた年金問題について騒がしかった頃は、そのことと「年金手帳2冊問題」が自分の中で結びつくことがありませんでした。
「行政の年金の記録がいい加減で、払ったはずの年金が払ったことになっていない」というところまでは分かるのですが、マスコミでは、政権批判をするのに忙しかったようで、それ以上のことがあまり伝わってこない。
野党議員が「人海戦術で台帳を全数チェックさせろ!」みたいなことは言っていたのですが、「具体的にどういう人がこの問題に該当しているのか。自分や家族が該当していた場合どうすればよいのか」みたいな、国民の側として出来ることを冷静に伝えたマスコミは少なかったように思います。
その後数年して、この「消えた年金問題」は騒ぐだけ騒いですっかり忘れ去られ、政権もいつの間にか自民党に戻っていましたが、問題が全て解消されたわけではありませんでした。
一方、私は2014~15年頃からリタイアの計画を立て始め、当然、年金についても調べるわけです。ねんきんネットに加入して自分の支払い記録を閲覧しましたが、その記録において、学生時代の納付記録は「未納」になっていました。
しばらくの間、そんなものかと思っていたのですが、あるとき、年金手帳が2冊あることを思いだします。そこで更に詳しく調べてみたら「消えた年金問題」に関わっている可能性が高いことが発覚したのです。
- 私の大学入学前、制度上、学生の年金加入義務は無かった。
- しかし、大学在学中、大学生でも20歳以上は加入が義務づけられるようになったため、親がその手続きを行い、国民年金のオレンジ色の手帳が交付され、年金番号が付与された。
- 卒業後、就職すると、それとは別個に厚生年金に加入し、青い手帳が交付された。このとき、別の年金番号が新たに付与された。
- 結果、同一人物が二重に年金加入していることになった。老後、青い手帳の年金番号で受給申請を行った場合、オレンジ色の手帳時代の納入記録は無いものとして受給額が計算される。
ということです。
私の場合は上記の流れですが、この問題の本質については、年金制度の変遷が大きく関わっていてここでは書ききれないので、例えば、次のサイトをご覧ください。
年金事務所へGo!
ということで、年金手帳(というか、年金番号)を統合する必要があるのですが、そのためには、手続きが必要になります。ただ、急ぐものでもないので、年金事務所へ行くのははリタイア達成後と考えていました。
しかし実際にリタイアしてみたら、いきなりコロナ! 結局、手続きは昨年10月にまで持ち越しとなってしまいました。
青梅年金事務所はJR青梅線小作駅からほど近い場所にあります。予約などはせずに、いきなり出かけていって対応して頂けました。新旧の年金手帳と身分証明、印鑑などを持参したと記憶しています(印鑑を実際に使ったかは覚えていません)。
ブースでは、飛沫防止用の透明なカーテンがかかっていました。
担当の職員に事情を話すと、書類を持ってきてくれて、その書類に必要事項を書き込んでいきます。その際、新旧の年金手帳の情報が必ず必要になります。
その日は書類を提出して終わり。
数週間後に、無事、番号の統合が完了したとの通知が郵送されてきました。
ねんきんネットで確認した結果、取り戻した年金額は・・・
ねんきんネットに学生時代の納付記録が反映されたのは、それから更にしばらくしてからですが、次のようになっていました。
- 平成3年度分以前(大学3年時)は「未納」(統合前と同じ)
- 平成4年度分(大学4年時)は「免除」(統合前から変更)
「免除」期間が1年追加になったことにより、基礎年金の額が僅かばかりですが上昇するはず。
現実を書く前に、皮算用してみます。
基礎年金は「40年間保険料を支払った後、年間約78万円支給される」という制度なので、支払い1年あたり、単純計算で78/40=1.95万円もらえることになる。平成4年度の私の場合、(納付ではなく)免除なので、更にその半分の9750円。つまり、今回の手続きで、年間9,750円、受給額が増加するはず。
