安倍元総理死去 ~参議院選挙はどうなるのか?~
奈良県で、選挙演説中の安倍元総理が銃撃、死去、というニュースが入ってきました。本当にびっくりしました。ご冥福をお祈り申し上げます。
目次
令和の時代でもこんなことが起きるとは・・
過去、現職総理または総理経験者が暗殺された例としては、
があると思いますが、これらは、大正後期~昭和初期に立て続けに起こっています。この時期、日本は、大正デモクラシーの時代から、一気に戦争の時代へと突き進んでいったということを考えると、今回の事件も非常に不穏なものを感じてしまいます。
令和の時代でもこんなことが起きるんだな・・・・。
大物政治家に殺意を抱き、それを実行してしまう者が、ごく僅か存在する。それはいつの時代でも変わらない、ということか。殺人を肯定するものでは決してないが、総理というのはそういう立場なのか。
なお、「選挙期間中に・・民主主義への挑戦」という風に言われていますが、犯人はそこまで考えていなくて、選挙期間中だと狙いやすかったというだけのことでしょう。
安倍元総理は分かりやすい「共通の敵」だった
安倍総理は、(第二次以降の)長い長い在任期間に行われた、全ての衆議院総選挙・参議院通常選挙において、二位以下に大差をつけて勝利しています。最後こそコロナで支持率が下がってしまいましたが、人気という点では随一のものがあったと思います。
だからこそ、というべきか、敵の多い方でもありました。
詳細は省略しますが、安倍氏はいわゆるタカ派的な政治信条をお持ちでしたが、そういう方が国民的人気を長期にわたって獲得している状態は、割を食う側からすると、面白いものではなかったでしょう。
だからなのか、安倍氏は、対立勢力にとって非常に分かりやすい「共通の敵」でした。安倍氏に対する憎悪をかきたてるような言動もかなり目立っていたようですし、総理辞任後、既に二代を経ているのに、いまだに安倍氏がどうのこうの、とおっしゃっているのを見かける状態です。
もっとも、今回の銃撃を企てたのが、その対立勢力というのでは決してありませんが、彼らの「安倍氏に対する憎悪をかきたてるような言動」が、犯人の心情に影響していた可能性は否定できないような気がするのです。
参議院選挙の結果への影響はあるか?
そして気になるのは、あさってに控えた参議院選挙ですが、今回の事件、結果への影響はあるのか?ないのか?
参考に出来そうなのは、昭和55年の衆参同時選挙期間中に大平総理が急死された例くらいしかありません。
具体的にはwikipediaのハプニング解散の項をご覧いただければと思いますが、簡単に述べますと、総理の病死によって、それまでゴタゴタしていた自民党内がまとまって、同情票も得ることが出来て、自民党は圧勝してしまいました。
敢えて、この一例だけを参考に申し上げるなら、やはり、「影響はある」と思います。しかも、今回は病死ではなく、暗殺という更にショッキングな事件であり、それから僅か2日、そのショックが尾を引いたまま投票することになるのです。
影響の内容
大平氏の例が示しているように、選挙としては自民側に有利になると見ます。
「自民に入れようか他党に入れようか」と迷っている方は、自民の方にかなり振れるでしょう。こういう方の多くは、もともと自民指向だったが自民の勝利予測を受けて、他党も検討している、というパターンが多いと思います。しかし、今回の事件の衝撃で、その検討を止めて自民に決めてしまう方が多数出るものと推測。
その結果、割を食うのは、自民票の主な流出先、つまり維新や保守系の小政党です。
特に、事件現場の奈良、その隣の京都は接戦区でしたが、ともに自民がとるんじゃないでしょうか(京都もう1議席が立憲と維新どちらになるかは不明)。
立憲・国民の民主党系政党も安泰ではありません。特に1人区。自民優勢とはいえ、接戦に持ち込んでいる区もいくつかあり、自民vs民主党系野党vs小政党の構図。
この構図だと、保守系の有権者が、自民へのお灸的な意味で、思想信条的に多少合わなくても民主党系政党や小政党に投票することがありますが、今回の事件で自民にいくらか回帰する可能性があります。特に接戦区では影響が大きく、自民が当選しやすくなると見ます。
比例も同様で、自民の比例票が維新や保守系小政党に流れがちだったのですが、今回の事件で、かなり流出は減って、19~21議席くらいは取るかもしれません。
色々書いてみましたが、前例に乏しい話なので、やはり予測は難しいですね。
改めて、安倍元総理のご冥福をお祈り申し上げます。
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参議院選終盤情勢の独自考察
参議院選挙ももう終盤戦。各社の終盤情勢調査も出揃ってきたので、開票前に改めて考察してみたいと思います。かなりの長文です。
目次
情勢調査は色々とありますが、ここでは朝日の調査を中心に見ていきます。何といっても、前回、(個々の選挙区はともかくとして)もっとも近い数字を予測したのが朝日だったからです。
自民:堅調だが、比例は他党に若干流出
現職の支持率低下は選挙前にはありがちな現象であり、あまり重く見る必要はない
まず。
選挙を控えて内閣支持率が低下していますが、このことの影響は限定的です。なぜなら、選挙を控えて現職の支持率が低下するというのは、結構ありがちな話だからです。さらに言うなら、現職が当選後に支持率が大幅アップする、というところまでがセットです。
なぜこのようなことが起こるのか。
まず、普段の調査においては、「この人(総理や知事など)を支持するかしないか」と問われた場合、無党派だったり、野党を支持している人でも「支持する」と答える人が結構います。その結果、支持率は高く出がちです。
しかし選挙が近づいてくると、そのような人は「○○を支持する」と回答することに抵抗を感じるようになります。それは、与党に投票しないor迷っているのに、「○○を支持する」と明確に回答することは矛盾するからです。
結果、支持率は下がったりするわけですが、その○○が当選した暁には、そういう人達の支持が復活し、更には勝ち馬に乗る人が上乗せされ、支持率が大幅アップするのです。
今回の場合、物価上昇や節電の問題も少しはあるかもしれませんが、大半は上記のようなメカニズムで支持率が下がっているだけなので、あまり重く見る必要はないとみています。
与党の勝利があまりに言われ過ぎて、比例が伸び悩む
さて本題。
選挙区においては、対立野党(主に立憲民主党)がグダグダなのもあって、自民は非常に堅調。圧勝の兆しすらあります。
複数区においては、北海道・千葉の二人め、および京都が接戦なのを除けば全勝。一人区でも、新潟、長野、岩手など、これまで自民が勝てなかったところでも、競り勝つ可能性があります。
ただ、比例は伸び悩んでいますね。「20議席いくんじゃないか」とも言わることもあったのですが、朝日の情勢分析を見ると「15~19」に過ぎません。
それは、与党の勝利予想が言われ過ぎて、選挙区は自民でも、比例は他党に入れようとする傾向が強まっているからです。
保守系の有権者であっても、「自民以外に良さげな党があれば、そちらに入れたい」という人が、実は少なくない。でも、選挙区では、対立候補が「かなり左に寄ってしまった立憲」や「当選の見込みのない小政党」だったりするので、結局、自民に投票するしかない。
しかし、比例は別。自民以外にも保守系の新興政党があって、しかも小政党でも当選の目がある。「それほどまでに自民が勝つのであれば、これ以上自民が議席を増やすよりも、そのような小政党にチャンスを与えたい」このような心理が、一部の保守系有権者に芽生えているようです。
維新:比例で野党第一党、複数区でも接戦に持ち込む
次は、話の流れの都合上、維新について述べます。
朝日の情勢調査だと、比例の議席数は「6~9」となっており、立憲の「5~8」を上回っていて、比例での野党第一党が視野に入っています。
前回の衆議院選では、大阪・兵庫はもちろん、他の関西地区、富山、徳島、首都圏の一部地域などでも、維新は立憲を比例票で上回っていました。現在、この傾向が一層強まっているようです。特に、先述の自民の比例票の流出の一部が維新に流れているのも追い風です。
ただ、それ以上に、今回の選挙の最大のハイライトだと思うのが、選挙区、特に複数区における維新の追い上げです。
大阪・兵庫を除くと、前回の維新の強さは主に比例で発揮されていました。なので、選挙区ではまだまだで、今回も、地盤のほとんど無いところからスタートしているところが多いです。
しかし、その後、猛烈な追い上げにより、次の選挙区において接戦にまで持ち込んでいます。
- 茨城(2人区)2議席め
- 埼玉(4人区)4議席め
- 東京(6人区)6議席め
- 千葉(3人区)3議席め
- 愛知(4人区)4議席め
- 京都(2人区)2議席め
- 奈良(1人区)
- 広島(2人区)2議席め
- 福岡(3人区)3議席め
各選挙区の状況については、長くなるので、読みたい方は次の「▶詳細」の「▶」をクリックすれば、表示されます。
- 茨城(2人区)2議席め
加藤(自民)が戦いを優位に進め、堂込(民主系無所属)、佐々木(維新)が残り1議席を巡って、激しく競り合う展開となっている - 埼玉(4人区)4議席め
関口(自民)が頭ひとつ抜け出し、残る3議席を西田(公明)、高木(立憲)、上田(国民系無所属)、加来(維新)、梅村(共産)の5人が激しく競り合っている - 東京(6人区)6議席め
朝日(自民1)が安定感を増し、蓮舫(立憲1)、竹谷(公明)、生稲(自民2)が続く展開。残る2議席を巡り、山添(共産)、海老沢(維新)、山本(れいわ)、松尾(立憲2)が激しいデッドヒートを繰り広げている - 千葉(3人区)3議席め
猪口(自民1)と小西(立憲)が先行し、残る1議席を巡って臼井(自民2)と佐野(維新)が激しくしのぎを削っている。 - 愛知(4人区)4議席め
参議院選挙 愛知選挙区の中盤情勢 : 読売新聞オンライン
藤川(自民)が優位に戦いを進め、斎藤嘉(立憲)、里見(公明)、広沢(維新)、伊藤孝(国民)、須山(共産)が追い上げる展開だ。 - 京都(2人区)2議席め
吉井(自民)、福山(立憲)、楠井(維新)が横一線で並び、予断を許さない展開となっている - 奈良(1人区)
佐藤(自民)、中川(維新)、猪奥(立憲)が、三つどもえの戦いを繰り広げ、激しく競り合っている。 - 広島(2人区)2議席め
宮沢(自民)が盤石の戦いでリードしている・・・三上(民主系無所属)と森川(維新)は当落線上で競り合っている。
- 福岡(3人区)3議席め
大家(自民)が安定した戦いを進めている。続いて、ややリードする古賀(立憲)を、秋野(公明)と龍野(維新)が激しく競り合いながら追いかけている
茨城についてはノーマークの方も多かったでしょうが、かなり前、当ブログで触れていますので、よければご参照下さい。
【次回参議院の趨勢 2】 立憲vs維新、野党第一党をかけた戦いのゴングが鳴った! - 50歳で早期退職し、セミリタイア!
