経済的独立(FI)という語を、私はどう捉えているか
先日、「人生の逃げ切り」ということについて考えているところを述べました。
私個人は、この「人生の逃げ切り」と「経済的独立」(FIREのうちのFI)を(イコールではないが)関連付けて捉えています。いい機会ですので、今回は「経済的独立」という語について、少し書いてみることにします。
もちろん全て個人的見解ですから、以下述べることに当てはまっていない「FIRE」の人に、「FIREの看板を下ろせ!」ということを主張したいわけではありません。
目次
《東京都奥多摩町・多摩川日原川合流点(手前が日原川)》
「逃げ切る」よりも「経済的独立」の方が条件が多くなるイメージ
まぁ、FIREは人それぞれとはいえ、「経済的独立」という語を用いるからには、「経済的に独立している」とはどういうことか、問われるのは当然ではないのかな、と思います。
そして、経済的独立を最狭義に捉えれば、一般に言われている「4%ルール」に則った生活の形、ということになりましょうが、私個人はもう少し広く解釈しています。
当ブログ過去記事より。
経済的自立の達成に要する期間と資産・心持の変化(FIREについて考える7つの論点・2)
【論点4】どのくらいの資産があれば経済的自立を達成したと言えるのでしょうか?
経済的自立を文字通り解釈するならば、その人が、一生働かなくても最低限食っていけるだけの額は欲しいところ(生活費以外、たとえば、趣味や旅行などのために別途稼ぐのは可。年金を当て込んでもよい)。
だから、サイドFIREと言われるもののうち、副業収入が無いと、中長期的に生活を成り立たせられないタイプのものは、たとえそれが「好きな仕事」であったとしても、経済的自立と言うには、まだ中途半端な気がする(もちろん、そのような生活スタイルを否定するものではありません)。
つまり、一生、労働に頼らずに、ある程度の蓋然性をもって、衣食住を成り立たせられるだけの、自前のストック・フローを作ることが経済的独立ということではないかな、と。
これは、「人生逃げ切った」と言う概念に近いですが、「人生逃げ切った」の場合、働かなくても生涯暮らせていける可能性が高い状態にさえなっていれば、その経済的手段はかなり広くとれるイメージ。
一方、「経済的独立」となると、その語感から、もっと色々な条件が必要ではないかと思う。言い換えれば、「人生逃げ切った」は「経済的独立」の必要条件だが、十分条件ではない、ということ。
以下、もう少し深掘りしていきましょう。
深掘り
非労働性(「労働に頼らず」)
「経済的」独立とは言うものの、FIREという言葉の成り立ちを考えると、実質、「労働収入からの自立」と捉えるべきでしょう。だから、「生活に潤いを与えるため」ではなく、純然たる生活費として何らかの「労働収入」を当て込んでいるのに、「経済的自立」を謳うのは矛盾している、というのが私の考え。
なお、やっている仕事が「好きなこと」であろうと「楽なこと」であろうと、形態が「フリー」であろうと、youtubeであろうと、アフィリエイトであろうと、何らかの職務を行った結果の収入であれば、ここでは労働に含めています。
生涯継続性(「一生」)
「一生」という言葉は大事。ものすごく大事。「当面」では厳しい。「一生」。
一生分のストック・フローのシミュレーションをして、労働収入を当て込まないで生涯暮らしていけることを確認していない「経済的独立」は「もぐり」だと、個人的には思う(そんな計算不要なぐらいに多額の資産を持っている場合は除く。まぁ、そういう人にとっては、端から「経済的独立」なんて概念、不要なわけですが)。
蓋然性(「ある程度の蓋然性をもって」)
物事には100%ということはあり得ないけど、ある程度の蓋然性(確実性)は欲しい。
シミュレーションにて、極度に高い運用収益を当て込んでいたり、極端な節制生活が前提となっていたり、バッファーがほとんど無かったりなど、現実問題、それで一生を乗り切るのは厳しいのでは?というケースまで「経済的独立」と言い切るには、ためらいがあります。
生活成立性(「衣食住を成り立たせられる」)
前項までは結構厳しいことを書きましたが、ここでは見解が甘いです。
すなわち、趣味や旅行、贅沢費用も含めて、全て労働収入不可、とするのが本当のような気もするのですが、まぁ、衣食住や光熱費、通信費、雑費等の、一般的な生活費が、労働に頼らずに賄えていればいいんじゃないの?というのが、個人的な考えです。
というのも、趣味や旅行、贅沢については、経済的に厳しくなってきたら抑えるなどして、裁量次第で生活は成り立たせられるからです。
趣味や旅行、贅沢費用は別勘定で良いから、まずは、「生活費分を労働に頼らずに賄う」ということを目標にしたらどうかな?と思うのです。
独立採算性(「自前のストックフロー」)
ストックは良いとして問題はフロー。
先にも書いた通り、私は「労働収入からの独立」が本質だと考えていますので、それ以外のフロー、例えば、自前の資金による運用収益だったり、自分でかけていた年金や保険だったりは、ちゃんとしたシミュレーションに基づいたものであれば、「経済的独立」に含めていいんじゃないでしょうか。
ただ、実家暮らしや配偶者に大きく依存している場合、生活保護の場合(生涯受けられそうな見通しが立っているとして)、「自前」とは言い難いので「経済的独立」とは思わないかな。
さて、4%ルール。年間支出の25倍の資産があれば、毎年4%取り崩していっても、資産は減らさずに・・・というアレです。
これは「4%の収益」が前提となっていますが、絶対に毎年4%の収益が得られるとは限らないのでどうなんだ?という話もあります。
ただ、大抵の人は然るべきバッファーもあるでしょうから、フローとストックの合わせ技で、一生涯の生活費を賄える蓋然性は高いと見ます。
サイドFIREについて
完全にリタイアせず副業で稼ぐ、サイドFIREというものがありますが、以下のように場合わけします。
- 趣味・贅沢費用を含め、全ての出費を完全に自前のストック・フローで賄えており、副業は「生活の潤いのため」に行っている
- 生活費は自前のストック・フローで賄えており、趣味・贅沢費用を副業で賄っている
- 生活費の不足分まで含めて副業で賄う。ただし、老後前のある段階(例えば50代とか)で逃げ切り状態に入り、副業を止めても問題が無い目途が立っている。
- 生活費の不足分まで含めて副業で賄う。副業を止められる目途が立っていない。
これまでの考え方に則れば、1番と2番は「経済的独立」の範疇に入る。
3番は、個人的には「経済的独立」と見なさないけど、サイドFIREを名乗ることは個人的には許容範囲。厳密にはリタイアではないけど「セミリタイア」というのと同じような感じ。
4番は、FIREというより、フリーターか個人事業主だと、私は捉えています。
自分にとっては「逃げ切る」くらいが丁度いい
ということで、「経済的独立」を謳うには、結構、色々な条件が必要だと私は考えているので、おいそれと「自分は経済的に独立してまーす!」とは言えないな、ということがあります。
「これで人生逃げ切れるな、あとは楽チンに過ごせるな」と自己満足に浸るくらいが丁度いいのかな、自分にとっては。
★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます