50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

「宵越の銭は持たねぇ」とは金を吸い上げて毎日働かせるシステム

 「宵越しの銭は持たねえ」なる言葉が江戸っ子のダンディズムとして知られていますが、実はこれ、支配者側に随分と都合の良い集金システム、かつ、人々を働かせるシステムであり、現代日本社会に通ずるところがあります。

 今回は、故・中島らも氏のビジネス・ナンセンス事典の「刹那主義」という項を引用しつつ、書いていきましょう。 

ビジネス・ナンセンス事典 (集英社文庫)

ビジネス・ナンセンス事典 (集英社文庫)

  • 作者:中島らも
  • 発売日: 2016/04/01
  • メディア: Kindle版

 

目次

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 《東京都奥多摩町》

金を吸い上げて毎日働かせるシステム

 これから述べることは、数ある説の一つ、ということは初めにお断りしておきます。

 さて、「宵越しの銭は持たねえ」というのは、単なるビンボーで金が無いというのではなく、金離れがよい者ほど粋なのだ、という労働者側の美学です。

 しかし、らも氏が紹介している説によると、この美学、むしろ雇用する側が意図的に作りだした風潮なのだそうです。

 当時は雇用者側の親方や口入れ屋などが、自ら胴元となって賭場をひらくケースが多かった。一度人に与えたお金をバクチでもう一度吸い上げるわけで、社会全体が一種の「タコ部屋構造」になっていたのである。

 これはそういう欲得のこともあるのだが、ひとつには当時の職人の気質の問題もある。何日分か食べていける金が手元にあると、もう次の日からは働こうとしないのだ。ごろごろ遊び暮らして、金がなくなったらまた働きに出てくる。毎日働いて、金を貯めようという気などは毛頭ない。(略)

 当の本人はそれでいいのだろうが、それでは雇う側が困る。家一軒建てるにしても、大工さんが出てくるのか出てこないのかわからないのでは落成のメドが立たないのである。金がなければ確実に次の日も出てくるわけだから、飲む打つ買うで余分な金をきれいに吐き出させるしか手がない。自ら賭場をひらくのもそのためで、このタコ部屋システムを維持するために「宵越しの銭を持たない」のがダンディという気風を広めたのである。(略)

 この風潮が意図的に作りあげられたものかはともかくとして、少なくとも結果的には、「一旦渡した金を再び吸い上げて、労働者を毎日働かせるシステム」が成立していたということなのでしょう。

 もちろん、他の説もあります。江戸では火事が多くて「お金をとっておいても、どうせ燃えてしまうから」というのも、その一つ。

 でもそれだったら、この風潮が労働者側だけでなく、雇用者側にも適用されなくてはいけないはずですが、そんなことにはなっていない。経営者は、商売をつぶしてはならじと、計画的な資産管理をしていたはずなのです。

タコ部屋はもっとひどい

 まぁ、江戸時代の話は、雇用者も労働者も持ちつ持たれつ、という感じで平和ですが、先の引用に出てくるタコ部屋はちょっとシャレになりませんね。

タコ部屋労働 - Wikipedia

 タコ部屋労働とは、主に戦前の北海道で、労働者をかなりの期間身体的に拘束して行われた非人間的環境下における過酷な肉体労働である。

 (略)

 北海道内から集められた労働者の労働条件は比較的良好であったらしいが、本州から送り込まれる労働者は、斡旋業者に騙され半ば人身売買のように売られて低賃金により酷使された。高額の飲食代を徴収することで、その低賃金すら残らなかったという。外出が禁止されていたので、身の回りの物もすべてタコ部屋で調達せざるを得ず、これも収奪の手法になっていた。

 「一旦渡した金を再び吸い上げて、労働者を毎日働かせるシステム」という点では、らも氏が言うように、この「タコ部屋構造」が江戸時代の社会構造に通ずるものがあるわけです。