そこで実際に増えた金額をねんきんネットで確認すると、年間6,508円でした。
皮算用より少なくて残念ですが、平成4年当時の保険料は9700円(現在は16,600円ほど)だったから、まぁこんなものなのかもしれません。
すったもんだした割には寂しい金額ではありますが、例えば15年間受給したとすれば、総額10万円近くにはなりますし、ノーリスクで行える手続きですので、該当しているのに手続きしない、という手は無いかと思います。
本記事の続きもどうぞ。
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参議院選挙 ~ 立憲民主党を中心とした今後の政局
参議院選挙が公示されましたが、与党勝利はほぼ規定路線として、選挙後に政局となる可能性があるのが野党。特に最大野党である立憲民主党は、その結果によっては大きな政局になるかもしれません。
当記事では立憲民主党を中心とした選挙後の政局予想を書いてみます。特定の政党の支持不支持を述べるということではなく、あくまで政局ウォッチャーとしての記事です。
目次
《東京都青梅市:川の上流端の標識》
想定される選挙結果
選挙に絶対は無いにしろ、よほどのスキャンダルとか、大事件が無い限り、主要政党については以下のようになると思われます。
- 自民・・・勝利(場合により、改選過半数63議席もあり得る)
- 公明・・・勝利(選挙区全員当選)
- 立憲・・・??(改選23議席の維持は難しそう)
- 維新・・・躍進(改選6議席の倍程度をうかがう)
- 国民・・・よくて現状維持(減少もあり得る)
- 共産・・・よくて現状維持
- 社民・・・よくて1議席、下手すると政党要件を失う
与党については、選挙後、現政権が信任されたとして岸田首相をはじめとする現体制が続投となるのはほぼ間違い無いと思いますが、問題は(共産以外の)野党。
まず、維新は、選挙結果に関わらず、松井代表が辞任される意向ですので、代表選が行われます。まぁ、これについては勝利の中での代表選ですので、淡々と次期代表が決まると思います(何かあるとすれば、次期体制が固まってしばらくしてからでしょう)。
国民民主も、予算案に賛成したあたりから混迷気味で、第三極指向の票は維新に相当奪われますから、情勢は相当厳しい。選挙結果によっては、玉木代表が辞任する可能性があるだけでなく、維新に近い前原氏の動向によっては分裂含みの展開もあり得ます。
社民は、政党要件(比例得票率2パーセント)もそうですが、何といっても福島代表の1議席を守れるかが大きい。もし守れれば、仮に法律上の政党要件を失っても、政治団体(諸派というやつです)として存続するでしょうが、そうでなかった場合、党の存亡に関わる話となってきます(まぁ、あまりに規模が小さすぎて、全体から見たインパクトは非常に小さいのですが)。
立憲民主党の選挙の流れ
さて、立憲民主党ですが、泉代表は「野党で改選過半数」という目標を掲げています。維新や国民は、野党とはいえ立憲とはもう別物なのに、こういう時だけ同じ枠組み扱いにするのはどうなんですかね?
ということで、立憲自身の勝敗ラインはあまりハッキリしないので、前項では「??」と書いたのですが、まずは(立憲民主党系の無所属を含め)改選の23議席を目指すのが順当です。野党第一党としてはかなり控えめな数字ですが、これでさえ以下のように様々なハードルがあります。
- 今回は共産との選挙協力が限定的なので、1人区で非常に厳しい戦いとなる。
⇒これまでは無所属含め10勝以上してきたが今回は無理。例えば、4勝くらいとする。 - 複数区では、維新やれいわなどの新興政党に奪われる可能性あり。
⇒大阪以外の複数区で各1議席として12議席(東京・神奈川での2人目は無理) - 比例では、「非自民票」の相当数が維新やその他の新興政党に移る。
⇒比例は前回8議席。その後、旧国民民主からの合流があったが効果は限定的なだけでなく、維新への流出が見込まれる、7議席取れれば御の字ではないか?
しかし、このように行くとは限らず、神奈川で共倒れ、京都で維新に敗北、想定以上の比例票の流出など、不安要素は大きいのです。
選挙後の政局予想
上記の通り、立憲の勝敗ラインはよく分かりません。普通なら、改選議席が維持できれば「可」の評価は付くでしょうが、23議席というのは野党第一党としてはあまりに寂しい数字であり、また枝野前代表への郷愁から、この程度の数字でも政局にしようとする向きはあるかもしれません。まして、20議席を下回るような場合、改選野党第一党を維新に奪われてしまった場合などは、相当に動きます。
この場合、泉代表の辞任は当然として、「やっぱり枝野さんじゃないとダメだ!」的な勢力が息を吹き返します。旧・枝野勢力がナリを潜めていたのは、まさにこの時のためなのでしょう。
しかし、個人的な予想ですが、枝野氏ご本人が再び代表につくことはしないのではないでしょうか。枝野氏的なやり方を体現される方を代表に据えて、枝野氏ご本人は裏で支える的なフォーメーションになると見ます。
そして次期代表の最右翼は何といっても辻元清美氏です(彼女自身は左翼なんですがね・・・)。
辻元氏には、もはや選挙区で当選する力はありませんが、全国に広く薄くファンがいますし、私鉄総連から支援を受けているそうですから、今回、比例で、かなり景気よく当選することが想定されます。
その勢いをもって、党内で辻元期待論が高まることでしょう。これまでついてきた役職はそれ程目立つものではなく、また社民からの合流者ということで、多少は新しさをアピールできる。参議院からの代表となってしまいますが、民進党時代に蓮舫氏が代表を務めておられるので、そんなに問題視はされないでしょう。
また、彼女は典型的なスキャンダル追及型ですので、スキャンダル追及しかできない議員先生達から、圧倒的な歓迎の声があがることでしょう。
こうして辻元氏が新代表になった場合、
- 枝野氏は、新代表を裏でしっかり支える
- 枝野氏以外の旧・枝野勢力を何人か登用
- 現勢力からも泉代表とは関係の遠い幹部を何人か登用
みたいな感じの布陣とし、その上で、党運営方式を昨年の総選挙以前に戻し、共産党との協力も復活させれば、多くの方々が水を得た魚のようになることでしょう。それが党勢拡大につながるかは別にして。
彼女は元社民党ではありますが、多くの立憲議員と行動原理が似ているので、外様扱いは限定的。むしろ、泉代表の方が、元々同じ党であったはずなのに、外様的な風味を醸し出してしまっているのは、もはや政策提案を失ってしまって共産党の票がノドから手が出るほど欲しい人達に対し、「政策提案型」などと言い出すのが煙たがられているからなのだと思います。
こうして、先祖返りした立憲民主党は、諸派になってしまった社民党を吸収するかもしれません。また今後数年間、冷や飯を食わされることになる旧・国民議員が何人か脱党し、現・国民民主と合流するとか、維新と協力するとか、小規模な離合集散があるかもしれません。小沢氏の動きにも注目。
とにかく、政局ウォッチャーとしては、当たり障りの無い結果よりは、このような動きがあった方が興味深く見られるのですが、どうなるでしょうか。
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⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます
「明日死ぬとしたら」より「3年後死ぬとしたらどう生きるか」を考えたい
誰もが長生きできる保証は無い、死は「明日」にでもやってくるかもしれないんだ。もしあなたが明日死ぬとしても、そのような雑事で時間を浪費するつもりなのか? 人間、もっとやりたいことをやって生きようよ!
的な話が、リタイア界も含め、なされることがあります。
言いたいこと、分からなくはないのですが、個人的にひっかかるのは「明日」という部分。「明日」だと唐突すぎるので、できれば数年(例えば3年)スパンで考えたい、と思っています。
目次
明日死ぬ、という仮定は、突飛過ぎる
先日、次のようなことを書きました。
「生きているうちにこれだけは!」と切迫感を持つこと - 50歳で早期退職し、セミリタイア!
ちなみに、私の会社の同期は二十数人いましたが既に3人亡くなっています。実に1割強。うち2人は結構最近のことです。事故と病気。あとタレントの上島さん。
ついこの間まで元気だった人たち(あるいはそのように見えた人たち)です。
そう考えると、私だって、まだまだ残り時間は何十年もあるように考えていても、実はあと少しなのかもしれない。
このようにある日突然死んでしまう、ということはあり得ます。ただ、重病とか危険な職業についているなどの事情が無いのに、その「ある日」が、明日とか一週間のスパンでやってくる確率は極めて低い、と思うのです。この同僚だって、それまで10,000日以上も生きていた中での1日なわけですよ。
だから「明日死んでしまうとしたら」という仮定は突飛過ぎて、個人的には実感が持てないですね。可能性として厳密にゼロではないにしろ、万馬券に当たるくらいの確率の出来事を、真に自分のこととして捉えられる人ってどれくらいいるんだろ?と思ってしまいます。
たった一日では出来ることなどほとんど無い
まぁ仮に、前項の点をクリアして「明日死ぬとしたら」という仮定を受け入れたとします。でも、たった一日では出来ることなどほとんど無いですよ。
例えば、私だったら、家族と一緒に食事をして、思い出話をして、遺言状を書いて・・・といった、月並なことになります。
逆に、仕事人間だったら、むしろ、通常通り出社して、後任に仕事を引き継ぐ、なんて人もいるかもしれない。
家族と過ごすのも、仕事の引継ぎをするのも、確かに大事なことではあります。でも、「明日死ぬとしたら」との折角の仮定も、「人間、もっとやりたいことをやって生きようよ!」の「やりたいこと」を、全然引き出せていない気がするのです。
結局、一日というスパンが短すぎて出来ることが限られているので、こういう定型的なことに行きつかざるを得ないのです。
数年のスパンで考える
そこで、「明日死ぬ」ではなく、「数年後に死ぬ」と発想を切り替えます。
これなら、唐突さ・突飛さは大分薄れますし、数年の時間があれば、「家族と一緒に過ごす」「仕事の引継ぎをやる」以外にも、色々とやれることの幅が広がっていきます。
例えば、「数年後」を「3年」に設定したとします。
私の所属していた会社も含め、多くの会社では、大抵、3年おきに中期計画みたいなのを組まれていますが、それは、何かに取り組む上で、3年というのが一つの目安になる、と考えられているからでしょう。個人においても、この考えを流用します。
スポーツや楽器好きなら、3年トレーニングすれば、それなりのものになります。登山が好きなら、3年あれば大分登れます。源氏物語もコツコツ読んでいけば、完読は充分に可能です。学問的なことも3年あれば、大学卒業レベルのことは身につけられるかもしれません。家族と過ごすのなら、3年あれば、食事だけでなく旅行に何度も行けます。
もっとも、3年というのはあくまで目安なので、例えば「大学に行きたい」というのであれば4年に設定しても構いません。ただ、6、7年となるとだれてくると思うので、あまり長くし過ぎない方がいいと思います。
とにかく、「n年後に死ぬ」という仮定を立てた上で、「今後、残りの人生をどのように生きたいか」みたいな発想で行くのが、良いのでは?と思うわけです。
私のnヵ年計画?
このようなnヵ年計画ですが、私は「数学」がそれにあたるかな。去年くらいからやっているので、もう1年以上になります。最低でも大学卒業レベルまではやりたいのですが、まだ大学1~2年クラスの微積・線型から抜け出せておらず、思ったようには進んでいません。
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インフレと私のリタイア資産と生活について
最近、様々なモノの値上げが報じられていてインフレっぽくなっていますが、ついこの間まで「安すぎる日本はダメだ!!」と言っていたのが、今更ながらに「インフレ日本はダメだ!!」みたいな雰囲気に変わっていて、思わず笑ってしまいます(「今のインフレは悪いインフレだからダメだ」というのでしょうが)。
まぁそれはともかく、このインフレが私自身のリタイア生活にどう影響するのか、ですが、今のところ影響はほとんど無いと思っています。
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《山梨県北都留郡丹波山村 一之瀬高橋トンネルと柳沢川(多摩川源流)》
資産はインフレ分も考慮して用意してある
インフレの影響は無いだろう、とするのはいくつか理由がありますが、根本的には、インフレ分も考慮し、リタイア資産は多めに準備してある、ということです。
完全リタイアが可能であろう資産が溜まったのは、私が48歳と数ヵ月のとき。
厳密に言えば、「このときの手持ち資産」+「このときに退職していたらもらえたであろう退職金」があれば、もろもろのバッファを考慮しても、それなりに十分な額でした。
しかし当時の私は、「なんだかんだで資産が足りなくなったので再び働かなくてはいけなくなってしまった」ということを恐れており、結局、それから1年半強、更に働いて資産の上乗せを図りました。
余分な労働とも言えますが、資金的には以下のメリットがありました。
- 通常の正社員賃金1年半強、多くもらえた
- 50歳の大台に乗ったことにより、定年退職とほぼ同等の退職金がもらえるようになった
- 厚生年金の加入期間が増えた
- 人生におけるリタイア期間が1年半強分減少するのに伴い、必要なリタイア資金額が減少した
これによる資金の上乗せ効果は非常に大きく、今後インフレが続いていったとしても、インフレ分は吸収できてしまうだろう、というのが現在の読みです。
(ローン無しの)持ち家がある
持ち家という昭和的価値観をディスり、賃貸最高と煽るのが最近のトレンドですが、個人的には、(ローン無しの)持ち家があることによる資金的なメリットは大きいと考えています。それは特にリタイア後に効いてきます。
ここで詳細は述べませんが、とにかく世の中がインフレになったとしても、若干の固定資産税だけで、当面住むところは確保できる訳ですし、多額の家賃が無い分、総支出額がガクンと減るのでインフレの影響が限定的です。
本当に欲しいものは、多少、値が張ってもさっさと買う
私は、「本当に欲しいものは多少、値が張ってもさっさと買う」ということを心がけています。買うか買わないか迷っているうちに、値上げされてしまうかもしれないからです。このようなスタイルは、インフレ局面では有効だと思います。
また、インフレ云々とは関係無く「それを買うことで幸せになれるもの」は、早めに買った方が「より早く幸せになれる」という観点からも、良いことなんじゃないかと思います。
インフレ時は、生活費を抑える力が同時に働く
いくら物価が上昇したからと言って、その物価上昇分、生活費が上がるとは限りません。というのも、庶民の多くは、物価上昇に対抗して、生活費を抑えるように工夫するからです。
だから、例えば平均インフレ率が3%だったとしても、生活費の上昇は1%で抑えるなんてことも可能です。
食事であれば、これまで牛肉でカレーを作っていたモノを豚肉や鶏肉にするとか、同じ食材であっても業務スーパー製に切り替えるとか、外食を控えるとか。全体的には値上げ基調だったとしても、そのとき安いモノで乗り切っていく、というのが庶民の知恵なんじゃないでしょうか。
そんな風に、消費者側の抵抗もあってか、企業側も、例えばステルス値上げなどで、表面上の価格上昇を抑える工夫をしていますね。
「おもウマイ店」なんてテレビ番組が持てはやされるほど、日本人にはデフレマインドが染まりきっているので、強気の値上げは続かないと見ます(日常生活のレベルでは)。
年金の存在も大きい
何かとダメだダメだと言われる年金ですが、実際のところ、年金の存在は大きい。「年金なんてアテにしない」と言う人の中で、「本当にアテにしなくても大丈夫」なのは極少数ですので、一般の人は、あまり煽りに乗らず、アテにすべき範囲でちゃんとアテにすることをお勧めします。
それはともかく、標準的な支給開始年齢は65歳ですので、私の場合、あと13年くらい。年金が支給されるようになると、インフレ等で支出の絶対額が増えていても、資産の取崩額は相当に少なくなることが想定されます。
つまり、極端な話、今の資産はあと13年+α持てばいいのだ、と割り切っているので(あくまで「極端な話」ですが)、通常クラスのインフレでは動揺しないのです。。
もし、インフレ率が想定よりも極端に高いということになれば、色々と支出をヤリクリして、年金を繰り下げ受給します。例えば1年繰り下げることが出来たなら、8.4%分、終身で増額になりますから(税金はありますが)、繰り下げ可能な状況であれば、インフレ対策としては有効でしょう。
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低資産でもFIREを名乗ってしまう心理・背景を想像してみた
最近、資産わずか400万で、いわゆる「FIRE」を名乗っている方の記事が出て、FIRE・セミリタイア業界で賛否両論出ております。もっとも、それはその方の生き方の賛否というより、あれを「FIRE」と呼ぶことへの賛否です。