一方、複数区は波乱が予想されます。・・・ここでは茨城選挙区を取り上げます。・・・特に立憲と維新の間で2位争いが注目されます。
また、大阪2議席、兵庫1議席、神奈川1議席は既に当選圏内です。朝日の予想だと選挙区獲得は4~7なので、上記の接戦区ではあと取れても3議席くらいだろうということになりそうです。
でも私は、朝日の予想を超えて取ってしまうこともあり得るんじゃないかと思っています。というのも、維新は新興の勢いある政党です。今回、何もなかったところから接戦に持ち込んでいるところは、終盤~当日にかけても伸びしろが非常に大きいと思うからです。
実際、前回の総選挙でも、「維新は3倍増」という予想が多かったなか、実際には「4倍近く」まで議席を伸ばしてしまった、という「実績」があります。
とにかく、上記の接戦区でどれだけ維新が伸ばすかは、今後の政局を占う意味で、非常に重要な注目ポイントであるのは間違いありません。
公明:一部の選挙区で落とす可能性
ということで、維新の割を食うのがその他の政党。
自民も、千葉2人目や京都、奈良で接戦になっていますが、それ以上に、他の政党の方が危ない。
まず公明については、福岡の最下位当選争いを維新と繰り広げる羽目になっています。他の候補の多くについても、下位当選争いを余儀なくされている状況であり、一部の選挙区で落とす可能性もゼロではないと思います。
立憲・国民:維新に勝ち切れるか
さらに、まずいのは、立憲、国民といった民主党系政党。
共産党との共闘があまり進んでいなかったり、そもそもの党勢の衰退によって、一人区が不調なのは明らかですが、従来なら、複数区でそれを(多少は)カバーできていました。
しかし、その頼みの複数区さえも維新に侵蝕されつつある状態です。茨城(無所属)、埼玉(国民系無所属)、東京2人め(立憲)、愛知(国民)、京都(立憲福山氏)、広島(無所属)などは、予断を許さない状況。これらの複数区で維新に勝ち切れるか否かで、今後の展開が随分と違ってきそう。
立憲神奈川:共倒れを回避のため、候補一人を"切り捨て"
立憲は、神奈川で二人を擁立していますが、現状、どちらも当選圏内に入っておりません。共倒れが懸念されていましたが、やっぱり、という感じです。
こうした中、一人でいいから当選させようと、立憲は、「候補の一本化」(=もう一候補は"切り捨て")したことをツイートで公表し、炎上しています。
立憲民主、参院選神奈川の寺崎候補“見捨て”波紋、笠議員「上位の水野候補当選を最優先」 – SAKISIRU(サキシル)
立憲民主党の笠浩史衆院議員(比例南関東)が5日、参院選神奈川選挙区で同党が公認している2人の候補者について、党本部が情勢調査で上位の候補者の当選を優先する方針を固めたとツイッターに投稿した。
共倒れを避けるためとはいえ、片方の候補者への支援注力を公然と明らかにするのは極めて異例。情勢下位の候補者を実質的に見捨てるような発言だとしてネット上で波紋を広げている。
どうしても調整がつかなかったというのもあるのかもしれないが、横浜市長選の勝利、総選挙で神奈川の甘利氏を落選させたことで、自らの実力を過大評価してしまった面もあったと思う(どちらも特殊な状況の元での勝利であり、立憲の実力とは言い難いんだけどね)。
ただ、ここで一本化を宣言したところで、「もう一人の候補」が降りる訳ではないから、立憲票が分散することに対する根本的な解決にはなっていません。しかもツイッターで報告しちゃったものだから、一本化対象候補から「切り捨てられた候補」に同情票が流出しないとも限らないわけです。
だから、楽観的に見ても5位当選がいいところじゃないかな。
神奈川選挙区は本来4人区なのですが、欠員補充の意味で今回のみ5位まで当選できます。ただ、5位当選を果たしても、その任期は3年しかないので、3年後には、6年の任期を終えた牧山氏とバッティングしてしまいます。しかも3年後の当選人数は4人に戻っていて、立憲が二人当選するのはまず不可能です。
そうなるくらいなら、共倒れしてしまった方が、まだスッキリするような気がするが、ここまで党勢が退潮気味だと、そうも言ってられないのでしょう。
とにかく、この件、相当なしこりが残ることは間違い無さそうです。
諸派:参政党
最後、諸派の参政党について簡単に。
朝日の調査だと、比例で0~3議席を得る可能性が高いそうです。0~3議席とは、随分と幅がありますな。80万票に留まるかもしれないし、300万票に達するかもしれない、という数字ですよ、これは。
他社の分析も併せて考えるに、生データ上、比例ではかなり善戦するような数字が出ているのだと思う。ただ、今回初めての立候補ということで、その生データをどのように扱ってよいか苦慮している、ということなのでしょう。
こんな比例票、一体どこから湧いてきた!? という感じですが、それは、先にも述べた自民からの流出票のうち、維新に行かなかったものが、かなりの部分を占めているはずです。
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参議院選挙 ~ 立憲民主党を中心とした今後の政局
参議院選挙が公示されましたが、与党勝利はほぼ規定路線として、選挙後に政局となる可能性があるのが野党。特に最大野党である立憲民主党は、その結果によっては大きな政局になるかもしれません。
当記事では立憲民主党を中心とした選挙後の政局予想を書いてみます。特定の政党の支持不支持を述べるということではなく、あくまで政局ウォッチャーとしての記事です。
目次
《東京都青梅市:川の上流端の標識》
想定される選挙結果
選挙に絶対は無いにしろ、よほどのスキャンダルとか、大事件が無い限り、主要政党については以下のようになると思われます。
- 自民・・・勝利(場合により、改選過半数63議席もあり得る)
- 公明・・・勝利(選挙区全員当選)
- 立憲・・・??(改選23議席の維持は難しそう)
- 維新・・・躍進(改選6議席の倍程度をうかがう)
- 国民・・・よくて現状維持(減少もあり得る)
- 共産・・・よくて現状維持
- 社民・・・よくて1議席、下手すると政党要件を失う
与党については、選挙後、現政権が信任されたとして岸田首相をはじめとする現体制が続投となるのはほぼ間違い無いと思いますが、問題は(共産以外の)野党。
まず、維新は、選挙結果に関わらず、松井代表が辞任される意向ですので、代表選が行われます。まぁ、これについては勝利の中での代表選ですので、淡々と次期代表が決まると思います(何かあるとすれば、次期体制が固まってしばらくしてからでしょう)。
国民民主も、予算案に賛成したあたりから混迷気味で、第三極指向の票は維新に相当奪われますから、情勢は相当厳しい。選挙結果によっては、玉木代表が辞任する可能性があるだけでなく、維新に近い前原氏の動向によっては分裂含みの展開もあり得ます。
社民は、政党要件(比例得票率2パーセント)もそうですが、何といっても福島代表の1議席を守れるかが大きい。もし守れれば、仮に法律上の政党要件を失っても、政治団体(諸派というやつです)として存続するでしょうが、そうでなかった場合、党の存亡に関わる話となってきます(まぁ、あまりに規模が小さすぎて、全体から見たインパクトは非常に小さいのですが)。
立憲民主党の選挙の流れ
さて、立憲民主党ですが、泉代表は「野党で改選過半数」という目標を掲げています。維新や国民は、野党とはいえ立憲とはもう別物なのに、こういう時だけ同じ枠組み扱いにするのはどうなんですかね?
ということで、立憲自身の勝敗ラインはあまりハッキリしないので、前項では「??」と書いたのですが、まずは(立憲民主党系の無所属を含め)改選の23議席を目指すのが順当です。野党第一党としてはかなり控えめな数字ですが、これでさえ以下のように様々なハードルがあります。
- 今回は共産との選挙協力が限定的なので、1人区で非常に厳しい戦いとなる。
⇒これまでは無所属含め10勝以上してきたが今回は無理。例えば、4勝くらいとする。 - 複数区では、維新やれいわなどの新興政党に奪われる可能性あり。
⇒大阪以外の複数区で各1議席として12議席(東京・神奈川での2人目は無理) - 比例では、「非自民票」の相当数が維新やその他の新興政党に移る。
⇒比例は前回8議席。その後、旧国民民主からの合流があったが効果は限定的なだけでなく、維新への流出が見込まれる、7議席取れれば御の字ではないか?
しかし、このように行くとは限らず、神奈川で共倒れ、京都で維新に敗北、想定以上の比例票の流出など、不安要素は大きいのです。
選挙後の政局予想
上記の通り、立憲の勝敗ラインはよく分かりません。普通なら、改選議席が維持できれば「可」の評価は付くでしょうが、23議席というのは野党第一党としてはあまりに寂しい数字であり、また枝野前代表への郷愁から、この程度の数字でも政局にしようとする向きはあるかもしれません。まして、20議席を下回るような場合、改選野党第一党を維新に奪われてしまった場合などは、相当に動きます。
この場合、泉代表の辞任は当然として、「やっぱり枝野さんじゃないとダメだ!」的な勢力が息を吹き返します。旧・枝野勢力がナリを潜めていたのは、まさにこの時のためなのでしょう。
しかし、個人的な予想ですが、枝野氏ご本人が再び代表につくことはしないのではないでしょうか。枝野氏的なやり方を体現される方を代表に据えて、枝野氏ご本人は裏で支える的なフォーメーションになると見ます。
そして次期代表の最右翼は何といっても辻元清美氏です(彼女自身は左翼なんですがね・・・)。
辻元氏には、もはや選挙区で当選する力はありませんが、全国に広く薄くファンがいますし、私鉄総連から支援を受けているそうですから、今回、比例で、かなり景気よく当選することが想定されます。
その勢いをもって、党内で辻元期待論が高まることでしょう。これまでついてきた役職はそれ程目立つものではなく、また社民からの合流者ということで、多少は新しさをアピールできる。参議院からの代表となってしまいますが、民進党時代に蓮舫氏が代表を務めておられるので、そんなに問題視はされないでしょう。
また、彼女は典型的なスキャンダル追及型ですので、スキャンダル追及しかできない議員先生達から、圧倒的な歓迎の声があがることでしょう。
こうして辻元氏が新代表になった場合、
- 枝野氏は、新代表を裏でしっかり支える
- 枝野氏以外の旧・枝野勢力を何人か登用
- 現勢力からも泉代表とは関係の遠い幹部を何人か登用
みたいな感じの布陣とし、その上で、党運営方式を昨年の総選挙以前に戻し、共産党との協力も復活させれば、多くの方々が水を得た魚のようになることでしょう。それが党勢拡大につながるかは別にして。
彼女は元社民党ではありますが、多くの立憲議員と行動原理が似ているので、外様扱いは限定的。むしろ、泉代表の方が、元々同じ党であったはずなのに、外様的な風味を醸し出してしまっているのは、もはや政策提案を失ってしまって共産党の票がノドから手が出るほど欲しい人達に対し、「政策提案型」などと言い出すのが煙たがられているからなのだと思います。
こうして、先祖返りした立憲民主党は、諸派になってしまった社民党を吸収するかもしれません。また今後数年間、冷や飯を食わされることになる旧・国民議員が何人か脱党し、現・国民民主と合流するとか、維新と協力するとか、小規模な離合集散があるかもしれません。小沢氏の動きにも注目。
とにかく、政局ウォッチャーとしては、当たり障りの無い結果よりは、このような動きがあった方が興味深く見られるのですが、どうなるでしょうか。
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【次回参議院の趨勢 2】 立憲vs維新、野党第一党をかけた戦いのゴングが鳴った!
