賃貸vs持ち家・・"きのこvsたけのこ"の如く喧しい論争が、ネット上で繰り広げられています。何だかんだいっても"緑のたぬき"などは永遠の二番手という感じがしますが、賃貸vs持ち家では、論争上はどちらも譲りません(実態はともかくとして)。
私個人の意見としては、最初は賃貸で良いが、あるタイミングで一度は持ち家を検討してみてもいいんじゃない?というものです。もちろん、コロナが落ち着いているの前提で。
目次
《東京都青梅市》
賃貸で転勤に対応できた私
私は就職してから30代まで独身で賃貸住みでした。ずっと同じアパートに暮らしていましたから、あまり賃貸の特性を有効活用していたわけではありませんでしたが、39歳の頃、転機が訪れました。
転勤を打診されたのです。
打診された内容は二択で、現職場の別の部署に行くか、首都圏を出て別の事業所に行くか。
住んでいる場所もマンネリ化してきたし、別の土地を見てみたい気持ちが大きかったので、後者を選択しました。その結果、関西で色々と見聞を広めることが出来たので、大変によかったと、リタイアした今でも思っています。
これは独身・賃貸の身軽さ故ですね。それまで、マンションを購入することなども少しだけ検討してみたことがあったのですが、実現に踏み切らなくて正解でした。
リタイアを視野に入れ、戸建購入に踏み切る
何年か後、多摩地区の元の事業所に戻ってきました。
その後なんやかんやあって、40代半ば頃、将来的にリタイアすることを決意、既に結婚していた私は、戸建購入に踏み切ったのです(次の投稿参照)。
結局、このときに買った家に今でも住んでいます。年寄りになるまで住み倒してやろうと思っています。
人生が確定したら持ち家を検討してもいい
これまで述べてきたことについて、振り返ってみます。
30代のときは、独身だが結婚することは放棄していなかった。転勤する可能性もあった。そのため、賃貸のままで正解だった。
一方、40代半ばでは、既に結婚している。転勤は済ませてしまったので、自分から希望しない限りは転勤はもう無い。50歳になったらリタイアするつもり。
つまり、30代の頃は、人生上の未確定事項があったが、40代半ばではそれらが確定してきた。引越しする可能性が低くなり、持ち家に対してイニシアチブが再び働くようになった。
私に限らず、40代には人生の重要事項が色々と確定してくる、ということはこれまでも書いてきました。
また、時間が有限であることに加え、40代は「自分の可能性」が有限であったことにも気づきます。
というのも、人生における重要なイベントは、概ね、40代までに決着がつくからです。以下に例を挙げます。
- 社内の出世競争
- 結婚
- 住宅購入
だとすれば、人生が確定してきた段階で、それまで賃貸だった方も、一度、持ち家を考えてみるといい。引越しが強制される外的事情が少なくなるわけだから。
人生の確定時期が40代だとするならば、持ち家を考える年齢的な目安は、概ね50歳までくらい、ということになります。
なお、ここで言いたいことは、「持ち家を50歳までに買うべきである」と断定することではありません。
更には、資産のほとんどをつぎ込んで持ち家を買うのは愚かだとも思っています。
ただ50歳くらいまでには、一度は持ち家を俎上に上げてみたらどうか、という提案です。その結果、「やっぱり買わない」「60歳で買う」等の結論になることは充分にあり得ます。
年を重ねると生じてくる事象
かように私が言うのは、年を重ねると生じてくる事象があるからです。色々あるでしょうが、ここでは3つほど書いてみます。
引越しが面倒になる
賃貸のメリットとして「引越しが(持ち家より)気軽に出来る」ということがありますが、年齢が上がるにつれ引越しは面倒になっていきます。
私は、就職してから、これまで6回経験してきましたが、回を重ねるごとに面倒になり、今はもう二度としたくない気分です。
引越し自体もそうですが、転居手続きだったり、新しい環境に慣れることだったり。家族や子供がいる場合、その面倒臭さは増幅します。
「賃貸なら何か問題が起こっても引っ越せばオーケー」みたいな発想は、まだ若くて体力・気力があるから、同居家族がいない・少ないから、というのは絶対あると思います。
引越しを、トラブル解決の万能手段として扱えるのは、極一部の引越し魔ぐらいでしょうから、それ以外の方は、引越しができる、というのをあまり過信しない方がいいかと。
物件を借りにくくなる
高齢者は物件を借りにくい。よく言われることです。
「物件を借りるのが難しくなる」ということは、「賃貸のメリットである"フレキシブルな対応"がより困難になる」ということ。URは借りられるかもしれませんが、借りられる物件が限定されてしまう時点で、賃貸としてのメリットは激減。
「いや、少子化で空家が増えるから、いずれ高齢者でも借りやすくなっていく!」
というコメントをよく目にします。
でも、それは希望的観測。
今時点でも、空家は増えているのに、高齢者が借りやすい状況にはなっていません。詳しくは別稿で書こうと思いますが、これは構造的な問題なので、将来的にも抜本的な解決は難しいだろう、というのが私の見方です。
そういうなか、「建物が老朽化して安全性が担保できないため、この物件は取り壊します」みたいに言われたら、次の物件探しに相当難儀するか、法律を盾に大家とバトルしながら住み続けるか。高齢になってそこまでのエネルギーを保つことができるのか。
持ち家は、古くなるとババ抜きのババのように、誰からも避けられるようになると言われます。でも、人間だって高齢者になれば、(文字通り)ババ(ジジ)になってしまうものだと思うのです。
持ち家購入の資金繰りが難しくなる
資金繰りについて、まず年齢と住宅ローンの関係がありますが、これは言われ過ぎているので省略。
それより問題なのが、リタイア後、年を重ねるほど、家賃を払っていった分、資産残高が減少していくこと。それは、大分県杵築市あたりに住むなら別ですが、一般的には持ち家(特に戸建)の維持費よりもずっと大きくなる。
例えば、リタイア直後には、満足いく住宅を購入するだけの資金が作れる状況にあったとします。
でも、ここで賃貸に住み続けることを選択すると、以降、家賃のために資金を取り崩す額が大きくなります。資金の初期値が充分に大きいならいいですが、そうでない場合、10年後に同じだけの資金は用意できないでしょう。
つまりあるタイミングでは買えた物件が、年を経るにつれ、買えなくなっていくのです。
おわりに
「持ち家を買うと、その持ち家に縛られて、賃貸には後戻りできなくなる」とはよく言われることです。
しかし、一方で、賃貸についても、高齢者になれば、資金調達の面から持ち家という選択はとりにくくなっていくのではないでしょうか。
75歳、80歳といった年に、住んでいる賃貸物件の退去宣告を受けた場合、資金が足りずに購入するという選択肢がとれなかったら、かなり危機的状況に陥ってしまうのは想像に難くないところです。
だから、持ち家という選択肢がとれる段階で一度は考えてみた方がいいのではないかな、と思うのです。まぁ人によっては、大きなお世話だと感じられるのでしょうが。
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