まぁ、それでも、FIRE・セミリタイア業界という閉じた世界においては、あれを「経済的独立」とか「早期リタイア」と評価している人が、まがりなりにも存在していますが、一般には「フリーター」とか「ニート」、よくて「個人事業主」といった部類にあたるのでしょう。
それでも「FIRE」を名乗ってしまうという心理・背景には興味があるので、個人的に想像してみました。なおこれは、先の400万FIREの方個人について断定的なことを書くのではなく、最近多く出現している「低資産FIRE」一般について、こういうケースもあるのではないかと個人的に憶測してみたものであるので、最初にお断りしておきます。
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「FIRE・セミリタイア業界」という狭い世界
FIREとかセミリタイアというのは、「FIRE・セミリタイア業界」では、天国のように持てはやされるけど、それ以外の方には、あまり関心を持たれる話題ではない(場合によっては冷笑される)でしょう。
また、「FIRE・セミリタイア業界」は、まだまだ狭い。この業界にいると、「多くの若者がFIREを目指している」みたいに感じてしまいがちですが、例えば、書籍だと、ベストセラーといっても国内で10万部程度だし、youtubeでも、FIREネタで回っている動画は一部です。
つまり、FIRE・セミリタイアなんてのは、ごく一部のローカルな話題でしかないんですよね。
FIRE業界のヒエラルキーが上になる
しかし逆に言えば、FIRE達成を宣言さえすれば、その狭いFIRE業界におけるヒエラルキーが上になります。少なくとも現代日本では、FIREの明確な定義は存在しないので、とりあえず数百万程度を貯めて、会社を辞めさえすれば、「FIREを達成しました」と宣言することが可能です。それが実質フリーターとかニートでしかなくても。
さすがに数百万ぐらいの低資産だと、FIREの業界人でさえ「それってFIREなの?」と疑問視する声が出てきますが、一方で「FIREなんて人それぞれなんだから、それもFIREだ」みたいに擁護する声も(同じく低資産FIRE志望者や、FIRE指南ビジネスの人を中心に)必ず出てきます。
そのような低資産FIREを目指している方・「達成」した方の大半の方は、失礼ながら、社会におけるヒエラルキーの位置は相当に下だったと思われます。しかし、若干の貯蓄を持って退職、ネット上で「FIREした」と宣言するだけで、羨望の眼差しが自分に向けられるようになり、場合によってはメディアに取り上げられて「どうしたらFIREできるか」みたいなことを講釈垂れることも出来るわけです。
つまり、「FIRE業界」に所属してFIREに名乗りを挙げることで、所属組織内のヒエラルキーを相対的に上げることが出来るのです。同じような生活をしていても、「フリーター」では、それが不可能ですからね。
会社員・労働者にマウントがとれる
個人的な話になりますが、私が、2年前にセミリタイアしたとき、会社から脱出することで「会社に一矢報いる」という気持ちが全くのゼロだった、といったらウソになります。
というのも、(前項では皮肉っぽく書きましたが)私自身も会社内でのヒエラルキーが高くはなく、セミリタイアすることで、ヒエラルキーから「一抜けた」をし、さらには、高ヒエラルキーの人でも経験したことのない自由が手に入ったのですから。
ただ、そのような気持ちは、ごく軽いものですし、高ヒエラルキーの人からすれば、馬鹿馬鹿しい話でしょうから、あまりそこを強調することはしないです。
しかし、一部には、やたらと会社員や労働者にマウントを取っているFIRE達成者がおられます。投資や副業、事業等で何千万・何億も稼いだ、というのならまだ分かるのですが、かなりの低資産の方でも同様です。本心なのかウケ狙いなのかは不明です。
なぜ、そのようなことが可能なのか。それは、自らを「FIRE達成者」と位置付けているからです。
社会全体としてみれば、低資産FIREの実態は、フリーターとかニート、よくて個人事業主という位置づけだと思うのですが、「FIRE」と名乗るだけで、「自分の好きなことをやる自由人」みたいなイメージを自らに冠し、「毎日同じ場所に通う会社員・労働者」に対してマウントする取っ掛かりを作ることが出来ます。
そのように、「会社員・労働者にマウントをとって下剋上を果たす」みたいな気持ちが非常に強いのかもしれません。
「FIRE」で稼ぐ道が開ける
あと、「FIRE」ということをネタに、コンテンツを作って、ブログやyoutubeから広告収益を得たり、ネット記事を書いて稼ぐ、という道が開ける、ということでしょうか。低資産FIREであっても、「低資産でいかにヤリクリするか」的なネタはあるわけだしね。
