まだ立憲の代表選が続いていますが、誰になろうと方向性は同じでしょうし、あまり興味を持たれている風でもないので(当ブログの前回記事共産党を腫れ物扱いする、立憲民主党の代表選も低調)、話題の軸足を、次回の参議院選挙に移していきたい、と思います。
目次
《埼玉県毛呂山町:宿谷の滝》
誰が立憲の新代表になろうと、やることは変わらない
とはいえ、立憲民主党の今後について書いておかないと、参議院選挙について触れることが出来ないので、簡単に述べておきます。
案の定というか、代表選における各候補の討論内容は、非常に薄いものになっています(前回記事:共産党を腫れ物扱いする、立憲民主党の代表選を参照)。
まともな政策論争をするほどの地力が無いのであれば、あと残るテーマは「共産党との共闘は正しかったのか?」しかないのですが、これについても各候補は直接語ることについて及び腰です。
今回の敗戦の根本原因は「持てるエネルギーの大部分を、野党共闘などの票合わせと政権批判に費やすことで、政策立案力など党としての地力がどんどん削がれていったため」なのに、目先の票が逃げるのと、党の分裂が嫌で、そこまで切り込める候補者はいらっしゃらない。
だとすれば、誰が新代表になったとて、やれることは、「共産党と連合との関係の再構築」しかないんですよね。そもそも、政策を練り上げていく人・仕組みが無いので、政策で勝負などできっこないのです。
各候補もその辺は分かっていて、その立ち位置によって表現は変えていますが、結局は「共産党と連合との関係を再構築していきます!」ということをおっしゃっているのです。
ただ、これは言うほど簡単ではありません。共産党や連合だけでなく、党内の意見集約も必要になってきますから、非常に、非常に高度な調整力・政治力が必要になってきます。
新代表が、このような調整力・政治力を存分に発揮できるか? 難しいでしょうね。
特に小川氏は、選挙前、野党候補の一本化を訴えて、独断で、維新の会議に乱入したり、維新の候補の実家に押しかけるなどしたそうで、こういう人に調整力があるとは到底思えないんですよね。
小川淳也氏 維新への直談判は「私の軽率さ。深く反省」(朝日新聞) - goo ニュース
RTs>維新の代議士会に“乱入”し、馬場伸幸幹事長の腕をつかんで候補者調整を懇願する小川(淳也)氏の写真
— にこ( ´ω` ) (@nikoyky) October 12, 2021
TLに流れてきてたけど、これわざわざ維新の部屋(恐らく国会内の控室)に入り込んでたんだな。
やばくないかこいつ… pic.twitter.com/VE2j1cAJQk
十字架を背負ってしまった立憲
立憲民主党の本当の試練はこれからです。
正直なところ、今回の選挙に限っていえば、共産党との共闘そのものは、それほど議席数に影響していないと思います。もともと党としての地力が無かったのですから、比例はあんなものだろうし、小選挙区では、共闘で得られる票・逃げる票あって、トータルで議席は微増。共産云々ではなく、弱かったから負けたのです。
しかし、共闘が選挙結果にそれほど影響していなかったのだとしても、「共産党と政策協定まで交わし、大規模に共闘した選挙で、派手に敗北してしまった」というのは事実であり、これによって、十字架を背負うことになってしまった。
選挙後は、大手マスコミを含め、「野党共闘は正しかったのか?」という議論が盛んに行われるようになり、世論調査のネタにまでなる始末。
自民の麻生氏は選挙期間終盤で「立憲共産党」と揶揄したそうですが、保守系のメディアでは、今やこの言葉が公然と使われるようになっていて、今後もずーっと言われ続けることになる。
ネットでは、「共産党と組む」というのがどういうことなのか、検証サイトや動画がどんどん作られていく。
つまり、これまでは、野党共闘について、メディアや国民の関心は必ずしも高くなかったのに、今後は選挙のたびに野党共闘について強く問われる状態を作ってしまった。
すると、これまではそれ程気にしていなかった人も、「共産と組む候補・政党は避けておこう」と考えるようになり、逃げていく票が今回以上に多くなる可能性が高い。
この状態は、「共産党との絶縁宣言」をハッキリと出さない限り収まらないのですが、相手がある話だし、共産票で当選してしまった人が多数なのですから、まず不可能。
枝野前代表はこのような事態を怖れていたからこそ、選挙期間中、何とか共産色を薄めよう薄めようと頑張っていたのに、結局、徒労に終わってしまったのです。
2位で良いと思っていたら、維新が背後に
2位じゃダメなんですか?のアノ方じゃないですが、立憲民主党はとにかく2位(野党第一党)でいることにエネルギーを注いできた党だと思います。野党共闘もその一環なんだと思いますが、これまでのやり方では2位でいることさえ安泰ではない、ということを突きつけられたのが、今回の選挙結果です。
すなわち、維新の躍進であり、2位で良いと思っていたら、いつの間にか維新が背後まで迫ってきている、という状態。
もともと、維新は大阪の地域政党で、今回得た41議席のうち半分以上は近畿のものなのですが、それでも野党第一党たる立憲民主党の4割の議席数を誇り、インパクトは非常に大きく、これまでの与野党に代わる第三極として、一気に認知された感があります。
維新の浸透は全国的なものなのですが、もちろん地域によって程度差はあります。近畿では圧倒的で、東北では比較的緩やか。近畿以外では、東京ブロックが注目されます。
2017年と2021年の東京ブロックにおける比例得票数の推移は次の通り。
- 自民は横ばい。
- 立憲は、2017年当時に希望だった議員が2020年に大量に合流しているので、得票率も大幅に増加しているべきなのに、3.5ポイントも低下。
- 維新は10ポイント上昇。れいわや国民民主も善戦。
つまり、これまでだったら野党第一党に行くはずだった票が、維新・国民民主・れいわに、大分、流れてしまった、ということです。
更には、最新の世論調査だと、立憲と維新の政党支持率は拮抗しており、中には維新の方が上回っているものさえあるのです。
野党第一党ボーナスの行き先
まとめると、これまで「野党第一党だから」ということで立憲に入れていた人の投票先が、維新など他政党に結構、移ってしまったというのが今回の選挙結果です。
この傾向は、次回以降の大規模国政選挙で、更に強まることが予想されます。というのも、
- 立憲民主党は、「立憲共産党」という十字架を背負うことになってしまった。
- 立憲民主党は、代表選における空虚な討論などにより、党としての地力(人材や政策)に乏しいことが赤裸々にされてしまった。
- 今回の選挙結果を受けて、日本維新の会が第三極として認知された。
そうすると、無党派層の主な投票先が、立憲から維新に移行していってもおかしくないのです。維新に抵抗がある人は国民民主やれいわがあります。必ずしも野党第一党に入れなくてもいい、と無党派層に認識させてしまったのです。
立憲 vs 維新 については、まだ書くことがありますが、それは次回にて。
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