50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

「情弱」考 ~ 情報に"踊らされる"よりは"知らない"方がまだいい

 誰もが「情弱(情報弱者)」にはなりたくない。

 そこで、有利な情報を見つけてトクをしようとする。そのような情報を幅広くネットに拡散して「いいね」を得ようとする。こういうことを繰り返すうちに、本来は「使いこなす」物であった情報が、やがて「踊らされるもの」になっていく。

 なんか面倒臭いことになってきたなぁ、と思うのです。

目次

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 《東京都奥多摩町:JR青梅線・古里駅》

20年前のインターネットの様子 

 いきなりですが、20年前にはブロードバンド(広帯域回線。この言葉でさえほとんど死語だよなぁ)は普及しておらず、電話回線が主流。真夜中に限り定額で電話回線を繋ぎっぱなしにできる「テレホーダイ」や、ISDNのサービスがありました。

 当然、SNSというものは影も形も無く、代わりに、個人が設置した掲示版サービスがネット利用者間の交流の役目を果たしていました。その中の最大手が2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)です。

 当時はひろゆき氏も2ちゃんねる管理人として現役であり、彼のスタイルが2ちゃんねるの雰囲気に大きな影響を及ぼし、また、2ちゃんねるの雰囲気がネット界隈に大きな影響を及ぼしている。そんな感じでした。

 特に、現実世界の出来事を「ネタ」として楽しむ風潮が盛んであり、吉野家コピペ大震災コピペなどは定番でした(不謹慎ですが)。

 また、九州でバスがハイジャックされ、一人が死亡するという痛ましい事件があり、ネオむぎ茶なる人物が、その犯行予告を2ちゃんねるに書き込んだ、という出来事がありました。

西鉄バスジャック事件 - Wikipedia

西鉄バスジャック事件は、2000年(平成12年)5月3日に発生した当時17歳の少年によるバス乗っ取り(バスジャック)事件である。(略)ほかにもインターネット掲示板の2ちゃんねるに犯行予告の書き込みが残されており、その時のハンドルネームからネオむぎ茶事件(ネオ麦茶事件)とも呼ばれた。

 

 その「犯行予告」なるものは、いまでも過去ログとして見ることが出来ます。

佐賀県佐賀市17歳・・・。

 

1 名前: ネオむぎ茶 投稿日: 2000/05/03(水) 12:18
ヒヒヒヒヒ

 

4 名前: 棄て 投稿日: 2000/05/03(水) 17:33
西鉄バスジャック事件と関係があったら…驚くぞ。

 

11 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/05/03(水) 19:12
しかしこれほんとに予告に思えてくるな。

 

313 名前: 名無しさん 投稿日: 2000/05/04(木) 04:00
警察の人、事件後ここも調べて、一個一個読むんだろうなあ。
御苦労様と言わねばなるまい。
気の毒というか、なんというか。
時代は面倒なものを産み落としたものだね。

 

 このとき、ひろゆき氏が取材を受けて、「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という名言が生まれたのです。

 

 ネットは全くお騒がせな存在だったのですが、芸能人を自殺に追い込んでしまうほどのパワーはありませんでした。

 便所の落書きをしている日蔭者・・・それがネット住人の多くを占めていました。

「情報弱者(情弱)」なる言葉の創生期

 当時のネットでよく使われていた「ネット用語」の出所は2ちゃんねるか、あるいは2ちゃんねるを通して流行したものが多く、「萌え」「萎え」「ドキュソ(DQN)」「氏ね」「ガイシュツ」「香具師」「乙」「逝ってよし」「オマエモナー」「激しく同意(禿同)」「マターリ」「串」などは、頻出単語でした。

 その一つに「情報弱者」があります。他の用語が廃れていくなか、この一見地味な「情報弱者」という用語は、いつしか「情弱」と略されるようになり、現在に至るまで幅広く使われています。

 「情報弱者」の意味を調べてみると。。。

情報弱者とは (ジョウホウジャクシャとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 近年の急速なIT化に伴い、デジタル技術や通信インフラを利用できる者と利用できない者で情報格差が生じるようになった。情報弱者とはその後者である。

