50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

「成功指南ビジネス」と早期リタイアの関係とは

 お金を欲しがっている人は多く、その手段として古典的なのが「成功者になること」。すなわち、仕事や投資などで華々しい成果を挙げることです。

 しかしそれは簡単なことではないので、どうすれば成功できるのか指南する書籍、セミナー、ネット記事などが、多く提供されています。そのようなことを生業とする商売を「成功指南ビジネス」と呼ぶことにします。

 「成功指南ビジネス」は随分と昔からあったのでしょうが、 一方で、ここ10年くらいで主にネット界隈で露出度が高まってきたのが、早期リタイア・セミリタイア・FIREとか呼ばれる類。

 成功指南ビジネスと早期リタイア、「お金を得るにはどうしたらよいか」という共通するテーマを抱えているにも関わらず、話が噛みあわない点があるようです。

 そこで本稿では、両者の関係について、思ったことを書いてみます。

目次

f:id:retire50:20201106212540j:plain
 《東京都千代田区:皇居付近》

早期リタイアは、成功指南ビジネスの側からモノ申されている

 本稿を書いてみようと思ったのは、最近、成功指南ビジネスの側が、早期リタイアについて否定的に扱ったネット記事を見かけたからです。

お金持ちは「早期退職」したがらない!? お金持ちになれる人の共通点 | TRILL【トリル】

成功者はほぼ例外なく、仕事を楽しんでいます。

だから彼らの中で「アーリーリタイアしたい」という人は多くありません。起業家に至ってはもっと顕著で、ほとんどの人は働けるまで働く生涯現役を当然のものとしています。

 読み進めていくと、言葉はソフトですが、早期リタイアに対してモノ申しておられます

 このような記事が書かれるのは、単に、早期リタイアの露出が増えたから、というだけではないでしょう。

 成功指南ビジネスでは、「成功してお金持ちになること」が何よりも大切な価値観なのですが、早期リタイア界で最も大切なのは「仕事から自由になること」であって、「成功」も「お金」も単なる手段に過ぎないという位置づけです。

 成功指南ビジネスでは何よりも大切にしてきた価値観が、新興の早期リタイア界では低く位置づけされているということに、納得いかない点があるんだと思います。

「成功」「お金」は手段なのか目的なのか?

 いきなりですが、次の格言?を紹介します。

レビットのドリルの穴理論とは? マーケティングの基礎を簡単に解説

 「ドリルを買いにきた人が欲しいのは
ドリルではなく『穴』である」

 お客は「穴を開けたいからドリルを買いにきた」わけであって、そのことを認識せずに、ドリルばかりを売りつけようとしてもダメだ、ということです。

 これと同じ話が、成功指南ビジネスと早期リタイアの関係についても言えるような気がするのですね。

 成功を志している人(≒成功指南ビジネスの顧客)が本当に欲しているのは何なのか? 

  1. 成功すること自体=ドリルが欲しい人、ドリル・マニア
  2. 成功して得たお金で楽をする・好きなことをすること=穴が欲しい人

 成功指南ビジネスを営んでいらっしゃる方は、私の見る限り、ほとんどが1に重点を置いています。そのため、2の、穴が欲しいだけの人に対しても、頑張ってドリルの素晴らしさを力説する、という、ちぐはぐなことになっています。

 それでも、穴を得るためにはドリルを買うしかない、と思われていた時代はそれでもよかったのです。

 しかし、最近、早期リタイアというものの露出が増えていて、「自分達が欲しいのはドリルではなくて『穴』なんだけど」と言い始めています。ドリルを買うにしてもそんな高いものでなくていい、下手したらキリで間に合うんじゃないか。

 こんな風潮が広がったら、ドリルを売る側にしてみれば痛手ですよね。

冒頭の記事に対してコメントしていく

 以上の観点をもとに、先の記事にコメントを加えていくことにします。

早期リタイアすると寿命が短い説

海外では稼いだあとはアーリーリタイアするという人も少なくないようですが、平均寿命は仕事をしている人よりも短い傾向があるそうです。やはり人生には張り合いというか、多少の緊張が必要ということでしょう 