先の総選挙では、立憲サゲ、維新アゲの傾向が明確になったのですが、次回参議院選挙は、この順位が入れ替わるかどうか試金石となります。
つまり野党第一党をかけた戦いです。
目次
次回参院選でいきなり野党の順位が入れ替わることはない
ただ、最初にお断りしておきたいのですが、次回の参議院選挙でいきなり野党の順位が入れ替わることはありません。
- 参議院は半数改選なので、ある選挙で負けても、非改選の議員と合わせて、参議院で比較的多数を保っていられる。
- 衆議院選では、「大都市圏の多数の小選挙区でオセロのようにひっくり返る」ことにより議席数が劇的に変動し得るが、参議院選では大都市圏への議席の配分が相対的に少なく、かつ中選挙区が多いため、このような事象は起こりにくい。
- 仮に参議院で少数になっても、衆議院で野党第一党の地位を保っていれば、以降も「野党第一党」扱いされるものと思われる。
ただ、じゃあ立憲は安泰なのかというとそうではなく、次回参院選の勝ち負けによって、その次の衆議院選挙で野党第一党の座を保持できるのか、そうではないのかが決まる、というギリギリの瀬戸際にいるわけです。
「立憲共産主体の1対1対決の構図」が危機にある
立憲代表選の候補者の方々はこぞって「1対1対決の構図を作っていくことが大事」とおっしゃっています。しかし、実はこの構図は今、危機に瀕しています。理由は二つあります。
「共産党」という重い十字架
一つには、前回記事でも述べましたが、先の総選挙で敗北したことにより、立憲は、『共産党』という重い十字架を背負ってしまった、ということがあります。
一言で1対1といいますが、その片方に共産党が入っている、という状態が、共闘している限りずーっと続くわけです。極端な言い方をすれば、片や現状維持、片や共産革命、みたいな180度異なる選択を迫られるのが本当に良いことなのか。
有権者はこれまで以上にそのことをに気にするでしょうし、立憲としても共産との関係のバランスをとっていくのに、多大な労力を費やすことになる。
枝野前代表は、「限定的な閣外からの協力」に過ぎないのだから、そんなに共産とは近くないんだ、とおっしゃっていましたが、共産側は選挙が終わってかなり本性をむき出しにしてきているんですよね。
軍拡阻止し 憲法生かそう/日本平和大会開く/安保廃棄の国民的合意を
日本共産党の小池晃書記局長は「安保条約廃棄の国民的合意をめざして安保そのものを正面から取り上げて活動することは、市民と野党の共闘の発展に大きな意義を持つ」と強調しました。
つまり、立憲・共産主体の1対1の構図にクエスチョンが付けられてしまったんです。
維新など第3極が1対1に割って入って来る
更に差し迫った問題なのが、維新の台頭です。先の総選挙で、維新は大都市圏を中心に、かなりの数、小選挙区で候補を立てているんですよね。
- 北海道×3、宮城×2、
- 茨城×3、栃木×1、群馬×1、埼玉×4、千葉×4、神奈川×7、東京×17、
- 新潟×1、富山×1、石川×1、長野×1、岐阜×2、静岡×3、愛知×3
- 滋賀×1、京都×3、大阪×15、兵庫×9、奈良×1、和歌山×1
- 広島×2、徳島×1、香川×1
- 福岡×4、宮崎×1、沖縄×1
小選挙区で当選した16人のうち15人は大阪ですが、多数の落選者も、今回顔を売って次の機会を窺っているに違いないのです。
つまり、自公vs立共という1対1の構図が崩れつつあるのです。維新が一人区でただちに勝利するのは難しいですが、彼らは与野党双方から票を奪う力がありますから、徐々に三つ巴の争いに発展していきます。
先の総選挙でいうと、大阪や兵庫の他、東京1区など、一部の小選挙区がそのような状況に向かいつつある。
こんな状況が、来年の参議院選挙、次回衆議院選挙で絶対に発生しないと、どうして言い切れるでしょうか。
激動の複数区
とはいえ、一人区、小選挙区における1対1の構図は、次回参院選でただちに崩壊するわけではありません。
一方、複数区は波乱が予想されます。みんな一人区を一本化することばかり気をとられていて、複数区のことにまでは、あまり考えが及んでいないようです。
というのも、これまでの複数区は、有力な各政党がなかよく議席を分け合うといった無風区が多かったからなのですが、大きく支持率を伸ばした維新がこの状態に待ったをかける可能性があるのです。
維新の松井代表がおっしゃっているのは、京都選挙区(改選数2)ですが、ここでは茨城選挙区を取り上げます。
前回2019年の茨城選挙区は次の通り。
どってことのない無風区で、維新の候補は4位でした。しかし次回は、維新が自民票と立憲票を奪って票を伸ばすことが想定され、特に立憲と維新の間で2位争いが注目されます。
先の総選挙では、茨城という、維新が全然浸透していない地域に候補を3人も立てています。実際、得票率は低かったのですが、それでもここまで積極攻勢をかけるのは、彼らが参議院茨城の2議席めを狙っているからに他ならないからです(という個人的な予想)。
ほか、埼玉、愛知、神奈川、福岡などで、維新がどこまで食い込めるか、自民と立憲は踏みとどまることができるのか、注目です。
比例代表の争い
20年ほど前の大規模国勢選挙において、小選挙区では自民が勝っていても、比例得票は民主党が自民党を上回っていることが多かったです。それは、当時、民主党に期待している人が多かったことの現れでしょう。その後身の政党の比例票が伸び悩む、というのは、やはり期待が落ちているのでしょう。
次回の参議院選挙で立憲と維新、どちらが比例票を上回るのか?それが政党への期待値に直結するので要注目。
立憲に有利な点も?
ということで、立憲に不利のようなことを書きましたが、全てが立憲に不利なわけではありません。
先にも述べましたが、参議院選挙で劇的な結果が出ることは無いので、うまくいけば「いろいろあったけど、どうにか踏みとどまったよね」みたいな結果で収まることも十分あり得ます。
来年、改選対象となる立憲の議席数は22(多分)とそんなに多くないですから、参院選後にこれを下回ったとしても数議席程度でしょうし、維新と自民で票が割れて立憲が当選することがあるかもしれません。
それやこれやで、改選第二党を死守出来れば、立憲民主党は、どうにか野党第一党に「残った」、そうでなければ、非常に危機的な状況に追い込まれる、というわけです。
ちなみに、片割れの国民民主党の方も、次回の参議院選挙では改選数が多いため、こちらも現有議席を確保するだけでも、相当に厳しい戦いになりそうです。
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【次回参議院の趨勢 1】 立憲の背後に迫りくる維新。2位でいられるんですか?
まだ立憲の代表選が続いていますが、誰になろうと方向性は同じでしょうし、あまり興味を持たれている風でもないので(当ブログの前回記事共産党を腫れ物扱いする、立憲民主党の代表選も低調)、話題の軸足を、次回の参議院選挙に移していきたい、と思います。
目次
《埼玉県毛呂山町:宿谷の滝》
誰が立憲の新代表になろうと、やることは変わらない
とはいえ、立憲民主党の今後について書いておかないと、参議院選挙について触れることが出来ないので、簡単に述べておきます。
案の定というか、代表選における各候補の討論内容は、非常に薄いものになっています(前回記事:共産党を腫れ物扱いする、立憲民主党の代表選を参照)。
まともな政策論争をするほどの地力が無いのであれば、あと残るテーマは「共産党との共闘は正しかったのか?」しかないのですが、これについても各候補は直接語ることについて及び腰です。
今回の敗戦の根本原因は「持てるエネルギーの大部分を、野党共闘などの票合わせと政権批判に費やすことで、政策立案力など党としての地力がどんどん削がれていったため」なのに、目先の票が逃げるのと、党の分裂が嫌で、そこまで切り込める候補者はいらっしゃらない。
だとすれば、誰が新代表になったとて、やれることは、「共産党と連合との関係の再構築」しかないんですよね。そもそも、政策を練り上げていく人・仕組みが無いので、政策で勝負などできっこないのです。
各候補もその辺は分かっていて、その立ち位置によって表現は変えていますが、結局は「共産党と連合との関係を再構築していきます!」ということをおっしゃっているのです。
ただ、これは言うほど簡単ではありません。共産党や連合だけでなく、党内の意見集約も必要になってきますから、非常に、非常に高度な調整力・政治力が必要になってきます。
新代表が、このような調整力・政治力を存分に発揮できるか? 難しいでしょうね。
特に小川氏は、選挙前、野党候補の一本化を訴えて、独断で、維新の会議に乱入したり、維新の候補の実家に押しかけるなどしたそうで、こういう人に調整力があるとは到底思えないんですよね。
小川淳也氏 維新への直談判は「私の軽率さ。深く反省」(朝日新聞) - goo ニュース
RTs>維新の代議士会に“乱入”し、馬場伸幸幹事長の腕をつかんで候補者調整を懇願する小川(淳也)氏の写真
— にこ( ´ω` ) (@nikoyky) October 12, 2021
TLに流れてきてたけど、これわざわざ維新の部屋(恐らく国会内の控室)に入り込んでたんだな。
やばくないかこいつ… pic.twitter.com/VE2j1cAJQk
十字架を背負ってしまった立憲
立憲民主党の本当の試練はこれからです。
正直なところ、今回の選挙に限っていえば、共産党との共闘そのものは、それほど議席数に影響していないと思います。もともと党としての地力が無かったのですから、比例はあんなものだろうし、小選挙区では、共闘で得られる票・逃げる票あって、トータルで議席は微増。共産云々ではなく、弱かったから負けたのです。
しかし、共闘が選挙結果にそれほど影響していなかったのだとしても、「共産党と政策協定まで交わし、大規模に共闘した選挙で、派手に敗北してしまった」というのは事実であり、これによって、十字架を背負うことになってしまった。
選挙後は、大手マスコミを含め、「野党共闘は正しかったのか?」という議論が盛んに行われるようになり、世論調査のネタにまでなる始末。
自民の麻生氏は選挙期間終盤で「立憲共産党」と揶揄したそうですが、保守系のメディアでは、今やこの言葉が公然と使われるようになっていて、今後もずーっと言われ続けることになる。
ネットでは、「共産党と組む」というのがどういうことなのか、検証サイトや動画がどんどん作られていく。
つまり、これまでは、野党共闘について、メディアや国民の関心は必ずしも高くなかったのに、今後は選挙のたびに野党共闘について強く問われる状態を作ってしまった。
すると、これまではそれ程気にしていなかった人も、「共産と組む候補・政党は避けておこう」と考えるようになり、逃げていく票が今回以上に多くなる可能性が高い。
この状態は、「共産党との絶縁宣言」をハッキリと出さない限り収まらないのですが、相手がある話だし、共産票で当選してしまった人が多数なのですから、まず不可能。
枝野前代表はこのような事態を怖れていたからこそ、選挙期間中、何とか共産色を薄めよう薄めようと頑張っていたのに、結局、徒労に終わってしまったのです。
2位で良いと思っていたら、維新が背後に
2位じゃダメなんですか?のアノ方じゃないですが、立憲民主党はとにかく2位(野党第一党)でいることにエネルギーを注いできた党だと思います。野党共闘もその一環なんだと思いますが、これまでのやり方では2位でいることさえ安泰ではない、ということを突きつけられたのが、今回の選挙結果です。
すなわち、維新の躍進であり、2位で良いと思っていたら、いつの間にか維新が背後まで迫ってきている、という状態。
もともと、維新は大阪の地域政党で、今回得た41議席のうち半分以上は近畿のものなのですが、それでも野党第一党たる立憲民主党の4割の議席数を誇り、インパクトは非常に大きく、これまでの与野党に代わる第三極として、一気に認知された感があります。
維新の浸透は全国的なものなのですが、もちろん地域によって程度差はあります。近畿では圧倒的で、東北では比較的緩やか。近畿以外では、東京ブロックが注目されます。
2017年と2021年の東京ブロックにおける比例得票数の推移は次の通り。
- 自民は横ばい。
- 立憲は、2017年当時に希望だった議員が2020年に大量に合流しているので、得票率も大幅に増加しているべきなのに、3.5ポイントも低下。
- 維新は10ポイント上昇。れいわや国民民主も善戦。
つまり、これまでだったら野党第一党に行くはずだった票が、維新・国民民主・れいわに、大分、流れてしまった、ということです。
更には、最新の世論調査だと、立憲と維新の政党支持率は拮抗しており、中には維新の方が上回っているものさえあるのです。
野党第一党ボーナスの行き先
まとめると、これまで「野党第一党だから」ということで立憲に入れていた人の投票先が、維新など他政党に結構、移ってしまったというのが今回の選挙結果です。
この傾向は、次回以降の大規模国政選挙で、更に強まることが予想されます。というのも、
- 立憲民主党は、「立憲共産党」という十字架を背負うことになってしまった。
