【総選挙総括・2】明暗を分けた旧民主の2党。立憲の分裂は回避できるか?
前回に引き続き、総選挙の総括。今回は野党についてです。
↓ 前回記事
目次
《東京都奥多摩町》
旧勢力左派は退潮傾向
各党の獲得議席数は次の通り
自民 261(-15)
立民 96(-13)
公明 32(+3)
共産 10(-2)
維新 41(+30)
国民 11(+3)
れ新 3(+2)
社民 1(±0)
N党 0(-1)
諸派 0(-1)
無 10(-2)
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定数 465(+4)
獲得議席を見れば、自民と立憲の減った分が、ママ維新に流れたという感じになっています。特に立憲が100を切ったのはちょっとオドロキです。
もう少し細かい部分を見てみると、共産も減っていて、代わりに国民民主と、れいわが善戦しています。ここから分かることは、立憲・共産といった旧勢力の左派政党は退潮気味ということです。同じ左派でもれいわは伸びていますから、退潮気味なのはやはり「旧勢力左派」ということです。
ちなみに、今の立憲は中道左派ではなくて、堂々たる左派だと思います。その理由として、
- 共産と組んだことでその主張が相当に左に寄ってきた
- 中道や右派議員がかなり抜け、代わりに社民から合流したことで、かなり左側に濃縮された状態になっている
- 残った中道・右派議員もいるが、彼らの主張が党の主張として前面に出てくることが稀。
かつての民主党は、中道左派を中心に右派から左派まで幅広く人材を取り揃えていて、様々な人から支持を受ける素地があったので、まことに寂しい限りです。
それでも、立憲が96議席取れているのは「野党第一党」認定されているからです。すなわち、与党の対抗馬というだけで一定数の票は入るのです。
国民民主党の善戦
立憲・共産の退潮の代わりに、維新・国民民主・れいわが伸びていますが、ここでは最も地味な国民民主について書いていきます。
正直、私は国民民主は非常に厳しいと思っていました。それは、昨年、多くの議員が立憲民主に合流し、国民側は一気に泡沫化したからです。
ひとたび泡沫化すると、その政党は国民にとって空気となり、更に泡沫化が進むのが常で(そのいい例が社民党やかつての保守党)、私はその道を歩むと思っていたのですが、予想は裏切られました。
まぁ、今回は、国民民主が立った選挙区で立憲民主は立てていないのですが、それでも、泡沫化した政党が、自民党候補相手に6選挙区取るのはそう易しくない。前回比例復活だった人が今回は選挙区で当選していたり、前回選挙区で当選していた人も今回はより大差で当選していたりする。
更に、比例。全国区の参議院と違い、衆議院選挙の比例はブロックに分かれているで大政党有利で、泡沫政党がこれを取るのは易しくない。にも関わらず5議席獲得したのは健闘と言える。
そして、選挙区と比例を合わせ、トータルで11議席と3議席増。立憲民主に比べれば屁にもならない数ですが、この規模の政党で3議席増というのは結構大きい。
維新の躍進とも併せて考えると、俗にいう「ゆ党」を期待する向きは、実は結構大きいのだと思います。
ということで国民民主は想像以上に善戦したなと思うのですが、一つ言いたいのは、功を焦らない方がいい、ということ。
今回の立憲民主党といい、前回の希望の党といい、更には、いつぞやの郵政解散のときの民主党といい、同じような失敗を繰り返しているのですが、その本質は、「政権交代を焦って、小手先の手段で、目先の議席数確保に走ってしまったこと」にあります。
維新、立憲とは、当分は個別の協力にとどめ、性急に合流とかは考えず、10年単位で地道にやっていくべきです。
立憲民主党の惨敗
そして立憲ですが、2017年の旧・立憲民主党の結党時以来、最大の危機に陥っていると言えます。普通の敗北なら、新たな代表のもとで再出発を図ればいいだけですが、本ケースにおいては、「与党追求型議会運営」「共産党との共闘」というこれまでの取組をどうするのか、という非常に重いテーマを抱えているからです。
もちろん、必要な部分では、与党を追及すべきだし、共産党と協力してもいいのですが、それに極端に偏ったやり方でいいのか、ということの反省無しでは前に進めないのです。
しかし、この点は所属の各議員で考えが異なると思います。これまで協力してきた共産との関係もあるから、簡単にこれまでの方向性を誤りだとは言い出しにくい。非常にセンシティブな問題なのです。枝野代表の辞任表明が遅れたのは、こういう葛藤があるからでしょう。
1年もたたずに参議院選挙が来ますが、どうするのでしょうか。昨年、私は次のような投稿をしています。
今回、比例でも復活できなかった、あの方も、その危険性を察知しているようですね。
辻元清美氏 〝ポスト枝野〟めぐる立民代表選に警鐘「分裂しちゃ、アカン!」
今回の衆院選で選挙区、比例ともに辻元氏は「わたしはいなくなる。(代表選は)しっかりやって。分裂だけはしちゃ、アカン」と警鐘を鳴らした。
深刻なのは、単に自分達が惨敗したというだけでなく、是々非々を旨とした維新や、元の同志である国民民主が良い感じに躍進・善戦してしまったこと。
本当は、立憲内にも、維新や国民民主のような形でやっていきたい人達が少なくなかったのを、今の執行部がその動きを抑えてきた、という事情があります。
一方で、今回当選した立憲議員の多くは、自らの当選が共産票によるところ大と認識していることでしょう。
党勢拡大のためには、共産と手を切った方がいい。しかし、自らの当選のためには共産と組まないといけない(もっともこれは"錯覚"なのですが)。
まさにジレンマ。
これは荒れますよ。メチャクチャ。
今後の展開次第では、立憲の中から国民民主に行きたがる人が出てくるかもしれませんが、一度共産側にヒヨッた人を国民民主は警戒するでしょう。
まずは、立憲の再分裂は回避できるのでしょうか? 注目したいと思います。
↓ まだ書くことがあるので、残りは明日に回します。
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