 どういう統計を持ってきたのか分かりませんが、身体的に弱い人、病気で働けなくなった人だってリタイア年齢は早いでしょう。金が貯まってリタイアする人と一緒くたで統計をとれば、平均寿命は当然短くなりますよね。

「凡人」という表現

一方で、そんな彼らを指して凡人が言う、典型的なセリフがあります。

それは「成功しているのに、なぜ働くのか」「お金がある人が、講演やコンサルをしたり、本を書いたりするはずがない」「結局彼らは、大して儲かっていないのだろう」というものです。

凡人は「お金があれば仕事はしないはず」という前提があり、成功者の仕事に対する姿勢やモチベーションがまるでわかっていません。そして、そういう発想であるがゆえに、仕事で成果が出せないのです。

 「成功しているのになぜ働くのか」という疑問は、『穴』が欲しい凡人の側からすれば当然のことです。穴はもう必要な分、あけたじゃないですか。それ以上、ドリルに力を入れてどうするんだろう? ドリル・マニアですか? みたいな。

 更にいえば、この「凡人」という表現。

 「既に成功したあの人達、そして今成功を目指している俺達は、おまえら凡人とは違うんだ」的な発想が無いと、この文脈でこの表現は出てこないと思いますが、成功を目指す人達のプライドをくすぐるような表現を用いるのも、成功指南ビジネスではありがちなのかも知れません。

 まぁ、成功指南ビジネスの対象者ぐらいならこんなものでしょうが、大成功者が、思いの外、謙虚なイメージがあるのは、私だけでしょうか。たとえば、あの(タカビーなイメージのある)ホリエモンでさえも、次のようなことをおっしゃっています。

堀江貴文「僕を含め、世の中の99%は凡人だ」

天才って、確かに実在するし、ぼくはそういう人とも会ってきてる。でも、人並み以上にたくさんの人と交流してきた経験から言えるのは、自分を含めた、世の中の99%以上は凡人だということです。
 ぼくの周りの頭のいい人間は、みんなそこに自覚的です。

仕事とは自己表現?

しかし成功者は、お金を稼ぐために仕事をしているのではないし、ましてや生活のためでもありません。

彼らにとって仕事は趣味かゲームのようなもので、自己表現手段でもあります。自分が考えた商品やサービスを世に問い、感謝されてお金がもらえるというのは、まさしく自己表現。

 「このドリルすげぇ。一瞬でこんなに綺麗な穴があく!こんなドリル持っている俺、カコイイ! 板でも壁でも持ってこい。何にだって穴をあけてやるぜ!」みたいな感じでしょうか。

 もちろん、そういう方々がいるのは否定しませんが、記事にも書かれているように、あくまでそれは趣味やゲームの世界、つまり、自己目的化しているわけです。

 ただ、一般的な趣味やゲームについては、それが自己目的であるということが自明ですが、こと仕事に関してはそうではありません。そして、本来、手段であった仕事を自己目的化させていく

 こう考えると、これって、成功指南ビジネスに限ったことではなく、日本社会全体が、そういう言説に溢れているような。成功指南ビジネスは、そのような風潮に乗じて、更に進んだ教えを広めているだけ・・・そんな気がしてきました。

「自分らしく穴をあけるためにはいいドリルが必要」

だからまずは「アーリーリタイア」という発想は捨て、目の前の仕事を好きになるか、仮に一時的に収入が減ったとしても、夢中になれる仕事を選ぶことです。

  「『穴』があけられれば、ドリルでなくたって別にいいじゃないか」という、早期リタイア者の論は、成功指南ビジネスの側にとっていかにも都合が悪い。

 そこで、「ただ『穴』があけばそれでいいわけじゃない。楽しく、自分らしく穴をあけるためには、いいドリルが必要なんだyo!」みたいなことを結論に持ってくるわけです。この論法は、以前紹介した「仕事の道楽化」によく似ていますね。

  【過去の当ブログ参考記事】 「道楽の仕事」は早期リタイア後にやればよい

 成功指南ビジネスが、隣接分野である早期リタイアからの差別化を図ろうとすると、やはりこういう論法になっていくのでしょう。

 

★ランキングに参加しています。よい記事だと思ったらバナーをクリックして下さい。

にほんブログ村 ライフスタイルブログ セミリタイア生活へ

★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
 ⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます