50歳で早期退職し、セミリタイア!

私セイルは50歳で早期退職、セミリタイアしました!その思いを綴ります。

低資産でもFIREを名乗ってしまう心理・背景を想像してみた

 最近、資産わずか400万で、いわゆる「FIRE」を名乗っている方の記事が出て、FIRE・セミリタイア業界で賛否両論出ております。もっとも、それはその方の生き方の賛否というより、あれを「FIRE」と呼ぶことへの賛否です。

 まぁ、それでも、FIRE・セミリタイア業界という閉じた世界においては、あれを「経済的独立」とか「早期リタイア」と評価している人が、まがりなりにも存在していますが、一般には「フリーター」とか「ニート」、よくて「個人事業主といった部類にあたるのでしょう。

 それでも「FIRE」を名乗ってしまうという心理・背景には興味があるので、個人的に想像してみました。なおこれは、先の400万FIREの方個人について断定的なことを書くのではなく、最近多く出現している「低資産FIRE」一般について、こういうケースもあるのではないかと個人的に憶測してみたものであるので、最初にお断りしておきます。

目次


 《東京都武蔵村山市廃線跡を利用した自転車トンネル》

「FIRE・セミリタイア業界」という狭い世界

 FIREとかセミリタイアというのは、「FIRE・セミリタイア業界」では、天国のように持てはやされるけど、それ以外の方には、あまり関心を持たれる話題ではない(場合によっては冷笑される)でしょう。

 また、「FIRE・セミリタイア業界」は、まだまだ狭い。この業界にいると、「多くの若者がFIREを目指している」みたいに感じてしまいがちですが、例えば、書籍だと、ベストセラーといっても国内で10万部程度だし、youtubeでも、FIREネタで回っている動画は一部です。

 つまり、FIRE・セミリタイアなんてのは、ごく一部のローカルな話題でしかないんですよね。

FIRE業界のヒエラルキーが上になる

 しかし逆に言えば、FIRE達成を宣言さえすれば、その狭いFIRE業界におけるヒエラルキーが上になります。少なくとも現代日本では、FIREの明確な定義は存在しないので、とりあえず数百万程度を貯めて、会社を辞めさえすれば、「FIREを達成しました」と宣言することが可能です。それが実質フリーターとかニートでしかなくても

 さすがに数百万ぐらいの低資産だと、FIREの業界人でさえ「それってFIREなの?」と疑問視する声が出てきますが、一方で「FIREなんて人それぞれなんだから、それもFIREだ」みたいに擁護する声も(同じく低資産FIRE志望者や、FIRE指南ビジネスの人を中心に)必ず出てきます

 そのような低資産FIREを目指している方・「達成」した方の大半の方は、失礼ながら、社会におけるヒエラルキーの位置は相当に下だったと思われます。しかし、若干の貯蓄を持って退職、ネット上で「FIREした」と宣言するだけで、羨望の眼差しが自分に向けられるようになり、場合によってはメディアに取り上げられて「どうしたらFIREできるか」みたいなことを講釈垂れることも出来るわけです。

 つまり、「FIRE業界」に所属してFIREに名乗りを挙げることで、所属組織内のヒエラルキーを相対的に上げることが出来るのです。同じような生活をしていても、「フリーター」では、それが不可能ですからね。

会社員・労働者にマウントがとれる

 個人的な話になりますが、私が、2年前にセミリタイアしたとき、会社から脱出することで「会社に一矢報いる」という気持ちが全くのゼロだった、といったらウソになります

 というのも、(前項では皮肉っぽく書きましたが)私自身も会社内でのヒエラルキーが高くはなく、セミリタイアすることで、ヒエラルキーから「一抜けた」をし、さらには、高ヒエラルキーの人でも経験したことのない自由が手に入ったのですから。

 ただ、そのような気持ちは、ごく軽いものですし、高ヒエラルキーの人からすれば、馬鹿馬鹿しい話でしょうから、あまりそこを強調することはしないです。

 しかし、一部には、やたらと会社員や労働者にマウントを取っているFIRE達成者がおられます。投資や副業、事業等で何千万・何億も稼いだ、というのならまだ分かるのですが、かなりの低資産の方でも同様です。本心なのかウケ狙いなのかは不明です。

 なぜ、そのようなことが可能なのか。それは、自らを「FIRE達成者」と位置付けているからです。

 社会全体としてみれば、低資産FIREの実態は、フリーターとかニート、よくて個人事業主という位置づけだと思うのですが、「FIRE」と名乗るだけで、「自分の好きなことをやる自由人」みたいなイメージを自らに冠し、「毎日同じ場所に通う会社員・労働者」に対してマウントする取っ掛かりを作ることが出来ます

 そのように、「会社員・労働者にマウントをとって下剋上を果たす」みたいな気持ちが非常に強いのかもしれません。

「FIRE」で稼ぐ道が開ける

 あと、「FIRE」ということをネタに、コンテンツを作って、ブログやyoutubeから広告収益を得たり、ネット記事を書いて稼ぐ、という道が開ける、ということでしょうか。低資産FIREであっても、「低資産でいかにヤリクリするか」的なネタはあるわけだしね。

 つまり、「FIREをネタにした個人事業主ということですが、否定はしないけれど厳しい道だと思う。先にも述べましたが、FIREやセミリタイアネタで回っている動画なんてごく一部。回っている動画は何だかんだ面白いし、回ってない動画は、やっぱりつまらないですよ(ブログはまた別ですが)。

 人気のFIRE動画って、投資などの有益情報があったり、話やエピソードが面白かったり、動画の作り方が上手かったりするんですよね。市場の狭いFIRE・セミリタイア業界において、そのような強みが無いと稼ぐことはなかなか難しい。

 FIREとかセミリタイアとか一見カッコよさそうだけど、「社会で大きく花開かせられるモノがなかった人が地道に資金を作ってリタイア」するパターンが多いと見ます。そもそも「社会で花開かせられるモノが無かった人」に、そのような強みがどれだけ存在しているのか、というと、やはり厳しいんじゃないでしょうか。

 

★初めてお越しの方へ。以下にて私のセミリタイアの概要をまとめてあります。
 ⇒50歳でセミリタイア達成!その概要を書きます