最近でこそ、セミリタイア・FIRE系の発信において、公的年金のことに触れる発信も多少は出てきたように思いますが、私のリタイア時期(4~5年前)は、相当に少なかったように記憶しています。
しかし、リタイア年齢がどんなに若かろうと、死なない限り、いつかは高齢者になるのだから、公的年金のことを無視するというのは大半の人にとって現実的でないし、逆に、ここをキチンと検討しておくことで、早期リタイアへのハードルを下げることができると考えています。
ひと昔、ふた昔くらい前の「アーリーリタイア」のイメージといえば、(仕事または投資などの)やり手の人が、若くして生涯で必要な金を稼ぎきり、40歳くらいで満を持してリタイアする、というものでした。彼らは、資産の利子で悠々と暮らしているのでしょうね。おそらくアメリカあたりが本場なのでしょう。
こんなこと中々難しいことのように思えますが、実は「それほどやり手でない日本人」も、これに近いことはしています。すなわち、60~65歳で仕事を仕事をやめ、あとは年金で暮らしていく、というものです。
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内閣府の調査によると、高齢者世帯の公的年金・恩給は平均209.8万円。この額、夫婦存命の世帯が相当に含まれていると考えれば、「今の高齢者は優遇されていて~」などとやっかむほどに多いわけではありません。にも関わらず、年金以外に所得の無い世帯は63.5%もいるのですよ。
つまり、なんやかんや言って65歳以降完全リタイアしている世帯は6割以上、ということなんです。年金のみで暮らしているか、足りない分を貯蓄でカバーできている、ということです。
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現在、公的年金の評判はズタボロですが、2023年度現在、年金資金の運用額は245兆9815億円あるそうですし(ソース)、消費税などの税金からも補填されるし、何より、実に6割以上の65歳以上の世帯を、現実に完全リタイアさせているシステムなのだから、大したもの。
「年金だけで生活できないならこんなクソシステム無価値」という方々がメディアやネットによく登場します。一見小気味よいのですが、こういうゼロ百思考は自らの人生を縛りプレイに陥れるだけなので、私としてはおススメしません。
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さて、この公的年金のシステムですが、定年(60~65歳)まで賃金労働しないといけないという訳ではなく、受給額は減るものの、早期リタイアした人々でもそのメリットを享受できます。
だから、自らの能力(副業・投資・サバイバルなど)に頼って、死ぬまでの諸々を全て賄うことができる一部のスゴイ人以外の方は、65歳以降この公的年金のシステムを軸に考えていくのが最もイージーな方法なんだろうと思います。
年金は65歳以降でないともらえないのですから、年金そのものが早期リタイアを可能にするのではありません。ただ、早期リタイア後、65歳まで資産が持てば、あとは年金でかなりの部分どうにかなる、という状態にしておくと、早期リタイアのハードルが下がる、ということです。自らの寿命など誰も知らないなか、65歳という年齢で区切れるということが、資金繰り上どんなに楽であるか、計算してみれば分かることです。
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とはいえ、先にも述べた通り、年金はメチャクチャ沢山もらえる訳でもないですから、贅沢指向の方、家賃負担の重い方では難しいと思います。老後の支出を年金+αぐらいに抑える必要があり、そのためには、
- 適切な家計コントロール
- 適切な年金受給額の確保
- 適切な蓄え
が必要になるのです。そのためには、そこそこ長く働く必要はあり、リタイア年齢は50歳前後ということにはなると思います。
FIRE界では決して早い年齢ではないにせよ、極端過ぎるプランで飛び込んでいって自滅するよりは、まずは50~55歳くらいを目途にし、公的年金など活用できる制度をキチンと活用する、というのが、多くの人にとって現実的で再現性も高いと思います。
そして、例えば55歳くらいでリタイアできそうだという目途が立てられたなら、追加の対策として、家計の見直しの強化や、資産運用などをしていけば、リタイア年齢を更に数年前倒しできる芽もあるわけです。
「○億円儲けた」とか「30歳でリタイアした」のようなことが出来ない普通の方々にとっては、やはり上記のような普通の方法をベースに工夫を重ねていくことが、最終的に幸せにつながっていくのではないでしょうか。
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