- 立憲民主党は、代表選における空虚な討論などにより、党としての地力(人材や政策)に乏しいことが赤裸々にされてしまった。
- 今回の選挙結果を受けて、日本維新の会が第三極として認知された。
そうすると、無党派層の主な投票先が、立憲から維新に移行していってもおかしくないのです。維新に抵抗がある人は国民民主やれいわがあります。必ずしも野党第一党に入れなくてもいい、と無党派層に認識させてしまったのです。
立憲 vs 維新 については、まだ書くことがありますが、それは次回にて。
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共産党を腫れ物扱いする、立憲民主党の代表選
立憲民主党の代表選。候補者は、逢坂誠二氏、小川淳也氏、泉健太氏、西村智奈美氏の4名。共同記者会見や、テレビ出演などにより、各候補の主張が開始されましたが、それらを聞いて「前途多難だなー」という感が拭えませんでした。
目次
《東京都青梅市:2年前の台風で流された橋(御岳小橋)》
各候補の印象
ネット上には、候補者の顔ぶれを見て「こんな人知らない。人材不足だ」とおっしゃる方もいますが、私はそれは違うと思っています。
例えば、岸田総理は外務大臣まで勤めたにも関わらず、ついこの間まで空気でしたし、維新の松井代表とか吉村知事、国民民主党の玉木代表なども当初は無名でしたが、今では党の顔にちゃんとなっています。立場が人を作る、というのは確かにそうなんだろう、と思います。
ただ、4候補中2名、具体的には小川氏と西村氏に代表はムリなんじゃないか、と、次の共同記者会見を見て、早くもそう思いました。
立憲民主党代表選、きょう告示 4氏が共同記者会見(スポーツ報知)
立憲民主党の代表選挙(30日投開票)が19日、告示され、逢坂誠二氏、小川淳也氏、泉健太氏、西村智奈美氏の4氏が共同記者会見に出席した。
↓フルバージョン
小川氏の主張からは、「これまでの自民党政権は一方的に悪であり、それを我々がそれをたださなくてはいけないんだ」ということしか伝わって来ない。政策については、それっぽい単語を、ただ並べているだけで、それらについて通暁している感じが全然しない。ハッキリ言ってしまうと、言ってることの中身が全然無い。ついでに、発言や行動が挙動不審な印象を受ける。この人が代表になったら、ネタとしては面白いんだろうけどねぇ。
西村氏は、落ち着いてはいますが、ジェンダー問題のワン・イシュー議員のように、私は受け取った。確かにジェンダー問題は大切なのかもしれないけど、野党第一党の代表として、幅広く政策について語るってことが全然出来なそう。
まぁ、小川氏は、映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で若干の知名度はあるし、西村氏は唯一の女性ってことで、一定程度は票が入るのかもしれませんが、普通に考えれば、ニセコ町長の経歴がある実務型の逢坂氏か、政策提言型の泉氏の二択だと思います。
逢坂氏だと党内はまとまるのかもしれませんが、ちょっと萎れた雰囲気で、旧・社会党っぽく見えてしまう(逢坂氏に社会党在籍経験は無いが、それっぽい外見、ということ)。広く国民にアピールするのなら泉氏なんでしょうが、旧・国民民主党の彼が主張する「党改革」、および小沢グループの支持を受けている点に警戒する人が少なくないかも。
経済についてほとんど語られていないのが残念
非常に残念なのが、経済対策について、ほとんど語られていないことです。弱者への施しみたいなことはおっしゃるんだけどね。
私は、それほど経済については詳しくないし、そういう話を聞いても面白いとは思わないのですが、それでも、その党や候補が経済について語れる人なのかどうか、ということは非常に重視しています。
それは、「この国をどうして行くのか」という具体的なビジョンを模索しようとすれば、結局、経済に行き当たるからです。逆に言えば、経済が語れないということは、具体的なビジョンがなく空理空論を述べているだけ、と私は捉えています。
今回の候補者達は異口同音に、弱者を救わなくてはいけない、みたいなことを、しきりにおっしゃいます。しかし、弱者対策のためには原資が必要であり、そのためには、その原資を供給してくれる中間層や富裕層の実入りを良くしなくてはいけないのですが、そういう話がほとんど聞こえて来ない。
これは、根幹部分(安全保障など)で党内に対立があるから、専門性のある政策課題を党として深掘りする土壌が無いことが原因だと思う(中道層から支持されなくなるから、一応、安保賛成を言うが、内心はそう思っていない人々多数)。
こういうところからも、立憲民主党の地力が落ちていることが分かるわけです。
野党共闘 ~ 共産党は腫れ物扱い
やっぱり、というか、野党共闘について問われると、各候補者の歯切れは悪いですよね。
外交・安保政策が大きく異なる共産との連携を否定する候補はいなかった。逢坂氏は「(自民、公明両党との)1対1の構図を作るのは当たり前だ」と述べ、小川氏は「とにかく自公が嫌がること、自公にとって最も脅威となることを野党がまとまってやっていく」と指摘。泉氏も「1人区においては一本化を目指す」と語り、西村氏は「1対1の構図は自公の議席を減らすためには必要不可欠だ」と言い切った。
この記者会見では「共産党との連繋についてお尋ねします」と問われていたのに、各候補は1対1の重要性を言うばかりで、共産党のキョの字さえ発することがない徹底ぶり。完全に腫れ物に触るような扱いです。
だから、表面的には、このことが争点になることは無いでしょう。でもそれは重要度が低い問題だからではありません。支持母体の連合からは「共産を切れ」と言われているし、立民支持層の野党共闘への賛否も真っ二つなのですから、みんな注目していないはずがないのです。
【産経・FNN合同世論調査】立・共共闘 共産支持層8割「続けた方がよい」
支持政党別では、立民支持層で「続けた方がよい」との答えが48・6%、「続けない方がよい」が48・3%と拮抗(きっこう)し、賛否が分かれた。
ただ、あまりにも問題が大きく、センシティブ過ぎるから、候補者は言葉に出すことさえ出来ない。まずは分裂しないことが最優先ですからね。
ただ、当ブログ前回記事でも述べましたが、過去5年間ずーっと、この問題を背景として党が揉め、離合集散しているのに、いまだにその結論を出せないでいることが、党の弱体化を招いているのです。そろそろちゃんと正面から向き合った方が・・・。
まぁ、それでも、この記者会見は、野党クラブ(そんなのあるんだ!)というのが仕切っているそうで、記者達が野党に甘いのか、外交安保、経済対策、野党共闘など立憲のアキレス腱についてはあまり突っ込まないのでボロは出ていない。
でも次の番組ではズバリと、少々煽り気味に共産との連繋について問い質しているので面白い。
ここで、逢坂候補は、冒頭からいきなりキャスターの兆発に見事に乗ってしまった。共産党との連繋を悪宣伝されてしまったのがいけないんだ! と、ちょっとホンネが出てしまいましたね。
でも、現場の立憲の候補者の方の中には、共産党との連繋をかなり強調していた方もおられたようです。
立憲民主党の候補者ポスター。
— travelchance (@travelchance) 2021年11月14日
「比例は日本共産党」(ロゴ使用)なんて追加作成しちゃうから、負けちゃうんだよね。#立憲民主党 #立憲共産党 pic.twitter.com/nZhsvCun0K
このポスター、立憲民主党という文字よりも、共産党のロゴの方が目立っているぞ!どこの党のポスターやねん!
ここまでやってしまうと、さすがに「悪宣伝」というだけでは片付けられないですよね。
実際、野党共闘の現場を見てきた国民民主党からして、選挙前から共産党との協力に警戒感を示していたのですから、一般有権者が警戒しても何ら不思議は無い。
あと、自民と公明も長く連立政権を組んでいて、彼らは折り合いを付けてどうにかやっているわけですが、例の給付金の件ではかなりグダグダです。
それでも、自民公明のグダグダならこのくらいで済みますが、立憲共産間の場合、そのグダグダが安全保障など国の根幹部分にまで及びかねないから始末が悪い。
しかも、野党共闘の言いだしっぺは共産党だから、共産党はノリノリ、立憲の候補にも自党の候補のように献身的に選挙活動してくれて、そのために当選できた候補も少なからずいる。しかも、選挙を重ねるごとに両党の結びつきは強くなってきている。
そして、今回、共産は立憲のキン○マを完全に握ってしまった訳で、にも関わらず共産が立憲に何も見返りを求めないなんてあり得ないというのが、普通の感覚。
立憲議員は、もう後戻りできないから、何とかそこに意義を見出すしか道は残されていないのです。
まぁこの代表選をキッカケに立共共闘が直ちに破綻することは無さそう。その場合、来年の参議院選挙はどうなるのか。次回、書いていきたいと思います。
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【野党共闘総括・3】野党共闘は本当に効果があったのか?
全くセミリタイアブログとして機能していませんが、野党共闘についての3回め。
これまでは野党共闘の歴史について述べてきましたが、今回はいよいよ、「野党共闘は本当に効果があったのか?」というテーマについて、私の考えを述べていきます。
↓ 前回
目次
野党共闘についての結論
いきなりですが、結論は2段階に分かれます。
- 今回の選挙「だけ」を見るならば、共闘したことにより議席が若干増えている可能性がある。ただ、それは「共闘していなかったら、更に大惨敗していた」ことの裏返しである。
- ここまで党の支持が低迷しているのは、野党共闘が大いに関係しているので見直した方がよい。
というもの。
以下、詳しく。
今回の選挙だけを見るならば、共闘したことにより議席が増えた
まず、自民・立憲・維新について、公示前勢力と当選者数を、小選挙区・比例ごとに表にまとめました。
小選挙区における成果
小選挙区については、立憲は48議席から57議席に増やしています。これをもって、「野党共闘は効果があった」という論調があり、私も一定程度、賛成しています。
ただ注意しなくてはいけないのは、自民は210議席から189議席と21議席も減らしているのに、立憲は9議席しか増やしていない点。なぜ、このような差分が生じるか?それは、大阪で自民は維新に全敗したからです。つまり、自民の議席を削ったのは、立憲より、むしろ維新の方が多いのです。
「大物」議員の落選
今回、自民の「大物」とされている、甘利氏、平井氏、石原氏が小選挙区で落選しました。これをもって、「野党共闘の成果」と言う方も、(野党支持者を中心に)多いです。
ただ正直なところ、これらの方々は、麻雀で言うと小三元クラスです。しかも、それぞれ、落選に値する選挙区特有の事情がありました(詳細は略)。
一方、立憲の方は、タンヤオやピンフで相当に負けている他、小沢氏、辻元氏、平野氏といった大三元クラスまでもが小選挙区で落選。また、落選には至らなかったものの、枝野代表が接戦まで追い込まれてしまっており、共産の票が載っていなかったら落選濃厚でした。
東京選挙区での「共闘成功」
東京では比較的、共闘が成功したと言われています。しかし、個別に東京で立憲が勝った選挙区を見てみると、実は維新も出馬しており、漁夫の利で勝利を掴んだケースが少なからず散見されます。例えば東京6区。
共闘による効果は限定的
以上を踏まえると、共闘による効果は見いだせるものの、かなり限定的なんだろうと思います。
選挙後、良く言われているのは、「立憲民主党は、足し算しか出来なかった。共産と組むことにより逃げる票を、甘く見ていた」というもの。
共産と組むことで得られる票・逃げる票とありますが、小選挙区では、得られる票が結果的に上回ったからこそ、9議席増加することが出来たのでしょう。
ただ、これは、相当に多くの選挙区で候補者を一本化したにも関わらず僅か9議席の増加にとどまった、という見方も出来るわけで、共闘していなかったら、さらにひどい惨敗となっていた可能性がありました。
やはり、これは、共闘の成功を喜ぶよりも、何でここまで共闘したのに小選挙区でたった9議席しか増えないんだ、という問題設定をすべきなのだと思います。
ここまで党の支持が低迷しているのは、野党共闘が大いに関係している
比例代表の結果など
党の支持の低迷が直接に分かるのは比例代表です。立憲の場合、公示前の62議席は難しかったとしても、せめて50議席ぐらいは欲しかったところ。しかし、実際には23議席も減らして39議席にまでなってしまいました。
また、先日も述べた通り、今回の立憲の当落を系譜別にみると、旧・国民民主党からの合流組はやや善戦したものの、立憲民主党のエッセンスをより強く持っている旧・立憲民主党からいた人(特にスキャンダル追及型の人)の多くが落選してしてしまっています。あまり語られませんが、このことも、立憲民主党の低迷ぶりを示唆する事実です。
共産党との距離、という重いテーマが、党の地力を削っていった
なぜ、こんなにも立憲民主党の支持が広がらないのか。それは多くの方がおっしゃっている通り、「何でも反対で建設的な提案に乏しい」「左に寄り過ぎ」と多くの国民に思われてしまったことにあるのでしょうが、ここでは、もう少し俯瞰して考えてみます。
