50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

憲法の「勤労の義務」違反で他者を攻撃する人々

 本日は「勤労感謝の日」

 日本国憲法の三大義務の中に「勤労」が含まれていることは、あまりにも有名です。

第二十七条
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

  1. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
  2. 児童は、これを酷使してはならない。

 この第一項が独り歩きして「働かないのは憲法違反!」みたいなコメント、直接は聞いたことないにしても、ネットではたまに見かけます。

 最近も、専業主婦の投稿が大炎上したそうです。

 「働いてないってそんなにいけないこと?」専業主婦の投稿が大炎上「憲法の勤労の義務違反」の批判まで 専門家に聞いた

 30代専業主婦の「働いてないってそんなにいけないことなのか」という投稿が大炎上している。4人の子育てに追われる毎日なのに、ママ友から「なぜ働かないの?」と聞かれることが「疲れる」というのだ。

 この投稿に対しては、「憲法に勤労の義務があること知らないの?」「働いて社会貢献をすべき」という厳しい批判がある一方で、「家事・育児も立派な仕事」「4人の子がいては働くのは無理」と応援の声も。専門家に聞いた。

 

目次

f:id:retire50:20201110092610j:plain
 《東京都青梅市:JR青梅線・石神前駅付近》

「勤労の義務」は思われているほど普遍的なものではない

 「勤労の義務」というのは一種の「精神的規定」だそうで、これに違反したからといって、逮捕・連行され、裁判や刑罰に至るな性質のようなものでは無いということです。

勤労の義務 - Wikipedia

(略)憲法の規定では、労働権の保障と対応して、一種の「精神的規定」にとどまっている。また、そう解さざるを得ない。

(略)この規定は、立法によって国民へのあらゆる強制労働を許容するものではなく(日本国憲法第18条)、違反者に対する具体的な罰則を課するよう立法や行政に義務付ける性質のものでもない。

 こんなもん、憲法学者の学説など引用するまでもなく、実態としてそうですよね。

 ただ、生存権を担保する生活保護の対象が、「働けるのに働こうとしない者」にまで無条件に拡大されないことの説明として、この「勤労の義務」が援用されることはあるようですが、まぁ限定的です。

 

 また、「勤労の義務」を憲法で規定している国は非常に少ないそうで、私がざっとネットを見て名前が挙がっていたのは、日本の他は、中国、韓国、北朝鮮といった東アジア勢のみでした。他にもあるかも知れませんが、メジャーな資本主義国で「勤労の義務」が憲法で謳われている国が非常に少ないのは事実なんでしょうね。

 何が言いたいかというと、「勤労の義務」なんて、日本で思われているほど、普遍的な価値を含んでいるものでは無いんだろう、ということ。

「精神的規定」としては絶大な影響力がある(日本では)

 しかし、です。

 この「精神的規定」に過ぎないものが、日本人の考え方に絶大な影響力を及ぼしているように思います。何たって、「日本国憲法の三大義務」は中学社会ではテストでよく出る重要項目です。

国民の三大義務

2.勤労の義務(マナペディア)

NEETはひょっとしたら憲法違反かもしれませんね。

(略)

この3大義務はテストでよく出てきますので、しっかりとおさえておきましょう!!

ニートは憲法違反? - 社会科の教員が「ニートは勤労の義務を果たしていない... - Yahoo!知恵袋

社会科の教員が「ニートは勤労の義務を果たしていないので憲法に違反している」というようなことを言っていました。

 ここで「勤労の義務」というものを、他の2つの義務と併せてしっかり刷り込まれます。

 他の2つの義務については、条件さえ整えば、税務署や市町村が自発的にこちらへアクセスしてくる性質のものなので、いやがおうでも意識せざるを得ないのですが、そういう強制力のあるものの中に、「勤労の義務」なる精神的規定が、チャッカリ紛れ込んでいるわけです。

 先生は「勤労の義務」が単なる精神的規定だなんて言わないどころか、先の引用にあるように「ニートは憲法違反かも」なんて言っちゃうくらいですから、純粋な中学生は、「勤労」というものが、「納税」「教育」と同等に強制力ある義務だと刷り込まれ、多くはそのまま大人になるのでしょう。

 この確立した流れ、人々の考え方に多大な影響を及ぼさないわけがありません。憲法の規程まで持ちだして、自発的に「勤労の強制性」を説いてくれる輩まで現れるのですから。

「働いてないってそんなにいけないこと?」専業主婦の投稿が大炎上「憲法の勤労の義務違反」の批判まで 専門家に聞いた

「あなたは、日本国憲法に『勤労の義務』という言葉があるのをご存じでしょう。(略)幼稚園や小中学校の費用にどれだけ税金が投入されていますか。すべて勤労した人からの税金からです。(略)だから税金泥棒なんて言葉ができるのです」

 結果論とはいえ、日本人の勤労道徳を高めるのに、何とも上手いやり方となっています。

憲法の「勤労の義務」を盲目的に是と捉えてしまうのは「クソ真面目」

  このように、勤労を道徳化する意識を、次の記事では「クソ真面目」と表現しています。

「働かざる者食うべからず」というクソ真面目な考えはもうすぐ消える(井上 智洋) | マネー現代 | 講談社(2/5)

「労働しなければならない」「労働していない者はちゃんとした大人として認められない」といったクソ真面目な意識が、この国では強過ぎないだろうか?

 なるほど、「クソ真面目」とは言い得て妙だな、と思います。

 先にも述べた通り、たかが憲法上の精神的規定。義務といっても、それ程普遍的なものではない。その程度のものを、中学で刷り込まれて以降、盲目的に是として捉えて疑うことを知らず、それに沿っていない生き方をしている他人を許すことができない。「勤労の義務」を錦の御旗に、ニートや専業主婦を攻撃する。

 でも、私は「みんなで働いて税金をおさめて社会を作っていくんだ!」みたいなこと、綺麗事でしかないと昔から思っていたな。不真面目なことに。

 働かないで暮らしていけるならそれに越したことないし、税金泥棒云々言うなら、納税額には上には上がいるから、(現役時代の)自分の納税額ごときでニートを攻撃するなんて、結局は自分の首を絞めるだけ。

 ただ、現実問題として働いて金を稼がないと暮らしていけないから、憲法の規程とは無関係に働いていた。働かなくてもいい人は羨ましくはあっても、妬みや非難の対象ではなかった。

  私の発想はこうですから、働かない人に対し「勤労の義務」を持ち出して攻撃する人はついては、クソ真面目という表現が、個人的にしっくり来るのです。

 

★ランキングに参加しています。よい記事だと思ったらバナーをクリックして下さい。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ

★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
 ⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます