テレワークなんて今さら無理!企業たちの苦悩
新型ウィルス感染防止のため、テレワークや時差出勤などという単語が俄かに脚光を浴びています。
でもこれらのこと、随分と昔から言われてきたのに、産業界は腰が重くて、つい一ヶ月ほど前までは、本気になって考えていた人々はほんの一部ですよね。
それが、新型ウィルスで急展開。
目次
《東京都青梅市[青梅線宮ノ平駅付近]》
テレワークの導入は進んでいない
でも、時差出勤ならともかく、テレワークなんて急に「やれ」と言われても無理ですよ。それに向けてあらかじめ取り組んでいた一部の企業を除けば。
もちろん、工場とか客先営業とかコールセンターとか実験室とか、そういう仕事ではハナから困難なのは明らかなので、考察の対象ではありません。
でも、事務室でPCの前でじーっと作業している人達は、別に出社せずとも、家でやればいいじゃないですか。
必要なファイルはサーバに全部入っているんだから、遠隔で作業できるじゃないですか。
会議なんて、どうせダラダラやっているだけなんだから、TV会議で充分じゃないですか。
実際、今回の国難にあたり、テレワークによる大規模な出勤抑制を打ち出した企業は存在し、報道もされました。
資生堂は、女性社員が多いから在宅勤務の需要がもともと高く、体制が整っていたのでしょうね。
でも、このように先見の明がある企業はほんの一部です。
大概は、社員の大部分が出勤することを前提とし、時差出勤のほか、不急の業務・会議・飲み会の見合わせや延期、マスク着用や、入室時の手の消毒などで乗り切ろうとしているはずです。
企業はセキュリティ対策に血道を上げている
私は、これまでテレワークの導入があまり進まなかったのは、技術的に困難だから、ということではない、と見ています。
テレワークを阻んでいるもの、それは、セキュリティではないでしょうか。
日本の会社、「一見それっぽいが、実際は非生産的な活動」に血道を上げるのが、とにかく大好き。その種の活動の代表的なものの一つがセキュリティ。
とにかく、社外に情報を漏らしてはいかん、ということで、当初は緩かったセキュリティ規則が、時と共にガチガチになっていくのが普通。そのガチガチを人々に守らせるため、莫大なコストを払っています。
- それが漏れたところでどうということもなさそうな紙切れ一枚を社外に持ち出すのにも、いちいち台帳に書いて、上司の印鑑をもらう。持ち帰ったときも同様。
- セキィリティ意識を高めるため、毎年のように全社員(派遣等含む)に教育。
- ISOナンチャラの資格要件を満たすための社内監査を全社あげて年に何回も行い、指摘された事項は、どんなにミクロなことでも真剣に対策に取り組む。
上記のようなことを行うことで、
「わが社はこんな資格をとっています!セキュリティ対策を万全にしてます!安心・安全な企業です!」
などと、サイトに載せたり、名刺に資格取得マークを印刷などしてアピールする訳です。
セキュリティ対策の重要性は理解しますが、どこかで区切りをつけないとやってもやってもキリが無いものでもあります。
日本の生産性が低いことの要因の一つとして、このような非生産的な業務が多い、ということもあるのでないでしょうか。
テレワークが進まない理由
ということで、彼らは「情報が漏れるリスク」は過大に気にしますが、「情報にアクセスできなくなるリスク」については無頓着です。企業アピールとしては弱い(と考えられている)からです。
テレワークは、今回のように出勤に制約がかかるなどで「情報にアクセスできなくなるリスク」に対する対策として有効なものの、対外アピール力に欠けているだけでなく、「情報が漏れるリスク」を増大させてしまいます。
だから、多くの企業では、テレワークを完全否定する立場ではないものの、「今後の課題」的なステータスに留まっているはずです。
この種の企業が、国から、
「感染を拡大させないために、おまえら、明日からテレワークな」
と言われても、これまで築きあげてきたガチガチのセキュリティ規則を根本からひっくり返すような対応が必要になるわけで、正直、無理なのです。
今後、テレワークは進むのか?
私は進む、と思っています。
なんたって、「情報にアクセスできなくなるリスク」が発現しているのを、まざまざと見せつけられているのですから。
今後は国も本腰を入れるでしょうし、そうなったら右に倣えの日本企業たちは、一斉に、テレワークの導入の検討を開始するでしょう。
テレワーク導入を支援する会社は、今後、特需が見込めるでしょう。株、買いじゃないですか? 責任は負いませんが。
参考記事
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