そして現代日本・・・

 江戸時代、明治~戦前ときて、現代です。

 当ブログの読者であれば、私が何を言いたいのかお分かりでしょう。

 そう、「一旦渡した金を再び吸い上げて、労働者を毎日働かせるシステム」という「タコ部屋構造」は、現代でも通用しているよね、ということ。

 実は、その気になれば、現代日本では安く生活できるということは、次の過去記事に書きました。

今は空前のセミリタイアの好機?でも実行者は少ないね

 私の子供の頃に比べれば、世の中は進歩しており、当時は高給取りでなければ出来なかった生活が、現在はかなりの低所得層でも可能になっているということです。

(略)

 若い方は貧乏くさい話のように捉えるでしょうが、私に言わせれば「なんてすごい世の中になったんだ」。世に出ている安価なサービスや商品を適宜組み合わせるだけで、当時の金持ちに近い暮らしができてしまうんです。それで金が余るなら、+αで自分独自の趣味に使ったり、貯金や投資に振り向けてやればよい。

 だから、本当なら、現代日本では、働いたり働かなかったり、ということを、個人がかなり柔軟に決めることが出来るはずなのですが、それが一般化してしまうと経済が回らない。

  そのため、江戸時代のように「一晩で使い尽くせ!」とまではいかないにしても、金を使え~、消費しろ~、そして働いて稼げ~、という圧力により、人々に金を使わせるわけです。特にえげつないのが、都心部の住宅ローンor家賃でしょうか。

 【過去の当ブログ参考記事】

 そういえば、以前、次の記事をアップしました。

世帯年収1000万円でも不満な人々が集う掲示板

390. 匿名 2020/05/26(火) 19:02:24 [通報]

>>266

だからさ、額面で1000万稼いでいても手取りにすると700万くらいなのよ。住宅ローン支払ったり、車のローン支払ったり、車庫がない都心部の家なら車庫代が月4.5万くらい別に掛かるんだよ?
住宅ローン15万
車のローン 3万
車庫代 4.5万
食費 8万
光熱費 2万
通信費 1.5万
雑費 3万
小遣い夫婦で 5万
これだけで月に42万吹っ飛ぶよね。そこに保育園7万としたら50万近く飛んでく。

  都内だと年収1000万あっても足りな~い、とか言っている方々は、結局、社会の「タコ部屋構造」に完璧に嵌ってしまっているのです。たとえ1000万を稼いでも、稼いだ分の大半を吸い取られる構造の中に身を置いているわけですから。

 でもこのような方々は、色々とボヤキながらも、タコ部屋のタコであることを、むしろ誇りに思っていらっしゃるように見えるのは、私だけでしょうか。もしかしたら、ご本人は「タコ部屋の経営者側」にいるおつもりなのかも知れないですが。

タコ部屋構造から抜け出してセミリタイア

 当ブログの主題は「セミリタイア」ですから、その観点からすると、自分がタコ部屋構造の中に身を置いていることに早く気付いて、そこから抜け出す努力をするのが肝要、ということになります。

 そのためには、宵越しの金は多く持っておくべきでしょう。幸い、本当のタコ部屋のように、粗末な食事を買ったらもう金が残らない、なんて世の中ではないから、やり方はあるはず。

 「宵越しの銭は持たねえ」というのが支配者側に都合の良い風潮、という点にヒントがあるような気がします。支配者というと、ついつい日本政府のことを思い浮かべてしまいますが、ここではむしろ「経済的に支配している人々」 といった方が当たっています。

 そのような人々が提唱する、仕事をしっかりして、お金を使って楽しんで、自分を成長させて・・・・という話は、支配者側の都合が多分に含まれているはずで、この話に乗っかるというのは、つまりは支配者側が経営する賭場に乗り込んでいくようなもの

 そのことを全面的に否定するのではないものの、ここで有り金をほとんどスッてしまうようでは、70歳になってもタコ部屋構造から抜け出すことは出来ませんよ、ということです。

 これ、簡単なようですが、「支配者側の誘導には乗らないぞ!」といった、ある種の反骨心が必要になりますし、そもそも「本当はタコなのに経営者側にいると勘違いしている」ということもありそうですから、誰にでも出来ることではないんだろう、と思います。

ビジネス・ナンセンス事典 (集英社文庫)

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