 当時は、この本来の意味で使われていたし、ネットにつないでいる人はそれ程多くなかったので、実際に「情報格差」というものはあったのです。そして、ネットに繋いでいる人が、繋いでいない人を指して「情報弱者」という語を使っていました。

 特に、ネットに繋げられないために、「マスコミ」や「既成の価値概念」を鵜呑みにして、愚かな言動をしている人を蔑む、という文脈が多かったと思います。

 ただ、彼らは、単純に情報弱者を蔑んでいたわけではありません。

 先の「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という言葉が彼らの基本スタンス。

 情報が本当か嘘か見極めることは、「情報強者」の側にある者としては最も基本的な行動でした。ポンと貼られた情報ソースの信憑性については、厳しくチェックされたものです。

 それは、佐賀県佐賀市17歳・・・。の「犯行予告」がホンモノかどうか、後のレスで検証されていることからも分かります。

 情報強者としては、ネタにマジレスすることは恥ずべきことだったのです。

最近の「情弱」

 一方、最近は、小学生や老人でもインターネットに繋げられる世の中になり、ネットに繋げられない、という意味での「情報弱者」はほとんど存在しなくなりました。

 ただ、この語が消えることはなく、

 情報弱者とは (ジョウホウジャクシャとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 ネットでは、本来の意味と異なり「情報を充分に活用できない者」という意味合いで使用されることが多い。この用法によれば、ITインフラを活用して情報を入手しているからといって情報弱者ではないとはいえない。たとえば、インターネットで得た情報をろくな検証も無しに鵜呑みにする者は、旧来のメディアからの情報を鵜呑みにする者となんら変わらない。

という感じに、意味や用法が多様化して生き残っています。

 「インターネットで得た情報をろくな検証も無しに鵜呑みにする者」が多い状況は確かにある。そして思うに、「情報を知らない」ことよりタチが悪いのは、「情報に踊らされる」ということです。

 例えば、ネタのTV番組に大量の人がマジレスして芸能人を自殺に追い込んでしまった、あの事件。

 20年前に同様の番組をやっていたとして、同様の事件が起きたか、というとそうじゃないような気がするんですよね。ネットにそれほどのパワーが無かったというのもありますが、そもそも、ネタはネタとして楽しむというのが、当時のネット住人のスタンスでしたから。

 あんな番組、相当に脚色が入っているでしょうから、その脚色の入り具合をあれこれ推理するというのが、(20年前の)ネット流の楽しみ方です。そんなものに真剣に怒ってみても、「ネタにマジレスかっこ悪い」 と言われるのがオチです。

 しかし、昨今は、ネタに対して壮大なマジレス大会をしているケースが多い。ネタに耐性の無い状態でネットを使っている、というのがデフォルトなのでしょうね。

 また「情弱ビジネス」という言葉があります。何とか成功したい人達に、インフルエンサーが怪しげな情報商材を売りつけたり、サロンを経営したりする、というのが、その一形態です。

 商売の対象となっている「情弱」は、もともと「強者」の側に立ちたいという思いで、サービスを購入しているはずなのですが、こんなモノに引っかかってしまうなんて不思議なことです。

ネットの世界は面倒臭くなった。一歩引くのも一つの見識。

 「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という、あの名言は、もはや死語なのでしょうか。。。

 本当に、ネットの世界は面倒臭くなった。

 それなら、全くネットに関わらないで生きていくのは困難だけど、そこから一歩引いてみるのも一つの見識だと思うんですよね。

 先にも述べた通り、「情報を知らない」以上にタチが悪いのが、「情報に踊らされる」ことです。そしてネットにどっぷりつかればつかるほど、情報に踊らされる確率が高くなるのです。

 「情報を使いこなす」のが最善なのは分かるのですが、自分にはその域に達するだけの気力も能力も無い。そこで、私は、次善の策として「情報を知らない」の方をとっている。SNSをやらないのも、そういう理由ですね。

 まぁ、「情報を使いこなす」人達からすれば情弱だと思いますよ。でも、私は「情強」であることに、情熱を注げなくなってしまったのですよ。

 

  • 余談ですが、驚いたことに、冒頭に述べたテレホ、いまだ現役のサービスらしいのです! 料金も当時と変わっていないような・・・。

 

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