つまり、「FIREをネタにした個人事業主」ということですが、否定はしないけれど厳しい道だと思う。先にも述べましたが、FIREやセミリタイアネタで回っている動画なんてごく一部。回っている動画は何だかんだ面白いし、回ってない動画は、やっぱりつまらないですよ(ブログはまた別ですが)。
人気のFIRE動画って、投資などの有益情報があったり、話やエピソードが面白かったり、動画の作り方が上手かったりするんですよね。市場の狭いFIRE・セミリタイア業界において、そのような強みが無いと稼ぐことはなかなか難しい。
FIREとかセミリタイアとか一見カッコよさそうだけど、「社会で大きく花開かせられるモノがなかった人が地道に資金を作ってリタイア」するパターンが多いと見ます。そもそも「社会で花開かせられるモノが無かった人」に、そのような強みがどれだけ存在しているのか、というと、やはり厳しいんじゃないでしょうか。
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江戸川区の「ひきこもり実態調査」に疑問
東京都江戸川区がひきこもり実態調査を行って「衝撃的な結果」が出たそうな。
東京・江戸川区、ひきこもり7919人 40~50代が目立つ(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
東京都江戸川区が2021年度に実施したひきこもりの実態調査で、ひきこもり当事者が区内に7919人いることが判明した。
ヤフコメだと、「よく調査を行った!頑張った!」みたいに絶賛の嵐ですが、定義上「引きこもり」に該当する私が、この立場でこの調査結果を眺めると、色々と疑問点が出てくるんですよね。
調査結果の全文は次のサイトにて
目次
《東京都青梅市:今はほとんど使われていないトンネル》
「ひきこもり」の定義が広すぎ問題
そもそも、「ひきこもり」の定義が広すぎという問題があるのですよね。厚労省の定義だと、
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人とほとんど交流せずに 6 か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」
これだけでも雑な定義だなぁと思うのに、江戸川区の場合、
本調査においては、「仕事や学校等に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしない方」としています。厚生労働省の定義から期間の要件を除いているのでご留意ください。
と、さらに定義を広げる。期間の要件を除いているとありますが、それだけではなく、「自宅にひきこもっている」という条件もちゃっかり除いている。すると、学生と給与所得者以外、大抵の方が「ひきこもり」に該当してしまう訳ですよ。ただでさえ雑な定義を、さらに雑にしているのが江戸川区です。
「仕事や学校等に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしない」ということ、バリバリ会社や役所で働いている方々からは問題に見えるのかもしれない。
でも、突き詰めて考えてみると、「家族以外との交流がほとんどない」というのは、ただの中立的な状態であり、一体、何を問題にしてこのような定義にしているのか分からないんですよね。
具体的に、生活に困っているとか、深刻な家庭内対立があるとかを考慮せずに、このような雑な定義をしてしまうのは、結局、「非『ひきこもり』者側からの偏見」に基づいており、また、その偏見を社会的により助長していくものだと思うんですよね。
ヤフコメに興味深い投稿がありました。
私は江戸川区民です。この調査結果は信用できません。
昨年、江戸川区の調査員と名乗る人が訪問してきました。
話を聞くと、引きこもり調査だと言っていました。
あなたは所得がないですよね?引きこもりでは?と突然言われて正直腹が立ってしまいました。
子ども3人の育児中、下2人はまだ未就学児、幼稚園にも入れない年齢。
求職希望で保育園に希望を出すも落ちました。
なので働くことはできず、それでも毎日3時間以上は公園に連れて行き買い物したりして外出しています。
それなのに収入がないだけで引きこもり認定されてしまいました。夫の扶養に入っていますし子どもがいる事も分かるはずだと思うのですが…
子育て中と説明したのに、引きこもりから脱出する方法が書いてあるパンフレットを渡されました。