前々回で述べた通り、野党共闘は2015年の安保法制の件をキッカケに共産党の言いだしっぺで始まって以降、党内に爆弾を抱えることになってしまいました。
あまりにもセンシティブ過ぎるテーマなので、大々的に「共産党がー」とは言いませんが、所属議員に常に重くのしかかっていた問題であり、それ以降の代表選、あるいは党の離合集散の背景には、必ず、「共産党との距離」という重いテーマが潜んでいたのです。
このことで、所属議員は本来の党の政策の他、このテーマに対応するために相当にエネルギーを使わざるを得ず、党の地力を削っていった、というのは否定できないと思います。
共産党と結びつくことで、発想・行動が共産化し、独自性を失った
一方で、共産党と協力を行うことで成果が出ている選挙もあったので、ずるずると共産との結びつきは強くなっていきます。特に今回は、とうとう一線を越えて「政権選択選挙における、共産党との政策協定」を行うまでになってしまいました。
共産党という党は、スキャンダル追及などもしますが、実は一方で、独自の政策を持っており、党として非常に強固です。一方、民進党・立憲民主党は、「容共か反共か」「国の安全保障」といった根本的な部分で党内に対立があるため、党としてのまとまりが稀薄です。
そんな2党が連携すると、民進党・立憲民主党の発想・行動がどんどん共産党に引っ張られていくのは当然のことなのです。
【長島昭久氏、民進離党会見詳報(1)】「『アベ政治を許さない!』と叫ぶことを求められた。熟議も提案もない」と痛烈批判(5/7ページ)
「党内ガバナンス」という魔法の言葉によって、一致結束して「アベ政治を許さない!」と叫ぶことを求められ、(略)行き詰まると、院外のデモ隊の中に飛び込んで、アジる、煽る、叫ぶ。
こうして、民進党・立憲民主党という党の独自性が失われた結果、「野党第一党」という無色透明な存在になってしまい、党としては、政権批判パフォーマンスと、共産票を獲得することが拠り所になってしまった。
なぜ民進党はここまでバカにされるのか 離党した長島昭久衆院議員が激白
私が掲げた国会戦術は、極めてシンプル。各議員が自分の得意分野で堂々と閣僚に論戦を挑むというもの。しかし、国対幹部からは、「そんな地味な質問をしても翌日のヘッドラインは取れないし、ワイドショーも取り上げない」と一蹴されてしまった。
もっとも、各議員を個別に見れば、政策中心にやっている人もいるのでしょうが、そういう人達を党内で引き上げたり、彼らの政策を「党の政策」として一つにまとめあげて発信したり、ということは、あまり力を入れてこなかった(全くやってなかったとは言わないが、力点がそこに無かった)。
結果、政治家としては、蓮舫氏や辻元氏みたいな方々ばかりが目立っていた。政策としては、本来の党の立ち位置である中道左派的なものより、アベノミクスの全否定みたいな、一体どこの共産党かというようなものが並ぶことになった。
まとめ
今回の選挙「だけ」を見れば、表面的には「野党共闘は効果があった」のですが、ここ5年間の野党共闘、および野党共闘を背景にした離合集散によって、民進党・立憲民主党は、党としての地力が相当に削がれていて、潜在的に、相当な議席数を失っているのだと思います。そう、今回、野党共闘により小選挙区で増加した9議席以上に。
だから、非常に困難だけれども、野党共闘は見直した方がいいですね。まぁ、共闘だけ見直しても、その他の発想・行動が変わらなければ意味が無いのですが、ただ、共産党がセットでくっついてくる限りは、発想・行動を変えることはそもそも無理でしょうから。
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⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます
【野党共闘総括・2】過去5年、共産党に振り回されっ放しだった立憲民主党
泉政調会長が代表選に(正式に)出馬するもよう。御健闘をお祈りいたします。
さて、野党共闘の話の続き。
今回の野党敗北には、野党共闘および共闘を巡る路線対立の歴史が大きく影響しているので、その歴史を振り返っている最中でした。
↓ 前回
目次
共産党との距離感を巡っての党内対立(続き)
野党共闘というのは、2015年の安保法制成立に起源を持ち、共産党の言いだしっぺで始まったもの。しかし、この共闘は民進党の代表選のたびに問題になり、小池都知事が希望の党を設立した際に、党の分裂にまで至ってしまった、というのが前回のストーリーです。
2020年、野党再編
今から思うと、2018~2020年前半頃の、立憲民主党と国民民主党の体制は比較的安定していたと思います。共産党との関係でいえば、立憲側は共産寄りが多数、国民側は非共産が多数、という形なので、表立った対立はそれほど無かったのではないでしょうか。
とはいえ、水面下では立憲と国民の合流交渉は行われており、2020年にそれが実現します。
しかし、この合流にあたって、やっぱり主要テーマとなってしまうのが、共産党との関係なんですよね。
「お前ら、いつまでそれやってんじゃー!」という感じですよね。
まぁ、彼らは「共産党がー!」と大々的には言わないですよ。「合流にあたって、政策の一致点を見いだせるかどうか」みたいなマイルドな表現にしています。
でも、合流交渉の段階で、共産党の志位委員長は次のようなご発言をされています。
立民と国民の合流問題/共産党と協力してこそ政権の道も開ける/志位氏
「立憲民主党の枝野幸男代表の発言で、『これ(合流)で、政権交代を目指す』と言っています。そうすると新しい“かたまり”と日本共産党がどういう関係になるのかが問われてきます。私たちと協力をしてこそ政権交代の道も開けるし、野党政権の道も開けるという立場で話し合っていきたい」
つまり、この合流交渉において、根っこでは、共産党との距離、というテーマが相当深く関係しているのは間違いないのです。
そして、国民民主党側では結論が出ずに、事実上分党。議員や組織の大半が立憲に合流。国民民主に残ったのは少数。
一方、受け入れる方の立憲民主党側は、もとは共闘賛成で大方まとまっていたように見えるのですが、新たに「内心、共闘に乗り気でない、旧・国民民主党の議員」を何十人か受け入れることになるので、そこで内輪揉めのネタを抱え込むことになるのです。
でも、旧国民の人々は、「枝野さんの党に間借りさせてもらっている」ような感じですし、代表選でも旧国民の候補を破って、枝野氏が選ばれているので、あまり表だって異を唱えるようなことはしませんでした。
2021 衆議院選挙
じゃぁ、枝野氏がそこまで「野党共闘バンザイ!」みたいな考えを持っていたかというと、それもアヤシイのですよね。
枝野氏としては、「共産と立憲がつぶし合うのは得策ではないから、可能な限りで協力する」程度のものであり、支持団体との関係もあるので、あまり共産党にズカズカと踏み込んで欲しくない、というのが本音だったのではないかと。
今回の衆議院選挙前、共産党との調整が停滞気味だったのは、この枝野氏の姿勢にあったんじゃないかと思っています。
むしろ野党共闘に積極的だったのが、生活の党⇒自由党⇒国民民主党⇒立憲民主党と移ってきた小沢一郎氏。
「壊し屋」小沢氏に、野党一本化の交渉役依頼…立民には警戒する議員も
ただ、立民の枝野代表は野党共闘を強く主張する小沢氏を遠ざけており・・(略)
小沢氏が多くの政党の離合集散に関わり、「壊し屋」の異名を持つだけに、立民内には小沢氏を警戒する議員も少なくない。
平野氏が今回、小沢氏を頼ったのは、野党間の候補者調整が足踏みしているためだ。・・(略)
小沢氏は旧国民とはいえ、党勢が拡大するなら何でもアリ、という人。最終的に200以上の選挙区で、共産との協力体制が達成されたのは、やはり小沢氏の力なんでしょうか。
今から考えれば、国民民主党はあのとき、小沢氏や森裕子氏を含む旧自由党勢力を一掃することが出来たのは幸いだったんじゃないかという気がします。
それはともかく、立憲は、共産党との大々的な選挙区調整および政策協定を結んで、衆議院選挙に臨みました。過去、ここまで大々的な選挙協力は無かったと思いますし、政策協定というのも、政権選択の衆議院選挙では初。
このように鳴り物入りで開始された衆議院選挙なのですが、枝野代表は何とか共産色を薄めようと必死です。
枝野氏の演説終了後、志位氏ら参加者との記念撮影が予定されていたが、枝野氏は応じることなく会場を去った。先に演説した志位氏は約30分間、待機していた。
一方で、共産側はノリノリ。
野党共闘で新しい政権を/日本記者クラブ党首討論/志位委員長が発言
「今度の選挙は、自公政権を続けるのか、野党共闘で新しい政権をつくるのか、政権選択の選挙です。今こそ政権交代を実現し、国民の声が生きる新しい政権をつくりましょう」
連合は反発。
更には、自民党の麻生氏から「立憲共産党w」と揶揄。図星を突かれて立憲猛反発。
新潟入りの麻生氏「立憲共産党と戦っている」「日米安保を堅持と言うのか」
「今、戦っている相手は立憲なんとか党。最近、よく政党の名前が変わるのでいちいち覚えていられないんだけど」と麻生節。「立憲党は共産党と組んでるんだろ。だから立憲共産党とわれわれは戦っている」と指摘。「立憲共産党」の批判に立民が反論
「われわれは『立憲民主党』で『立憲共産党』ではない。党の名前くらい覚えてもらうとありがたい」
このように、共産党を巡って立憲民主党は迷走し、候補者一本化により比例と併せて140議席ぐらいとれると皮算用していたのに、結果は100議席を下回ってしまう敗北。
今回、ここまで共産党が前面に出てきて、そして敗北してしまった以上、これまで抑えてきた野党共闘についての議論を再開せざるを得なくなってしまった、でも、共産党はいまだノリノリであり、そう簡単に決別することも出来ない。大変なジレンマに直面してしまったのでした。
野党共闘の歴史的位置づけ
このように過去5~6年を振り返ってみますと、旧・民主党系の政党は、共産党に振り回されっ放しだったことが明確に分かるのです。
野党共闘の発端となったのは安保法制ですが、実は、この日米関係・安全保障の議論が発端になって、旧社会党は3度も分裂しています。
- 1951年(昭和26年) 社会党は左右2つに分裂。1955年に再統一。
- 1960年(昭和35年) 社会党からの脱党者が民主社会党(後の民社党)を結成。
- 1994年(平成6年) 自社さ連立政権で社会党の村山氏が総理となり、安保や自衛隊等を肯定したことで、社会党は求心力を失う。これをキッカケに、所属議員は、社会民主党、民主党、新社会党に分裂。
こう考えると、今回の野党共闘も、このような安全保障をめぐる野党内の対立、そして離合集散の歴史の一環として捉えることが出来るのです。
それでも21世紀初頭は、左派勢力の多数は、一部の保守系とともに、旧・民主党を形成していたため、そのような対立が表面化することはありませんでした。でも、それは「政権交代」という要(かなめ)により抑制されていたもの。
その要(かなめ)が緩んだのが、政権交代直後の鳩山政権のとき。「最低でも県外」という基地移転の件で迷走し、支持率が下がったことが、最終的に2012年(平成24年)の下野につながります。
そして下野により要(かなめ)は完全に外れ、この状態で、2015年(平成27年)、安倍内閣で安保法制が提出されたことをキッカケに旧・社会党へと先祖がえり。そこを共産党に付け込まれる形となった(意図していたかは別にして)。
この結果、今回掲げられた「政権交代」とは、前回と異なって、かなり共産化されてしまったものなのです。
また長くなってしまった。次回こそ、「野党共闘の是非」について触れていきたいと思います。
★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
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【野党共闘総括・1】共産を巡る長年の路線対立が、今回の敗北に大きく影響している
立憲の枝野代表が辞任されました。野党第一党をここまで引っ張ってこられた功績は大きいと思います。お疲れ様でした。
さて、今回から野党共闘の話です。
ただ、私個人が「立憲と共産が手を組むことに対して賛成だ・反対だ」ということを述べたいわけでなく、あくまで「共産と組むことは、立憲にとって戦略的に得なのか損なのか?」という、立憲民主党にとっての損得論を考察するものである、ということは、あらかじめお断りしておきます。
目次
《山梨県富士吉田市:富士急行線の中から見える富士山。これも銭湯みたい。。。》
旧・民主党系と共産の協力は、かなり前から行われている
当ブログでは、いきなり野党共闘の是非を言うのではなく、まずは、その歴史を振り返ることから始めたいと思います。
というのも、今回の敗北には、野党共闘および共闘を巡る路線対立の歴史が大きく影響しているからだと私は考えているからです。今回の結果や、票計算・世論調査の数字よりも、まず過去を振り返ることが必要なのです。
ということで、まず、野党共闘っていつ頃から始まったものなのでしょう?
