先の総選挙では、立憲サゲ、維新アゲの傾向が明確になったのですが、次回参議院選挙は、この順位が入れ替わるかどうか試金石となります。
つまり野党第一党をかけた戦いです。
目次
次回参院選でいきなり野党の順位が入れ替わることはない
ただ、最初にお断りしておきたいのですが、次回の参議院選挙でいきなり野党の順位が入れ替わることはありません。
- 参議院は半数改選なので、ある選挙で負けても、非改選の議員と合わせて、参議院で比較的多数を保っていられる。
- 衆議院選では、「大都市圏の多数の小選挙区でオセロのようにひっくり返る」ことにより議席数が劇的に変動し得るが、参議院選では大都市圏への議席の配分が相対的に少なく、かつ中選挙区が多いため、このような事象は起こりにくい。
- 仮に参議院で少数になっても、衆議院で野党第一党の地位を保っていれば、以降も「野党第一党」扱いされるものと思われる。
ただ、じゃあ立憲は安泰なのかというとそうではなく、次回参院選の勝ち負けによって、その次の衆議院選挙で野党第一党の座を保持できるのか、そうではないのかが決まる、というギリギリの瀬戸際にいるわけです。
「立憲共産主体の1対1対決の構図」が危機にある
立憲代表選の候補者の方々はこぞって「1対1対決の構図を作っていくことが大事」とおっしゃっています。しかし、実はこの構図は今、危機に瀕しています。理由は二つあります。
「共産党」という重い十字架
一つには、前回記事でも述べましたが、先の総選挙で敗北したことにより、立憲は、『共産党』という重い十字架を背負ってしまった、ということがあります。
一言で1対1といいますが、その片方に共産党が入っている、という状態が、共闘している限りずーっと続くわけです。極端な言い方をすれば、片や現状維持、片や共産革命、みたいな180度異なる選択を迫られるのが本当に良いことなのか。
有権者はこれまで以上にそのことをに気にするでしょうし、立憲としても共産との関係のバランスをとっていくのに、多大な労力を費やすことになる。
枝野前代表は、「限定的な閣外からの協力」に過ぎないのだから、そんなに共産とは近くないんだ、とおっしゃっていましたが、共産側は選挙が終わってかなり本性をむき出しにしてきているんですよね。
軍拡阻止し 憲法生かそう/日本平和大会開く/安保廃棄の国民的合意を
日本共産党の小池晃書記局長は「安保条約廃棄の国民的合意をめざして安保そのものを正面から取り上げて活動することは、市民と野党の共闘の発展に大きな意義を持つ」と強調しました。
つまり、立憲・共産主体の1対1の構図にクエスチョンが付けられてしまったんです。
維新など第3極が1対1に割って入って来る
更に差し迫った問題なのが、維新の台頭です。先の総選挙で、維新は大都市圏を中心に、かなりの数、小選挙区で候補を立てているんですよね。
- 北海道×3、宮城×2、
- 茨城×3、栃木×1、群馬×1、埼玉×4、千葉×4、神奈川×7、東京×17、
- 新潟×1、富山×1、石川×1、長野×1、岐阜×2、静岡×3、愛知×3
- 滋賀×1、京都×3、大阪×15、兵庫×9、奈良×1、和歌山×1
- 広島×2、徳島×1、香川×1
- 福岡×4、宮崎×1、沖縄×1
小選挙区で当選した16人のうち15人は大阪ですが、多数の落選者も、今回顔を売って次の機会を窺っているに違いないのです。
つまり、自公vs立共という1対1の構図が崩れつつあるのです。維新が一人区でただちに勝利するのは難しいですが、彼らは与野党双方から票を奪う力がありますから、徐々に三つ巴の争いに発展していきます。
先の総選挙でいうと、大阪や兵庫の他、東京1区など、一部の小選挙区がそのような状況に向かいつつある。
こんな状況が、来年の参議院選挙、次回衆議院選挙で絶対に発生しないと、どうして言い切れるでしょうか。
激動の複数区
とはいえ、一人区、小選挙区における1対1の構図は、次回参院選でただちに崩壊するわけではありません。
一方、複数区は波乱が予想されます。みんな一人区を一本化することばかり気をとられていて、複数区のことにまでは、あまり考えが及んでいないようです。
というのも、これまでの複数区は、有力な各政党がなかよく議席を分け合うといった無風区が多かったからなのですが、大きく支持率を伸ばした維新がこの状態に待ったをかける可能性があるのです。
維新の松井代表がおっしゃっているのは、京都選挙区(改選数2)ですが、ここでは茨城選挙区を取り上げます。
前回2019年の茨城選挙区は次の通り。
どってことのない無風区で、維新の候補は4位でした。しかし次回は、維新が自民票と立憲票を奪って票を伸ばすことが想定され、特に立憲と維新の間で2位争いが注目されます。
先の総選挙では、茨城という、維新が全然浸透していない地域に候補を3人も立てています。実際、得票率は低かったのですが、それでもここまで積極攻勢をかけるのは、彼らが参議院茨城の2議席めを狙っているからに他ならないからです(という個人的な予想)。
ほか、埼玉、愛知、神奈川、福岡などで、維新がどこまで食い込めるか、自民と立憲は踏みとどまることができるのか、注目です。
比例代表の争い
20年ほど前の大規模国勢選挙において、小選挙区では自民が勝っていても、比例得票は民主党が自民党を上回っていることが多かったです。それは、当時、民主党に期待している人が多かったことの現れでしょう。その後身の政党の比例票が伸び悩む、というのは、やはり期待が落ちているのでしょう。
次回の参議院選挙で立憲と維新、どちらが比例票を上回るのか?それが政党への期待値に直結するので要注目。
立憲に有利な点も?
ということで、立憲に不利のようなことを書きましたが、全てが立憲に不利なわけではありません。
先にも述べましたが、参議院選挙で劇的な結果が出ることは無いので、うまくいけば「いろいろあったけど、どうにか踏みとどまったよね」みたいな結果で収まることも十分あり得ます。
来年、改選対象となる立憲の議席数は22(多分)とそんなに多くないですから、参院選後にこれを下回ったとしても数議席程度でしょうし、維新と自民で票が割れて立憲が当選することがあるかもしれません。
それやこれやで、改選第二党を死守出来れば、立憲民主党は、どうにか野党第一党に「残った」、そうでなければ、非常に危機的な状況に追い込まれる、というわけです。
ちなみに、片割れの国民民主党の方も、次回の参議院選挙では改選数が多いため、こちらも現有議席を確保するだけでも、相当に厳しい戦いになりそうです。
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