本当に引きこもりで悩んでる人がこんなパンフレットで改善されるとでも思ってるのか。
江戸川区民になったことを後悔しました。
この方の怒りは分かりますが、厚労省・江戸川区の定義としては、あなたも「ひきこもり」なんですよ。
とにかく、一人でも多く「ひきこもり」のレッテルを貼って点数稼ぎしている実態が、このコメントから見えてきます。
家族以外の交流が稀薄ってだけで、一緒くたにして、ひきこもりにカウントしていくなら、「そりゃ、そのくらい『ひきこもり』がいても、何の不思議も無いだろ」と思います。
所得があっても給与所得以外なら、ひきこもり調査対象
もっとも、今回のひきこもり調査から除外されている人もいます。それは、幼少者や、もともとひきこもり認定されていた人などを除くと、「給与所得者」です。
逆に言えば、資産からの所得だったり、事業所得などがあって、生活に何の支障が無かったとしても、それが給与所得でなければ、ひきこもり調査対象。さらに、人との接触が少なければ、あなたは立派なひきこもりであり、何かしら問題を抱えている人と見なされます。
給与所得者といえば、大半は会社員か公務員。そして、いきなり「給与所得者とそれ以外」というカテゴリー分けを、社会正義としてナチュラルに行ってしまうところに、このアンケートを企画した方の発想が垣間見えてしまいますよね。
別に今のままで満足な「ひきこもり」が3分の1
「ひきこもり当事者の声」として、いくつか質問がなされているんですが、その中でも特に興味深い質問。
2-1 ひきこもり当事者が求めているもの
「何も必要ない、今のままで良い」が32%と、3分の1もある。つまり、当人や周囲が納得ずくで、そのようなライフスタイルを自ら択びとっている人々が相当数混じっていることが伺える数字です。
ついでにいえば、その他の項目、例えば「友だちや仲間づくり」とか「趣味活動ができる場所」「アルバイトや働き場所の紹介」なども、その深刻さ度合はそれぞれだと思います。
確かに、テレビで放映されているような深刻なケースもあるでしょう。でも「一人で家にいると飽きるし、小遣い稼ぎにちょっとバイトしたいな」くらいの、ライトなケースもあるでしょう(実際、その手の記事がリタイアブログで多く見つかります)。
また、「友だち」「趣味」なども、別に、ひきこもり限定の問題ではなく、給与所得者だって、そのような要求を持つことは当然あります。
そのような個々のケースの深刻さの度合が、このアンケートからは見えてきません。ただ一つ分かるのは「いわゆる『ひきこもり』生活に満足している人々も、実は相当数いる」ということぐらいです。
センセーショナルに取り上げることが本当に良いことなのか?
別に私は、「ひきこもりなど大した問題じゃないからほっとけ」と言いたい訳ではありません。むしろその逆。本当に深刻なケースについては、しっかり国や自治体として対応すべき、と思っています。
だからこそ、「ひきこもり」というものを、センセーショナルに取り上げることが本当に良いことなのか?と感じます。
「君みたいな人が江戸川区で分かっているだけで7919人もいるんだから、そんなに気に病むことは無いんだよ」的な話なら良いんだけど、そうではない。江戸川区長自身の話も報道でも「7919人もいる!何とかしなきゃ!」というトーン。定義をどんどん広げて、マッチポンプ的に騒ぐ、ということが、現に深刻な状況に陥っている方々を、かえって追い詰めてしまう結果になるような気が。
江戸川区の資料には
誰もが生きづらさを抱え孤立に陥る可能性を持つ社会の中で、
とありますが、むしろ、あなたたちが生きづらさを助長している側面があるんじゃないの?
例えば、先に述べた、「給与所得者(≒会社員/公務員)とそれ以外」といきなりカテゴリー分けされてしまう、そのこと自体に、生きづらさを感じるね。「毎日、規則正しく職場に通って給料を得る」的なスタイルを過度に標準化し、それ以外の在り方を、ほぼ一律に「ひきこもり」として問題視するという。
実際、深刻な状況に陥っている方も、結局は、そのような標準スタイルになじめない、ということなんじゃないかな。そして、江戸川区は、そのような方に対し、「標準スタイルを採用しないことに対する偏見」をあらわにし、「標準スタイルを採用するよう矯正すること」を目指している(ように見える)。
私は、生活の見通しが立っているから、その程度のことはどってことないけど、もっと深刻なケースについて、問題は解決するんでしょうか? 疑問を持たざるを得ないのです。
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