これまで、野党共闘がここまでクローズアップされたことは無かったので、つい最近始まったばかりのように思われる方もおられるかもしれません。しかし実際はそうではなく、小・中規模の協力はかなり前から行われていました。
私の印象だと、ここ何年間か、旧・民主党系の政党と共産党が何かしら選挙協力をするたびに、「今回は野党候補を一本化し、一対一の構図となりました」とか、「今回の選挙において、一本化の効果はあったと認識している、と野党幹部は語った」みたいな新聞記事が出ていました。
ただ、その協力した選挙というのが、地方選挙だったり、補選だったり、参議院の一人区だったりと、そこまで大規模なものではなかったので、そこまで大きな扱いではありませんでした。
野党共闘の発端
改めて、wikipediaで関連項目を見てみましょう。この「野党共闘」が行われるようになった発端は、旧・民主党時代にあることが分かります。意外と前からやっているものですね。
2015年夏、国会は平和安全法制審議一色に染まり、(略)法制の成立後、共産党委員長の志位和夫は反対派の各党(民主党・維新の党・社会民主党・生活の党と山本太郎となかまたち)に対し、同法制廃止の一点のみに絞って5党が協力して政権を樹立させる国民連合政府構想を提案した。しかしこの提案は、野党間での政策の違いなどを理由に民主党内部で反対され、実現しそうになかった。
(翌)2月19 日、民主・共産・維新・社民・生活の5野党党首会談の席で、志位は国民連合政府構想を事実上棚上げし、一人区の候補者調整で「思い切った対応」をしたいと述べた
注目すべきなのは、次の2点。後で出てくるので覚えておいて下さい。
そして結局、この共闘体制は実現し、民主党⇒民進党⇒立憲民主党(一部、国民民主党とも)と引き継がれ、次の選挙で協力が行われました。
- 2016年 4月補選、参院選、東京都知事選、新潟県知事選、10月補選
- 2017年 東京都議選、仙台市長選、横浜市長選、茨城県知事選、第48回衆院選
- 2018年 新潟県知事選、参院選
- 2019年 補選、第19回統一地方選挙
- 2020年 東京都知事選挙、都議選、第49回衆院選
結構ありますね。このなかには、先の東京都議選のように、「共闘の効果があった」と明確に言えるようなものも含まれています。
ただ、衆議院の政権選択選挙で、相当に大がかりな選挙協力を共産党と行い、政権をとった後の協定まで結んだのは今回が初めてで、これまでの野党共闘の集大成とも言える選挙でした。
しかし、立憲民主党は、この集大成の選挙で惨敗してしまったので、今後の進むべき道を見失ってしまっている、というのが現状なわけです。
共産党との距離感を巡っての党内対立
この間、共産党との共闘に賛成していた人々だけでなく、「距離を置くべきだ」という意見を持つ人も党内に沢山いました。そのため、共闘賛成派と反対派で常に党内対立があり、このことが、党を疲弊させただけでなく、離合集散にまで繋がっていった、という側面は否定できないのではないでしょうか。
共闘開始時
共闘開始の当時から、旧・民主党内で路線対立があったことは、既に述べた通りです。
2016年民進党代表選
代表の岡田や幹事長の枝野幸男、他の野党幹部は後継の執行部でも野党共闘を継続することを希望したが、一方で保守系の民進党議員(平田健二、細野豪志、馬淵澄夫、長島昭久など)は代表選を通じての路線修正を訴えた。
このとき代表選に立候補したのは、3名(蓮舫、前原、玉木)なのですが、皆、共闘に明確に賛成とも反対とも言わずに、玉虫色の考え方を示しておられました。
非常にセンシティブなテーマであり、どちらか一方に肩を持つような発言をしてしまうと、党をまとめることができない、という事情があったのでしょう。
このとき代表になったのは蓮舫氏でした。
2017年9月民進党代表選
蓮舫体制は長く続かず、再び、代表選挙。
前原誠司は「理念、政策が合わないところと協力するのはおかしい。(共闘の)是非について見直したい」と言及し、(略)枠組みありきの共闘は否定したほか(略)
枝野幸男は「主体性を持ちながらできることを最大限やる」として共闘継続を基本としつつ、(略)次期衆院選について政権選択の選挙ゆえに共闘は「困難が大きい」としつつ(略)
と、方向性に違いがあります。前原氏の勝利。ただ枝野氏も善戦。代表選後、民進党を見限って、とうとう、一部保守系議員が離党。
小池・希望の党と衆議院選挙(2017年)
前原氏が代表になってまもなく、一大転機が。
近く行われる衆議院選挙を睨んで、小池都知事が希望の党を旗揚げ、前原代表と会談、出来たばかりの希望の党と民進党を合流させる、という、ある意味、とんでもない構想が、突然に持ちあがったのです。
このとき、小池氏の「排除」発言は有名ですが、排除したかったのは一体何だったのでしょうか。
【衆院解散】民進党左派に「踏み絵」 ハードル高い希望の党の選考基準、合流拒否も… しかし細野・若狭氏も「すねに傷」(1/2ページ) - 産経ニュース
希望の党に衆院選での公認を申請する民進党の立候補予定者に対し、安全保障関連法や憲法改正への賛同を条件として突きつけ始めたのだ。
(略)公認の可否は安保法制存続と憲法改正に賛成するかを基準に決める。
思い出して下さい。安保法制云々というのは、2015年の共闘の発端となったテーマです。つまり、小池氏が出したこの基準って、口には出さないまでも、実は、共産党と組むことを是とするのか非とするのか、暗に問うているのです。
一方、前原代表のほうも、希望の党経由で保守系の勢力を大量に入れることで、共産党色を極力薄めたい、という狙いがあったことでしょう。
しかし、このような強引なやり方に反発した人々(主に小池氏から排除された人々)も多く、彼らが枝野氏に結集し、立憲民主党が結党されました。
ここで民進党の分裂は決定的に。
このような経緯から、共産党との共闘の枠組みは、立憲民主党が受け継ぐようになったのは当然のことです。そして衆議院選挙では、希望の党は思ったほど議席が取れず、立憲民主党が野党第一党となり、以降の野党間のイニシアチブを取ることになっていきました。
つまり、野党共闘についての路線対立が、単に路線対立にとどまらず、とうとう党分裂にまで発展していくことになっていったのです。
長くなりましたので、続きは次回。
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立憲民主党執行部の苦悩。「科学的な敗因分析」の言葉のウラにあるもの。
いつまでも「総選挙の総括」でもないので、標題からこのフレーズは下します。ただ、相も変わらず、立憲民主党絡みのネタです。
立民 選挙前の議席 確保できなかったことを科学的に分析へ | 2021衆院選 | NHKニュース
10日の特別国会の召集を前に立憲民主党は9日午後、両院議員総会を開きました。
(略)
そして、選挙前の議席を確保できなかったことについて、福山幹事長が共産党との連携がどのように影響したのかなどを科学的に分析し、新しい執行部に引き継いでいく方針を説明しました。 (太字はセイルによる)
ここで「科学的」という言葉を持ち出してきました。この言葉は、枝野代表も御納得の上、出されたものでしょう。
ネット上では揶揄する向きもありますが、私は、このワードチョイスに立憲執行部の苦悩が見てとれると思うのです。
目次
どんな選挙でも「科学的な」分析をするのが普通(大政党なら)
福山幹事長が何をもって「科学的」とするのかは不明ですが、ただ、勝っても負けても、選挙後には、
- 候補者本人や選挙活動をした人の実感
だけでなく、
- 自党の政策や政治姿勢
- 対立政党/候補の動向
- 世論の動向(マスコミやネット)
- 各選挙区の個別事情
- 選挙期間前・中に発生した、日本や世界における出来事
そして何より
- 具体的な数字
などをもとに、「客観的な分析」をするのは普通だと思います(とりわけ大政党なら)。
これをもって「科学的」と称するなら、それには違和感を感じませんし、逆に、これ以外に「科学的な分析」などしようもない。
そういう意味では、いつもやっているような選挙後の分析を今回もやる、というのが実態なのだと思います。
敢えて「科学的」と掲げる理由
にも関わらず、敢えて「科学的」と掲げる。ポイントはここですよね。この言葉には、立憲民主党の執行部、とりわけ枝野代表と福山幹事長の苦悩が見て取れます。
何故「科学的」と掲げるのか。あくまで私の推測レベルですが、以下、書いていきます。
バイアスを減らすため
選挙結果の分析って第三者がやるのではなく、大抵、身内でやりますからね。どうしても自分達に都合の良いようなバイアスがかかる。
まぁ、今まではそれでも良かったのだけれど、今回は「野党共闘は良かったのか悪かったのか?」という点について徹底的な総括が求められている。しかし、この件は、所属各議員ごとにバイアスが強烈にかかる。しかも正反対の方向に。
要は、私達はなるべくバイアスを減らして冷静に議論します、だから皆さんも冷静になって下さい、ということを言いたいのだと思います。
分裂への燃料投下の勢いを弱めるため
正直なところ、今回の選挙の分析は、よほど上手く玉虫色にまとめない限り、党内から相当な反発が出ることは想像に難くありません。つまり、この分析自体が燃料投下となり、場合により、分裂しかねない結果となります。
そこで「科学的」という言葉。「科学的」という言葉には、人を黙らせる効果があるのです。つまり、この燃料の勢いを少しでも弱めるためのワードチョイスだと思うのですが、今回の場合、どこまで効果があるか。
共産党からの反発を和らげるため
あと、今回の選挙分析の結果次第では、共産党から反発を受けることも予想されます。だから「これは科学的・客観的に分析した結果なのです」と反発を和らげよう、という意図も含まれているのではないか、と。
大枠の真実は「科学的な分析」などせずとも明らかだったりする
ということなんですが、一方で、あの豊田真由子氏は次のように分析されています。
豊田真由子氏 野党共闘 “議席減” に「立憲の人気がなくなったんじゃなく、元々ない」(東スポWeb) - Yahoo!ニュース
今回野党が共闘したことによって小選挙区で自民党が議席を減らして、立憲がその分増やしたというのは間違いない。
(略)
一方で立憲が比例で議席を減らしたことについて「皆さん誤解してるのが、立憲の人気がなくなったんじゃなくて、元々ないんですよ。
(略)
希望の党の票はじゃあどこに行ったかというと、それが立憲の人たちにくっついたんだけども、票はついて来なくて、多分維新に行ったんです。
豊田氏の分析には、自らのフィーリングも交じっていると思いますが、細かい部分はともかく、大枠の真実はこんなところでしょう。「科学的な分析」などしなくても分かる話ではあるんです。でも、当事者としては「科学的な分析」という手続きを経ないと収めることができない。選挙に負けたから仕方ないんだけど、ちょっと執行部の方には気の毒にも思ったり。
次回は、いよいよ、本丸である「旧・民主党にとって、野党共闘は正しかったのか?」について。
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【総選挙総括・6】立憲民主党の当選議員の分析が興味深い。
もはや当ブログを見ている人は少ないかもしれませんが、総選挙について色々と思ったことが多いので、総選挙の総括はまだまだ続きます。
今回の総選挙を受けて、今後が注目されるのは、やはり敗北を喫した立憲民主党というのは間違い無いところですので、ネタも立憲関連が多くなってしまいます。
↓ 前回記事
目次
《東京都青梅市:御岳橋の下。紅葉が良い感じになってきた》
現在の立憲民主党の系譜
立憲民主党という名前の政党が出来たのは、2017年です。
このとき、旧・民進党が割れて、小池百合子東京都知事が創設した「希望の党」に入党したグループから排除された議員達の受け皿として、枝野代表が創設したのが「旧・立憲民主党」。
また、その後希望の党と、僅かに残っていた民進党の議員が合流し「旧・国民民主党」になり、その後、小沢自由党なども合流した。
更に昨年、「旧・国民民主党」が割れて、かなりの部分が「現・立憲民主党」に合流し、残った人達が「現・国民民主党」となりました。
また、上記とは別に、無所属として活動していていて「新・立憲民主党」に合流した、という議員もいます。
何か色々とややこしいですが、次のツイートが分かりやすく図にまとめていらっしゃいますので、参考にして下さい。
民主党から現在の立憲民主党に至る経路図を作成しました。頭がクラクラするくらい複雑怪奇な離合集散プロセスであるため、途中で何度もこの図の完成を諦めようと思いましたが、おぞましい紆余曲折の実態を把握したいという知的好奇心を推進力に何とか粘って完成させました(笑) pic.twitter.com/0IsdlpGvyx
— 藤原かずえ (@kazue_fgeewara) 2020年9月20日
系譜別 立憲の当選議員数
このように現在の立憲民主党が成立するまでの経緯は複雑ですが、ここでは、今回当選した立憲の当選者の系譜を大きく4つに分けることにします。
- 旧・立憲民主党所属議員(旧立憲民主党に所属していた議員)
- 旧・国民民主党所属議員(旧国民民主党に所属していた議員)
- 無所属(民進党分裂以降、無所属を経て現・立憲民主党に合流した議員。一時、希望の党に参加していた者も含む)
- その他(新人や、旧社民党議員等)
セミリタイアして暇な私は、それぞれの系譜の議員が今回、何人当選したか、カウントしてみたのです。
元ネタは次のwikipediaのページです。
参考として、現・立憲民主党の結党時の系譜別人数も挙げており、それは、次のサイトを参考にしました。
その結果ですが、かなり興味深いものになっています。
目視でカウントしたので、若干誤差があるかもしれませんが、大体の傾向は分かりますね。
ちなみに、wikipediaには、落選した前職が一覧で挙げられていますが、立憲の落選前職32名のうち、旧立憲が23名、旧国民が8名、無所属が1名となっています。
このように、旧立憲と旧国民とで当落の傾向が明らかに異なり、その結果、公示前には大幅に旧立憲の議席数が勝っていたのに、選挙後は旧立憲と旧国民の議員数が逆転してしまいました。
つまり、一口に「立憲は惨敗」と言っても、大幅に減らしたのは「立憲の中の立憲」であって、外様である旧国民は勢力を若干拡大してしまった、というのが実情。
ついでに言えば、一部の論客が「小選挙区では48から57に増やしたから、方向性は間違っていなかった!」とおっしゃっているのですが、彼らが贔屓にしているであろう旧立憲系の議員の多くは落選し、小選挙区を少し伸ばしたのは、やや距離のある旧国民系の善戦によるものということになります。
また、今では別の政党になってしまっていますが、現・国民民主党は8名から11名と、やはり善戦しています。
こう考えると、「いかにも左派」という勢力の退潮というのは数字以上のモノがあり、国民の多くは野党第一党に対して、もう少し建設的であることを望んでいるのだと思います。
変質してしまった旧・国民
じゃあ、今後の立憲民主党は、旧・国民の人達が主導権を握って方針転換を行っていくのか、というと、そう簡単な話でもありません。
旧立憲・旧国民でここまで差があると、彼ら自身、そのことを体感していないはずがないのです。「今回、落ちたのはほとんど旧立憲の人であって、旧国民の人は結構、国会に戻って来ているよな」と。
でも、そういう話が大手マスコミで取り上げられた、という話は聞きません。
恐らく、立憲の方々は、うすうす分かっていても、それは党内では言い出さない、言い出せない。タブーになっているのかもしれません。そこに目を向けるということは、分裂を意味することですから。
つまり、本質的なのに触れてはならない領域がある、ということが状況を難しくしている要因の一つ。
もう一つの要因は、旧国民と言えど、昔の旧国民からは変質してしまった、ということがあります。
旧・国民というと、泉政調会長あたりの政策提案型の人が思い浮かびます。しかし全員が全員そうではなく、政局型の人もそれなりにいます。あるいは、「それまでは穏健だったが立憲に合流してから旧・立憲と区別がつかなくないような行動をとるようになってしまった人」「共産党の毒まんじゅうを喰らって、完全にあたってしまった人」などもいるでしょう。
つまり、旧・国民は、立憲に合流したことで、かなり変質してしまったのかな、と。仮に、建設的な旧国民の人が代表になって「提案型を目指します!」とやっても、元の同志である旧国民の議員にさえ疎まれて失脚していく未来しか見えないのです。
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【総選挙総括・5】江田氏のNISA課税発言。投資=悪という発想。
セミリタイアと全く関係無い話ばかりで恐縮ですが、総選挙の総括5回め。多少はリタイア者向けのネタになるかも?
↓ 前回記事
目次
《山梨県富士吉田市:富士山の圧迫感が半端ない富士吉田の商店街・・・銭湯みたい》
NISA課税発言
FIREでもセミリタイアでもいいんですが、かなり多くの人がNISAを利用していると思うんですが、投票前に、江田氏が次のようなご発言をされて、炎上した、ということがありました。
投資家必見!
— ひがくぼきみお (@higakubo) 2021年10月28日
立憲民主党・江田憲司代表代行が、#NISA #積立NISA に #金融所得課税 を最低30%とると発言した😐
江田さん「我々はせめて30%、国際水準並みに」
反町さん「NISAとか積み立てて株式運用してるものに対しても同じように?」
江田さん「同じように」
三浦瑠璃さん「そっ、それは💦」 pic.twitter.com/fmaDYjVRoX
NISAに課税してしまったら、それNISAじゃなくなっちゃうよね(笑)。
この発言が炎上し、釈明・謝罪をすることになってしまった、ということです。
この発言で立憲の議席は減ったのか?
それはともかく、今回、立憲が(予想以上に)惨敗したのは、このNISA発言によるところが大きい、という観測が、一部のネット民でなされています。
しかし、私はそうは思いません。NISA発言で議席が減ったのだとしても、その影響は極めて限定的。というのも、NISAをやっている人、興味・理解ある人が、そもそも立憲に入れようとしていた筈が無いからです。いたとしても極少数。
投資をやっている人は、例えそれが少額のものであっても、政治の動向に敏感な人が多いです。それは、右翼・左翼ということではなく、政治が経済や株価に与える影響は小さくないからです。
そしてハッキリ言ってしまうと、立憲が大幅に議席を伸ばすと、ただ議席を伸ばした、というそのことだけで株価が下落していくリスクが大きいのです。
しかも立憲はアベノミクスを全否定しています。立憲が議席を伸ばしたら、アベノミクスを見直ししろ~総括しろ~、と延々とやり続けることでしょう。単に主張しているだけならともかく、議席を伸ばした上でこのような主張をされると、そのことが経済に与える悪影響はかなり大きいと思います。
だから、NISAをやっている人達は、こういうストーリーを察知し、多くは自民か維新に入れる。もし、NISAをやっていて、この発言により初めて立憲のヤバさを認識したという方々がおられたとするなら、「もう少し政治に目を配った方がいいよ」と言いたいです。
ちなみに自民も、金融課税を言い出していましたから(ひっこめましたが)、その点では微妙なのですが、さすがにNISAにまで課税することはあり得ないでしょう。
ところで、立憲が大幅に減った原因がNISA発言でなければ何なのか? それは、自民不利の観測が流れたことによるアナウンス効果による影響、ということ。以前、書いた通りです。
ただ今回、選挙期間中に、「単独過半数は微妙」「自民はかなり議席を減らす」という予測がマスコミで頻繁に流れたんですよね。それに危機感を覚えた人達が、こぞって自民に投票をした結果、というのが、私の推測です。
NISAは庶民のためのものなのに「投資=悪」の発想から抜け出せない
実は私が子供の頃。昭和50年代くらいかな。若い方はご存じないと思いますが、テレビで、証券会社のCMが結構流れていたんですよね。
現在の投資とは若干性質の違うモノですが、庶民が将来のことを考えて、一生懸命働いて稼いだ金を上手くヤリクリし、浮いたお金を運用していこうと頑張っていた。この点では、今回問題になったNISAと全く同じなのです。
庶民の多くが資産運用から目を背けるようになったのは、何と言ってもバブル崩壊が大きいと思いますが、それからアベノミクスとかNISAまで20年ほど。ネットによる投資環境の整備などもあって、やっと庶民が資産運用に手軽に手を出せる環境が整った。
そうやって庶民も余裕資金を活用して投資をし、それにより経済が活性化すれば、給料も増える、という好循環が生まれる。その効果はまだまだ限定的だが、少なくともそのような狙いがある。
つまり、NISAって庶民のためのものなのです。庶民のための資産運用がバブル崩壊で中断した後、やっと、再び手にすることが出来た資産運用の手段(の一つ)。
しかし、彼らは投資というものを「貧しい人から搾取している富裕層が、更に肥え太るための手段」と見ている。そういう要素がゼロとは言いませんが、少なくともNISAに関しては当てはまらない。全くずれている。
やはり、共産党と長く付き合っていると、こういう感覚になっていくのだろうか。資本家と労働者の対立みたいな、階級闘争的二元論に陥ってしまっている。
アベノミクスにイエスかノーか。投資は善か悪か。自民党は善か悪か。
それはともかく、金持ちから金を取り上げて庶民に配っても、それ以上に自分の給料が減っていったり、失業したりすれば、トータルではマイナスなんですよね。そのことが分かっているから、現役世代で立憲や共産に投票する人って、あまり多くないんだと思います。
総選挙総括の続き
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【総選挙総括・4】国会の勢力図が3色に塗り分けられ分かりやすくなった
あまりお読みになっている方はおられないでしょうが、総選挙の総括5回め。
↓ 前回記事
目次
《山梨県富士吉田市・富士山駅:これ京王線の車輛だよね?懐かし過ぎる・・》
国民民主党が、立・共の枠組みから離脱
総選挙の結果が出てから、色々と動きが出ていますが、その中で、扱いは小さいですがかなり注目するニュースがこちら。
国民民主党は4日の役員会で、今後の国会対応に関し、立憲民主、共産、社民の3党と同じ枠組みには加わらないことを決めた。同時に、立民、共産が中心となってきた野党合同ヒアリングに今後も出席しないことを改めて確認した。役員会後、玉木雄一郎代表がツイッターで明らかにした。
玉木代表の該当のツイッターはこちら。
先程、国民民主党の役員会を開催し今後とも「改革中道」「対決より解決」の立場を貫くこと、選挙で約束した政策の実現に全力を尽くすことを確認。また、これまで立憲、共産、社民とともに行ってきた野党国会対策の枠組には参加しないこと、いわゆる野党合同ヒアリングにも参加しないことも併せて確認。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) 2021年11月4日
これまでの国民民主は、立ち位置的にどうも中途半端なところがありました。是々非々で行きたいという思いは伝わってくるのだが、立憲との関係も、やはり情があるのか、明確なスタンスを打ち出せないで、ダラダラ来ていた感じ。
ただ、今回の衆議院選挙で善戦して自信がついたのでしょうか、かなり割り切ったスタンスを打ち出してきた。
あと、総選挙前の補選において、静岡県の参議院補選で当選した山崎氏も、立憲側でなく国民側につくというニュースも入ってきました。
「静岡ショック」の主役…参院補選で初当選の山崎真之輔議員 無所属のまま国民民主党会派に入会へ
10月行われた参議院静岡選挙区の補欠選挙で当選した山崎真之輔議員が、無所属のまま国民民主党の会派に入会する方針であることがわかりました。
山崎議員は10月の参院静岡補選の際、無所属で立憲民主党と国民民主党の推薦を受けて当選。政党などに所属するかどうか「衆院選の結果も踏まえて見極めたい」としていました。
山崎氏も、現在の世論は国民民主側にある、と睨んでの判断でしょう。
«補足»ただ、この人、週刊誌『FRIDAY』に何か記事が載るそうで、ちょっと不穏な動きもあります。果たして?
