クルーズ船。現場担当者の悲哀、身につまされる思い。
岩田氏がクルーズ船内の対応を「告発」した件について、色々と論じられていますが、マスコミにはあまり出ていない情報もあるようです。
目次
《埼玉県飯能市》
正しいことを言うにも言い方はある
これらを読む限り、岩田氏の良心を疑う話ではありません。船内の状況についての岩田氏の指摘は概ね正しいのでしょう。
ただ、現場は限られた人数でリスクとプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、オペレーションの真っ最中。そこに見知らぬ専門家がやってきて、突然あれこれ言われても、「どうすればいいんだよ」と現場が混乱するのも無理はありません。
言われたことが一見正しそうであっても、「本当にそれで正しいのか」「現場はそれで動けるのか」「オペレーションの変更により悪化する部分は無いのか」などを、複数の立場(船員、役人、自衛隊…等)で検証する必要があります。
検証の結果、「それで行こう」となっても、オペレーションを変更するための検討・準備、そして担当者全員(場合により乗船者全員)への周知などが必要にもなってきます。
こういう一筋縄でいかない話は、それがどんなに正しいと思われることであっても、現場で言い散らすだけでは無意味で、指摘点は然るべきルート・タイミングで伝えるべきではないでしょうか。
現場の人達には頭が下がる
つい先日まで私も現場側で業務をしていましたから、今回のクルーズ船の件は、本当に身につまされる思いです。
私の関わっていた「現場」は、クルーズ船に比べれば、規模も影響も大したことはありません。それでも、現場を統制することは本当に大変なことでした。
クルーズ船の場合、相手は多国籍・数千人で、新型の感染症が突然発生した、というシチュエーションですから、その困難さは如何ほどか、想像に絶するものがあります。
そんな状況で、現場で頑張っている人達のことを考えると、本当に頭が下がります。
例えば、100点満点中50点くらいしか対策がとれていないとしても、現状それが精一杯、後は少しずつ改善して点数を上げていくしかない、というのが実情なのだと思います。
そのためなのかは分かりませんが、WHOや海外の政府は「懸念」や「課題」を言うことがあっても、批判や非難は概ね抑制的です。センセーショナルに批判しているのは主に一部のマスコミ(特に海外)でしょうか。
だって、大々的に批判したら、それは自分のところに還ってきますからね。自分達が日本と同じことを引き受けたとして、100点満点中50点もとれるのか(マスコミは言いっぱなしだからそのリスクは無い)。
船内には日本人が一番多かったという事情はあるにせよ、リスクを承知の上で、外国籍の船を引き取った日本および、現場で対応されている方は本当に偉い、と私は思います。また、船内に留まって下さった乗客の方にも感謝です。
頭ごなしに問題点をあげつらわれると悲しい気持ちに
という風に、クルーズ船の対応については、「完璧」とか「適切」とは決して言わないものの、同情的です。
同情の気持ちが湧いてきてしまうのは、先に述べた通り、私も先日まで現場側で業務をしていたからではないかと思います。
私の場合ですが、業務の進め方に100点満点はありませんでした。投入できるリソースには限りがありますから、90点くらいでやらないといけない、すなわち10点分の穴は許容しなくてはいけない、というのが正直なところ。
10点分の穴は一見大きそうに見えますが、色々と工夫を積み重ねて、どうにかここまで穴を小さくしてきたのです。
その甲斐あってか、ほとんどの場合、10点の穴には引っかからず、最終成果物は正しいものが出来るようになりました。ただ稀に、穴に引っかかって問題になったりすることもゼロではありません。
そういうとき、一番やるせないのは、頭ごなしに問題点をあげつらって非難されること。
こちらも色々と苦労してここまでやってきたから、昔よりは大分よくなっている。新たな問題点は問題点として改善する気持ちもある。
ただ、携わってない人に、無遠慮にそのように言われると、どうしても悲しい気持ちになってしまう。こちらも弱い立場だから言い返せない。
そのような経験があるからなのでしょう、現場が批判されると、かえってその人達に同情したくなってしまうのは。
まぁ、今回は私の個人的な戯言ではあるのですが、似たような思いを抱いている人は他にもいるようです(次のヤフー記事、およびヤフコメ)。
とにかく、早く感染が収まってほしいものです。
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