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感染症が明治時代の"道徳"教科書に取り上げられている

 新型コロナウィルスで騒ぎ出して早数ヶ月。これはするな、あれもするな的な話は今後も続きそうです。

 ところで、自宅の整理をしていたら、明治34年(1901年、昭和天皇御生誕の年)発行尋常小学校「修身教本」が出てきました。つまり当時の小学校の道徳の教科書ですね。ここに感染症の話が出てきてちょっとビックリしています。

目次

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教科書に書かれている内容

 その教科書は、冒頭に「教育勅語」を置き、その後、伊藤仁齋や松平定信といった、江戸時代の偉人のエピソードをネタに、尊王、学問の推奨、親兄弟や弱い者への思いやり、慎みある態度、倹約のススメなどを説いています。ほとんど、儒教そのままといった趣き。

 そうしたエピソードが羅列され、ほとんど最後の方になって、「公徳」と称する文章が現れます。やけに抽象的な標題です。

 これまで儒教ベースの話ばかりだったので、これもそのつもりで読んでいったら、何か話が変。どうやら、感染症について書いてあるようです。

 以下、該当部分を転載します(適宜、仮名を漢字を改めるなどしています)。

第二十三課 公徳

 うつり病は、その始め、一人より起こるものなれど、油断するときは、多くの人にうつりて、迷惑をかくるに至るものなり。

 されば、人々、常に、気をつけて、次に挙げたる事柄を守るべし。

  • 家の周り・井戸端・便所などを全て、よく掃除すること。
  • ちり・あくたを炉端に捨てぬこと。
  • 犬・猫などの死体、あるひは、病人の汚れ物などを、川・池・掃き溜めなどに捨てぬこと。
  • 家内に、うつり病にかかりたるものあるときは、すぐに、届け出づべきこと。

  当時は感染症などと言わず、「うつり病」と呼んでいたようです。そういえば、私が子供の頃は、「伝染病」と言っていた気がする。いつの間にか、「感染症」という語に置き換えたようです。

伝染病

過去には「伝染病予防法」という法律名にも使用されていたが、1999年の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律感染症法)の施行により廃止され、法文中の「伝染病」の文言は「感染症」に改められている(経過規定の条文などを除く)。

 

  それはともかく、教科書に書かれている内容は、基本的には「清潔にしろ」ということ。「うつり病」の原因となる元は、不潔なモノに潜んでいるのだから、それらを取り除き、あるいは、ばらまかないようにしろ、ということ。

 昔は、井戸端や便所、川や池などがクラスターの起きやすい場所だったのでしょうか。「3密を避けろ」にも通ずる考え方です。

 ただ、現在推奨されている、手洗いやうがい、マスクなどに触れてはいないのが違うところ。池上さんの番組によると、マスクなどは1918年のスペイン風邪以降に推奨されたものらしいので、この時代には、まだそういう概念は稀薄だったのかもしれません。

明治時代の感染症

 それにしても、道徳の教科書にいきなり感染症の話が出てくるのは、現代人からすると、何とも場違いな感じが否めません。ただ、そのタイトルは「公徳」、すなわち公衆道徳ということであり、儒教の仁、義、忠、孝、悌といった道徳と並列して位置付けられているからこそ、道徳の教科書に載せるわけです。

 やはり、これを教科書に記すキッカケとなった出来事があったのではないのか。ということでググってみました。

 そうしたら、スペイン風邪(1918年)以前に、明治期にかなりの病原体が続々と発見されていることが分かりました。

伝染病

 また、以下のサイトにあるように、上記教科書が発行された1901年の前に、次のような感染症の流行があったようです。

過去のパンデミックレビュー|内閣官房新型インフルエンザ等対策室

1889年12月にサンクトペテルブルクで始まった流行は、翌週までに世界で数百万人に感染し、ヨーロッパだけで約25万人が死亡し、特に乳幼児と老人の死亡が多かったと記されています

 ペスト、赤痢菌… 北里柴三郎ら日本人研究者の戦いの歴史

19世紀末に、結核コレラなどの原因菌が次々に発見されるなか、正体がつかめないままだったのが赤痢菌である。日本では1897年に大流行し、9万人が感染。致死率は25%に達した。この赤痢菌を世界で初めて発見したのが、北里から直接指導を受けた志賀潔だ。

 このような記憶が生々しい当時、病原体を発見した日本人が2人もいる。「うつり病」を防ぐために大切なことについて、当時の世界最先端の知見が日本に存在しており、それを国民全体で実践する。まさに公衆道徳だったのでしょう。

 だとすると、新型コロナウィルスの第1波を自粛で乗り切った日本は、明治からの伝統だった?のかもしれません。自粛警察も込みで(多分)。

自分が子供の頃から現在

 明治時代に、"うつり病"のことを小学校の教科書にまで載せていたことを思うと、自分が子供であった昭和50年代は、あまり"伝染病"教育に熱心だったとは言えない気がします。

 確かに、うがい手洗いは推奨されていたし、ワクチンは打っていました。でもそれは、単に「自分が病気にならないため」であって、「その始め、一人より起こるものなれど、油断するときは、多くの人にうつりて、迷惑をかくるに至るものなり」という、踏み込んだ話は無かったと思います。

 今の教科書に載せるのだとしたら保健体育で、もしかしたら教科書に載っているのかもしれませんが、授業でやったのは性教育ぐらいしか記憶にありません。

 まぁ、昭和50年代あたりは、結核などの従来型の感染症が、日本では大分少なくなってきていて、そこまでやる必要性は薄かったということなのでしょう。

  ただ、最近、コロナをはじめとして、新しい感染症が世界中でどんどん発生しているイメージです。学校教育として正式に感染症のことを「復活」させてもいいのかもしれません。道徳の教科書でやるかは別として。

 

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