国会の勢力図が3つに塗り分けられた
国民民主党がスタンスを明確に打ち出したことで、多党が乱立している国会が3つに塗り分けられ、非常に分かりやすくなりました。
- 中道系与党(自民・公明 当選数計293)
- 左派野党(立憲・社民・共産・れいわ 当選数110)
- 中道系野党(維新・国民 当選数52)
個々の議員や政策を見れば、右寄りだったり左寄りだったりしますが、平均すると与党も、維新・国民も中道でしょう。一方、左派野党は、今回の総選挙で掲げた政策を見る限り、明確に左。
だから、有権者は、まず、中道系与党・左派野党・中道系野党のどれにするか考え、それが決まったら、どの政党に入れるか検討する、という風に段階を踏めば、とても考えやすい。フォルダのようなものです。
そして共同通信が選挙後に行った緊急調査。
野党共闘見直しを 61.5%
与党絶対安定多数維持の選挙結果 どちらともいえない47.9%、よかった35.3%
政党支持率
自民:45.7%(-5.1)
公明:6.2%(+1.5)維新:14.4%(+9.4)
立憲:11.2%(-0.4)
共産:4.0%(+1.5)
国民:3.3%(+1.9)
れいわ:1.8%(+0.5)
社民:1.2%(+0.4)
NHK:0.9%(+0.5)
これをもとに足し算すると、与党が圧倒的なのはおいておくとして、左派野党は支持率合計18.2%、中道野党支持率合計17.7%と拮抗状態になっています。特に、維新は、立憲を上回り、政党支持率の2位になっている。
しばらくは、政権交代よりも、中道野党と左派野党の争いの方がキーになりますよ。そして、その勢力争いに勝った方が政権交代に挑戦できる。一種のトーナメントです。
まぁ、来年の参議院選挙は、選挙制度上、議席数が大幅にアップダウンすることはないので、ポイントとなるのは次回の衆議院選挙ですかね。岸田総裁の任期である3年後が一つの目安です。
今回の総選挙の流れを見る限り、現在のベクトルは中道野党が↑、左派野党が↓なのは明らかですが、3年後どうなっているか。
未確定要素「立憲がどうなるのか」
ただ、以上の考察で、一つ考慮に入っていない部分があります。これまでの投稿も述べてきましたが、立憲が今後どうなるのか、です。
与党は相変わらずだし、中道野党(維新・国民)も、進むべき道は明確。左派野党のうち、れいわはマイペースだし、社民共産も長期低落傾向にはあるものの、現状維持で進むしかない。志位委員長だって、2議席減らした代わりに、野党第一党のキン○マを握ることが出来たのだから、十分な成果ですよ。志位委員長に責任などあるはずが無い。
しかし、立憲は本当にどうなるのだろうか? こればかりはマジで読めない。
ただ以下のことは言えると思います。
党を割ってもらって、右側は国民民主に、左側は社会民主に行ってもらうのが、国民からすると分かりやすいんだけど、相手がいることだからねぇ。
これまでの離合集散の歴史への反省があるので、維新や国民民主は安易な合流話には乗らないと思うんですよねぇ。しかし、分裂しただけで合流が無い場合、塊りが小さくなっていくだけなんですよねぇ。展開次第では、維新以上に細かく分かれていく可能性は捨てきれないんですよねぇ。
まぁ、分裂しないか、脱党者が一部に留まれば、野党第一党の座は守れます。でもそのためには、共闘派への配慮で、野党共闘をある程度継続させないといけません(共闘したからこそ自分は当選したと認識しておられる方も多いでしょうから)。
すると、現在のスタンスもある程度維持され、その結果、旧社会党に先祖返りします。その時々でアップダウンはあるものの、政権を取ることは出来ないでしょう。ただ、今後も100議席前後はとっていけますから、党の生き残りだけであれば、一番それが楽な道です。
↓総選挙総括の続き
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【総選挙総括・3】菅総理にやられっ放しだった立憲民主党
総選挙の総括3回め。立憲民主党についての続きです。
↓ 前回記事
目次
《東京都奥多摩町》
菅総理にやられっ放しだった立憲民主党
今になって思えば、立憲民主党って、菅前総理にやられっ放しだったと思うですよね。立憲側からすれば、菅総理を手玉に取ったつもりでいて、実は手玉に取られていたというオチ。
そもそも、昨年、旧立憲と旧国民(の大多数)が合流したのは、近いうちに解散総選挙が来る、と睨んでのことで、当時、新しく総理に就任した菅氏に、解散総選挙を煽っていたように思うのですが、菅氏は歯牙にもかけず、解散はしなかった。結果的に、合流によって国民の期待を高める効果は不発に終わった。
次にコロナ対策。これも立憲民主党は色々と挑発したのですが、基本的に菅総理は乗らなかった。まぁ、次のようなことはありましたが。
首相 「少し失礼 精いっぱい取り組んでいる」蓮舫氏批判に反論 | 新型コロナウイルス | NHKニュース
立憲民主党の蓮舫代表代行が、新型コロナウイルス対策をめぐる菅総理大臣の答弁について「ことばや危機感が国民に伝わらない」と批判したのに対し、菅総理大臣は「少し失礼ではないか。精いっぱい取り組んでいる」と反論しました。
そして、菅内閣の支持率が下落して、立憲が「してやったり」というところで、選挙前の絶妙のタイミングで辞職表明。お別れ祝儀⇒総裁選⇒就任祝儀で内閣支持率がそこそこ回復してしまった。そこに来て、菅総理が進めてきたワクチン政策が功を奏したのか、これまた絶妙のタイミングで新規感染者激減。
その流れで選挙に突入した結果、これまで進めてきた野党共闘策が不発、選挙では一人負けして、枝野代表辞任。
これはもう、壮大な落とし穴としか思えないのですが、菅総理は狙っていた訳ではなく、ただただ普通に行動していただけなんでしょう。
だとすると、今回の自民党圧勝は、立憲側の一人相撲による自爆、つまり敵失によるところも大きい、ということになります。つまり、自民党も盤石ではないので、今回の大阪における維新旋風みたいなことが全国的に起こったら、目も当てられないことになるでしょう。
旧民主党系がこうなってしまう理由
それにしても、旧民主党やその流れを汲む政党が、いつもこうなっちゃっうのは、何故なのでしょう?
それは、彼らのベクトルが「日本国民」ではなく、「自民」に向いているからなのでしょう。自民を政局に巻き込んでヘマをさせて、自らの党勢を拡大しよう、という発想が抜けないんです。
だから、上手くいっているときはイケイケなんだけど(多くの国民がどう感じているかは別にして)、ちょっと想定外のことが起きて潮目が変わってしまうと、方向転換ができなくなるパターン。プランAとプランBも考えていないんだろうね。
詳しくは述べないですが、今回の顛末は、あの郵政解散で民主党がボロ負けしたときと流れがよく似てるんですよ。
今後の立憲に臨むこと
立憲民主の最も致命的なところは、政局が大好きなのに、政局のセンスに全く欠けている、ということ。策士策に溺れる、と言いたいところなんだけど、策士とさえ言える状態にないのが困ったところ。
だからまずは、自らの政局センスの無さを自覚して、政局に走るのはホドホドにしてほしい。
何か語るときの主語を「自民は~」「総理は~」ではなく、「私達は~」に変えるべき。他政党のことはいいから、まず自分達について述べろということです。
新代表や新幹部は、もう少し当たりのソフトな人がいいな。眉間にしわを寄せつつ、ことあるごとににネチネチ嫌味っぽく話す男性議員か、本会議・予算委員会でヒステリックに攻撃をする女性議員ばかりが目立っていたから。
ソフトな口調でも批判は出来る。むしろ、当を得た批判をソフトな口調で話すことこそが国民に対する説得力最強なのになー。
あと、立憲内でも地道に政策を頑張っている人がいるのですから、そういう人こそが党の宝なのだと認識し、もっともっと前面に出してやらないと勿体ないです。
ただ一方で、与党批判がアイデンティティになっている人も少なからずいて、そういう人ほど声がでかい。彼らから与党批判を取り去ったら、それはバッターからバットを、数学から背理法を取りあげるようなもので、「一体、私達は何をしたらいいの?」状態になってしまうので、激しく抵抗するはずです。
・・・うーむ、前途多難だ。やっぱ分裂しかないのか?
上から目線なのは承知していますが、どうしてもこういうことを言いたくなってしまう。潜在的なポテンシャルは高い政党で、有能な人・高い志を持っている方も揃っているのに、ただただ飼い殺しになっていることを、大変もどかしく感じるのです。
次回記事
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【総選挙総括・2】明暗を分けた旧民主の2党。立憲の分裂は回避できるか?
前回に引き続き、総選挙の総括。今回は野党についてです。
↓ 前回記事
目次
《東京都奥多摩町》
旧勢力左派は退潮傾向
各党の獲得議席数は次の通り
自民 261(-15)
立民 96(-13)
公明 32(+3)
共産 10(-2)
維新 41(+30)
国民 11(+3)
れ新 3(+2)
社民 1(±0)
N党 0(-1)
諸派 0(-1)
無 10(-2)
----------------------------------------------
定数 465(+4)
獲得議席を見れば、自民と立憲の減った分が、ママ維新に流れたという感じになっています。特に立憲が100を切ったのはちょっとオドロキです。
もう少し細かい部分を見てみると、共産も減っていて、代わりに国民民主と、れいわが善戦しています。ここから分かることは、立憲・共産といった旧勢力の左派政党は退潮気味ということです。同じ左派でもれいわは伸びていますから、退潮気味なのはやはり「旧勢力左派」ということです。
ちなみに、今の立憲は中道左派ではなくて、堂々たる左派だと思います。その理由として、
- 共産と組んだことでその主張が相当に左に寄ってきた
- 中道や右派議員がかなり抜け、代わりに社民から合流したことで、かなり左側に濃縮された状態になっている
- 残った中道・右派議員もいるが、彼らの主張が党の主張として前面に出てくることが稀。
かつての民主党は、中道左派を中心に右派から左派まで幅広く人材を取り揃えていて、様々な人から支持を受ける素地があったので、まことに寂しい限りです。
それでも、立憲が96議席取れているのは「野党第一党」認定されているからです。すなわち、与党の対抗馬というだけで一定数の票は入るのです。
国民民主党の善戦
立憲・共産の退潮の代わりに、維新・国民民主・れいわが伸びていますが、ここでは最も地味な国民民主について書いていきます。
正直、私は国民民主は非常に厳しいと思っていました。それは、昨年、多くの議員が立憲民主に合流し、国民側は一気に泡沫化したからです。
ひとたび泡沫化すると、その政党は国民にとって空気となり、更に泡沫化が進むのが常で(そのいい例が社民党やかつての保守党)、私はその道を歩むと思っていたのですが、予想は裏切られました。
まぁ、今回は、国民民主が立った選挙区で立憲民主は立てていないのですが、それでも、泡沫化した政党が、自民党候補相手に6選挙区取るのはそう易しくない。前回比例復活だった人が今回は選挙区で当選していたり、前回選挙区で当選していた人も今回はより大差で当選していたりする。
更に、比例。全国区の参議院と違い、衆議院選挙の比例はブロックに分かれているで大政党有利で、泡沫政党がこれを取るのは易しくない。にも関わらず5議席獲得したのは健闘と言える。
そして、選挙区と比例を合わせ、トータルで11議席と3議席増。立憲民主に比べれば屁にもならない数ですが、この規模の政党で3議席増というのは結構大きい。
維新の躍進とも併せて考えると、俗にいう「ゆ党」を期待する向きは、実は結構大きいのだと思います。
ということで国民民主は想像以上に善戦したなと思うのですが、一つ言いたいのは、功を焦らない方がいい、ということ。
今回の立憲民主党といい、前回の希望の党といい、更には、いつぞやの郵政解散のときの民主党といい、同じような失敗を繰り返しているのですが、その本質は、「政権交代を焦って、小手先の手段で、目先の議席数確保に走ってしまったこと」にあります。
維新、立憲とは、当分は個別の協力にとどめ、性急に合流とかは考えず、10年単位で地道にやっていくべきです。
立憲民主党の惨敗
そして立憲ですが、2017年の旧・立憲民主党の結党時以来、最大の危機に陥っていると言えます。普通の敗北なら、新たな代表のもとで再出発を図ればいいだけですが、本ケースにおいては、「与党追求型議会運営」「共産党との共闘」というこれまでの取組をどうするのか、という非常に重いテーマを抱えているからです。
もちろん、必要な部分では、与党を追及すべきだし、共産党と協力してもいいのですが、それに極端に偏ったやり方でいいのか、ということの反省無しでは前に進めないのです。
しかし、この点は所属の各議員で考えが異なると思います。これまで協力してきた共産との関係もあるから、簡単にこれまでの方向性を誤りだとは言い出しにくい。非常にセンシティブな問題なのです。枝野代表の辞任表明が遅れたのは、こういう葛藤があるからでしょう。
1年もたたずに参議院選挙が来ますが、どうするのでしょうか。昨年、私は次のような投稿をしています。
今回、比例でも復活できなかった、あの方も、その危険性を察知しているようですね。
辻元清美氏 〝ポスト枝野〟めぐる立民代表選に警鐘「分裂しちゃ、アカン!」
今回の衆院選で選挙区、比例ともに辻元氏は「わたしはいなくなる。(代表選は)しっかりやって。分裂だけはしちゃ、アカン」と警鐘を鳴らした。
深刻なのは、単に自分達が惨敗したというだけでなく、是々非々を旨とした維新や、元の同志である国民民主が良い感じに躍進・善戦してしまったこと。
本当は、立憲内にも、維新や国民民主のような形でやっていきたい人達が少なくなかったのを、今の執行部がその動きを抑えてきた、という事情があります。
一方で、今回当選した立憲議員の多くは、自らの当選が共産票によるところ大と認識していることでしょう。
党勢拡大のためには、共産と手を切った方がいい。しかし、自らの当選のためには共産と組まないといけない(もっともこれは"錯覚"なのですが)。
まさにジレンマ。
これは荒れますよ。メチャクチャ。
今後の展開次第では、立憲の中から国民民主に行きたがる人が出てくるかもしれませんが、一度共産側にヒヨッた人を国民民主は警戒するでしょう。
まずは、立憲の再分裂は回避できるのでしょうか? 注目したいと思います。
↓ まだ書くことがあるので、残りは明日に回します。
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