新型ウィルス、これでも仕事を休めない実情

　新型ウィルスで世の中大騒ぎ。とうとう厚労相が「発熱など風邪症状があるなら会社や学校を休め」と発言するまでになりました。

　私個人はリタイア済なので、厚労相に言われるまでもなく、家で大人しくしていますが、大抵の人はそうもいかないこともあるでしょう。色々と考えてしまいます。

　《東京駅》

「軽症でも休む」現実的にはなかなか難しそう

 　朝日新聞の「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため：朝日新聞デジタルという記事の中に、次のような見出しがありました。

「軽症でも休む」可能な社会か

　ちょっと風邪っぽいからと簡単に休めるか、というと、正直、なかなか難しい所がありますよ。インフルエンザならその診断法が確立されているから、病院に行ってから休む休まないの判断をすることが出来ます。

　でも、新型ウィルスでは、風邪かどうかの判断が容易につきません。厳密にやるなら、ちょっと風邪っぽい、というだけであっても、新型ウィルスである可能性も考慮して数日間は休み、ということにせざるを得ません。そんなことになると、回らない職場もあるのではないでしょうか？

　例えば、私のいた職場では、実際にインフルエンザだと診断された場合、その人は突発で数日間休む、ということになります。すると、休んだ人数がたとえ一人だけだったとしても、残った者は相当にすったもんだしていました。

　というのも、予定の休みなら事前に行われている引継が、突発の休みだと行われないからです。休んだ彼が当日行うはずだった業務を洗い出して、適切にカバーする、というのは簡単ではなかったです。

　今回の場合、「新型ウィルスへの感染が否定できない」というだけで、ごく軽い風邪症状で休む者が同時に２人、３人と重なってしまったら……。

　リタイアしてしまったから私には関係無いこととはいえ、会社で仕事をしている人達は気の毒に思います。

満員電車のお咎めが無いのが、本当はおかしい

 　天皇陛下の一般参賀中止、東京マラソン大幅縮小などの事態に陥っているのに、都心の満員電車がお咎め無しなのが、本当はおかしい、と思っています。

　日本の中で、満員電車ほど、大量の人々が互いに体を密着させている場所は、他にはありません（多分）。手すりやつり革には、多くの人々が手で触った跡がべったり。

　ＪＲ新宿駅だけで一日の乗車人員は約79万人。池袋も50万人以上。数千人乗っている電車が、一路線あたり２分置きに到着する超高密度運転。これを毎日繰り返している状態で、感染が広がることはない、と考える方が無理があるのではないでしょうか。

　でも、政府が「鉄道を走らせるな」と言うことは無いでしょう。台風のように１、２日のことであれば電車が止まるのもよいですが、今回鉄道を止めるとしたら、その場合は、無期とならざるを得ません。

　何ヶ月も電車が動かない事態になったら、日本の大都市、特に東京の機能は８割方停止します。都市全体が封鎖されてしまった武漢と変わるところがあまり無い状態になります。

　逆に言えば、電車を止めてしまいさえすれば、東京で行われる経済活動のかなりの部分が無効化できますので、ウィルスの感染拡大防止には非常に有効でしょう。でも、共産党独裁の中国ならともかく、日本では無理だろうなー。特に、東京の経済活動を止めかねないような判断は、誰も下せないと思います。

　結局、「ウィルスの感染をこれ以上広めないこと」よりも、プライオリティーの高い事柄が、この日本にはある、ということです。

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