50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

日和見な経営者の「45歳定年制」に説得力は無い

 最近、サントリーの社長さんが「45歳定年制」なるものを提言したところ、炎上して釈明に追われています。

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 最近、この手のことをおっしゃる経営者達が定期的に現れている印象です。私自身には何歳の定年が良いのか?ということを論じる能力は無いのですが、もう少し別の観点で、「この発言はダメだな」と感じています。

目次

f:id:retire50:20210913160351j:plain 《神奈川県相模原市 相模川水系秋山川》

 

半ば思いつきの話で疑心暗鬼を抱かされる人々

 私は既にリタイアしているので、この手の話に振り回されることは無いのですが、正直なところ、このような半ば思いつきのような話が発生する度に、疑心暗鬼を抱かされる方々は大変だな、と思います。

 上記で「半ば思いつきのような」と書きましたが、この社長さんが本当に、その場で思いついたことをただ述べていただけ、とは思いません。前々から考えていたことなんでしょう。

 でも、以下に述べるように、このご発言には、本気が見えないんですよね。だから「ぼくのかんがえたていねんせいど」の域を出るものではなく、よって「半ば思いつきのような」と表現したのです。

そんなに45歳定年がいいんだったら、自分の所でやったら?

 この手の話が湧きあがるたびに私は思うのです。「そんなにそれがいいんだったら、まずは自分のところでやったらどうなのか?何で自分のところでそれをやらないのだ?」と。

 今回だったら、「そんなに45歳定年が良いんだったら、自分の所でまずやったら?」

 隗より始めよ、です。

 知っています、60に達しない定年制度は法律違反だと。

 でも、今だって「役職定年」というのが広く普及していて、大体、55歳ぐらいになると平社員扱いになって待遇がガクンと下がることは、ママあるわけです。

 だから、いっそのこと「役職定年」を45歳にしてしまい、45歳で退職させるインセンティブを高める方策を導入する。例えば・・・

  • 45歳での退職は会社都合扱い。
  • 46歳以降の退職金を減額。
  • その代わり、能力給の比率を上げて、若者の給与を手厚くする(アメリカ式FIREも視野に入ってくるかも?)
  • 45歳で社員の独立を促すために、若者の登用を積極的に行い、またどんどん勉強してもらうなどして人材育成を図る。

 もちろん、今日の明日、という訳にはいかないですが、何年かかけて人事システムをしっかりと検討し、

「令和10年からこの新人事システムを開始します。令和25年には、45歳の社員の○割がこの制度のもとで退職し、第二の人生を幸せに歩んでいることを目標にします」

みたいな、ロードマップを示す。

 そんなに45歳定年がいいと言うのであれば、自社に対して、このくらいのことは出来るんじゃないの? 社長のあなたなら、と思うのです。

雇用を守る側の企業は、提言なんかせず、とっとと改定している

 一見不思議なのは、こういう提言は「さっさと従業員をクビにする」系の話しか出て来ないこと。逆に言えば、雇用を守る側に傾いている企業は、いちいち提言なんかせずに、とっとと人事システムを改定しているんですよね。

 例えば、ノジマは、定年は65歳であっても、その後、年単位の契約で80歳まで働ける、というシステムを構築しています。さっさと自社内で人事制度を改定すればいいだけであり、世の中に提言などしていないわけです。

  【過去の当ブログ参考記事】 80歳まで働ける?いいと思います。私はノーサンキューだけど。

 あと、私事で恐縮ですが、私のいた会社も、退職当時、人事制度を改革中でして、それは、なるべく社員に長く働いてもらう方向性の改革でした。やはり世の中に提言などしていません。

提言はするが自社でやらないのはヒヨっているから

 つまり、人事制度の変更は、経営層が本気になれば、各社の裁量でかなりのことが出来る。法律との兼ね合いや、労働組合との交渉など簡単ではないではない、というのも分かりますが、本当にそれが会社や社会のために必要だと思うなら、経営者が自ら本気で説得すべきでしょう。

 でも、提言するだけで、自社でそれをやろう、とは言わないのは何故か。

 それは、それをやると大量の血が流れることになるから。社員に一方的な不利益とは言わぬまでも、身を切ってもらうことも多々あるだろうし、それを導入したことにより、かえって業務が回らなくなるリスクもある。そうなると、それを断行した経営者が責められることになる。

 つまり、経営者は返り血を浴びなくてはならないし、経営者自身も血を流さなくてはならないかもしれない

 でも、そこまでしてやる覚悟は無いし、やれるとも思っていない。だから提言はするけれど、自分ではやろうとしない。

 

 多分この人の本音は「人件費削減をしたい」ということで、ただそれをストレートに出すと色々と不都合が生じるので、「若い頃から勉強しなければならない」等の、それっぽい建前を前面に出して、

「どう? 僕の提言いいでしょ? みんな、これをやってくれない?(・・よさそうだったらウチも追従するからさ・・)」みたいに、世間様にお伺いを立てているのが、この種の提言なのだと思います。

 言い方は悪いですが、ヒヨっているのです。

 本音を建前でカバーしているから、自らの言論に説得力を持たせることができず、底の浅さを見透かされて炎上する。半ば思いつきの発言だから、それを押し通すことが出来ず、釈明に追われることになる。

 

 本稿は、45歳定年そのものを批判する意図はありません。セミリタイアなりFIREを志すなら、むしろ好都合とさえ言えます(でも45歳まで引っ張ったら、最早、早期リタイア扱いにならないかも?)

 それを実現する手腕・覚悟が無いからといって、その経営者がダメだと言いたいわけでもありません。現実問題難しい、ということはあるでしょうから。

 ただ、出来もしないことを言って、人々を疑心暗鬼にさせるのは止めろ、と言いたいだけです。

 

★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
 ⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます